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INTERVIEW

Japanese

コンテンポラリーな生活

2015年10月号掲載

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Member:朝日 廉(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

-音もすっきりしてるし。

音が......まぁでも、たぶんそれだけじゃないんですよね。いろいろ他にも自分はこういうふうにしたいっていう思いも重なりながら、すっきりしていったのかなと思います。前はもっとギター重ねたがったりしたんですけど、なんかね、どんどん余計なものがいらないなって気持ちになってきて。

-その動機はなんでしょうね?

純粋に......やっぱりいっぱいライヴをする中で、結構ライヴだとニュアンスが伝わるなと思ったんですよ。要するにギターのコード・バッキングとかがなくても、ベースがコード進行を弾いて、ギターがリードを弾いたら、別にバッキングっていらんのかな?って最近思うようになって。例えば、5~6人いるバンド、上手な人らは全然違いますけど、"あんまこの音、聴こえへんな"とか。4人のバンドでリード・ギターはよく聴こえるけど、なんかヴォーカルのジャカジャカが全然聴こえへんなっていうのを見たりすると、いらんかな?と。中途半端にあるぐらいやったらもっともっと減らして作った方が伝わりやすいかな?って最近思ったんですよ。

-今の朝日さんのモードとして、3ピースだからって常に3つ全部鳴ってなきゃいけないというところから離れてきてるのかな?って印象は受けました。

ああ、そうかもしれないです。もっと空白をうまいこと使えたらなってすごく思うんです。面白いことをしたいんですよね、うまくはないので俺たちは。昔、衝撃受けたんがNUMBER GIRLの「鉄風 鋭くなって」って曲を聴いたときに、"デデデデ・デデデデ・デデデデ・デデデデ"っていうベース、大体鳴ってるじゃないですか? で、1サビ終わって、2番のAぐらいの何小節目かで急にそれが止まって、で、また普通に入ってくるんですよ。"お、そんなことするのか?"みたいなやり方が当時の俺にはすごく衝撃で。最近、改めてそれを聴くと、音数を増やしてなんでもアリのバンドというよりは、このギター、ドラム、ベース、この3つで、どうやってなんでもアリになれるか?っていう考え方にシフトしたいと考えてるんです。

-今回ってシンプルさもあるけど、曲としてはTrack.3「レッツゴー外道」とかTrack.4「カーニバル」とか1枚のEPの中で反対に振ってるぐらいの曲が存在してて。個人的にはミドル・テンポの「カーニバル」すごくいいなと思ったんですが。

「カーニバル」はお気に入りです。

-これはどういうふうに出てきた曲ですか?

これは僕、昔、新聞配達のアルバイト――朝日新聞で新聞配ってたんですけど(笑)。これ、鉄板ネタなんですけど、面接で"これ本名?"って聞かれて"本名です""いいねぇ"って受かったんです(笑)。で、新聞配達してるときに出てきたメロなので、歌詞とかも新聞配達してたころの気持ちを背景に。だからそんな夜明けの歌というか。配達行ってるときに夜明けが近づいてくるとちょっと焦ってくるんです。

-配り終えないといけないですからね。

そうそう。"やばい、ちょっとのんびりしすぎた""朝が来て欲しくない"みたいな。でも、今、朝が来て欲しくない人って絶対いると思うんですよ。"夜明けは来るさ"ってみんなが歌ってるけど、夜明けなんて別に来なくていい、ずっと夜のままの方がいいって人もいると思うんで。

-つまり明日が来なくていい人?

動きたくないっていう、そういう視点の歌なんです。

-人によっては明け方って遊びに行った帰りのイメージもあると思うんですよ。で、遊びに行ったけどあまり楽しくなかった人の歌のようにも聴こえて(笑)。

ああ、でもそうかもしんないです(笑)。なんか毎日嫌なことばっかりやったら、1日終わっても、終わったままがいいっていう。でも容赦なく来るじゃないですか、朝は。たぶんそういう歌なんだと思います。誰がどうやろうと、自分がどんだけ思おうと、あがこうと来るものは来るっていう、じゃあどうすりゃいい?みたいな。

-この曲、朝日さんの訥々とした歌の部分がすごく響きます。歌がいい。

ああ~(苦笑)。歌はめちゃめちゃ大変でした。レコーディングでさぁ行くぞっていうときに大阪で夜行バスの集合場所に行くんですね。そしたらメンバーふたりがマスクして"ゴホゴホ、ゲホゲホ"ってやってるんですよ、ふたりとも。"いや、夏風邪で"って。"嘘やん?"って、俺も気をつけてたんですけど、ちょうどヴォーカル録りのころからゲホゲホいって、鼻の調子も喉の調子もあれ?みたいな感じで、ヴォーカル録りのコンディション整えるのがすげえ大変で。まあ、でも逆に必死さが「カーニバル」には出てると思います。

-あの声の枯れた歌い出しは作ってできないですよね。

あれは(笑)、あのテイクだけです。でも中尾(憲太郎)さんが"あれ、いいね"って気に入って、最初の起き上がった感じが出てるって。

-ソングライターとしての資質もよく見えるEPだと思います。

ミドル・テンポの曲も多い......って2曲ですけど(笑)。でも曲どうこうっていうよりも世間的には一発のインパクトみたいな世界になってきてるので、もっと曲で勝負していきたいですね。Track.2「僕らのシンライン戦争」とTrack.3「レッツゴー外道」は速いんですけど、曲的にしっかりしてるというか。前作EPの「地獄の沙汰も金次第」はもう......『ハスキーガール』はそういうEPやったんやと思います。「地獄の沙汰も金次第」とかも勢い以外はなくていい、みたいな。今までのコンポラがあったから、あの曲があるという。今回はわりとしっかり音楽してると思います。気に入ってます。前回がわりと同じ色でドン!て攻めてたとしたら今回、カラフルないろんな色が混ざって複雑な感じになってると思うので。

-今はバンドがバンド・サウンドにこだわらなくなってきて、シーンは端境期にあると思うんですが、コンポラは他の音を入れないですね。

みんなバンド・サウンドから離れたとしても、それはロック・バンドの流れとは考えてみたら全然関係ない流れだなって。シティ・ポップとかがガンガンきてたりしてても、考えたらロック・バンドとは全然関係ねえなみたいな、ロック・バンドはラクしちゃいけないみたいな気持ちもあるんで。

-そこが朝日さんの面白いところで、一人のミュージシャンとして"ロック・バンドはなくなっちゃいけない"って言ってる感じがします。自分のバンドがというよりも。

ああ、そうなのかもしれないです。性格的に自分自身のことも冷めた目で見てるところもなくはないというか。やっぱり自分の曲とかも愛はあっても面白くなかったら、意味がないと思うので。コンポラもいい曲できなくなったら消えればいいぐらい思ってますから。

-バンドの継続のために無理やりバンド像に沿った曲を作るわけじゃない。

そうなんです。作りたいって欲求があるから、その出口としてバンドがある、みたいな。そこは間違えちゃいけないなと思ってますね。