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INTERVIEW

Japanese

コンテンポラリーな生活

2014年11月号掲載

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Member:朝日 廉 (Vo/Gt) 藤田 彩 (Ba)

Interviewer:石角 友香

観客が踊っていることと心から衝撃を受けていることは根本的に何かが違う。流行りのための音楽と距離を置いて、本当に作りたい音楽を作ることはエネルギーも楽しさも両方あるだろう。20代前半世代のバンドの中では異彩を放つコンテンポラリーな生活がついにフル・アルバムを完成させた。KANA-BOONとともに最初期からイベント"ゆとり"を開催し、自らの世代感に自覚的な彼らは、バンドの大きな名刺代わりになる今作で何を打ち出してきたのか? フロントマンですべての詞曲を手がける朝日廉と、ベースの藤田彩に話を聞いた。

-コンテンポラリーな生活は、最初どんなビジョンから始まったんですか?

朝日:かなり曖昧でしたね。高校の部活の延長線上でやってしまってて、なんか......既存のバンドの自分の好きなバンドの焼き増しみたいなことをやってしまって。で、それで......おない歳で音楽やってる人がすごい多かったんですけど、周りで明確にビジョンを持って"売れたい"みたいな気持ちでやってる人がすごいなんか多くて。そんな中でKANA-BOONと出会ったりして、自分のビジョンが鮮明になっていったというか。

-KANA-BOONのVo/Gtの谷口(鮪)さんは昔から明確な意思があった?

朝日:器用ではないけど、"こうありたい"っていうのは明確にある。最初に会ったころからそうでしたね。

-ちなみにコンテンポラリーな生活ってバンド名は揶揄でもなんでもなく、こういうバンド名になったんですか?

藤田:最初は何も意味なんてなくて。

朝日:コンテンポラリーが"開拓していく"っていう意味合いみたいなのもあるらしいんですよ。そういう意味を知ったときは"あ、これは運命だ"って(笑)。

-そしていよいよフル・アルバムができました。今までの印象以上に今のバンド・シーンとは一線を画す根本的な音楽が鳴ってるなと。

朝日:そうなんですよ。前作(『ポップソングと23歳』)は前作ですごく気に入ってるアルバムなんですけど。なんかちょっとおとなしかったなと思って。米津玄師さんっているじゃないですか。彼のアルバムを聴いて、すげえ自由だなと思って。実はこのバンドをやってて"このままじゃいけないな"って衝撃受けたのも彼のアマチュア時代の楽曲を聴いたときだったんですよ。すごくポップなのに、全然"あれに似てる、これに似てる"感がないなと思って。その人がおない歳だと知って、おない歳がこんなに世間で通用する曲作ってるのに俺は何をやってるんだろう? ホントにすごく大きな衝撃を受けて。それで最近まで追っかけてて2ndアルバムが出て、また"わ、すげえ自由だ"と思って。なんかいろいろやっぱり自分の中で"こういうのをやらなくちゃいけない"みたいな変に固めてしまってたところがあったんですけど、自分が面白いと思うアルバムをとにかく作ろうと思ったんですね。それでTHE STROKESの『Comedown Machine』とかWEEZERの『Pinkerton』とか、あと俺、OASISのアルバムで『Dig Out Your Soul』がめちゃくちゃ好きで。アイディアに溢れてるアルバムが聴いててめちゃくちゃワクワクするんで、思いつたこと全部やろうと思ったんです。

藤田:結構レコーディングのきわっきわまで"この曲やりたい、この曲やりたい"ってどんどんできたんですよ。で、しかもそれも全部違うジャンルというか音楽で。ぎりぎりになって、今までやったことのない音楽が飛んできて、それをじゃあどうやって料理してやろう? って。これはもう完全にプレイヤー側のアレなんですけど、どうやってそれを自分たちの音楽に完成させるか? っていうのをホントにレコーディングの1週間前とかにやってましたね。

-例えばどの曲ですか?

藤田:「PIXEL MONSTER」。

-たしかにいろいろアレンジの跡が伺えますよね。

朝日:ギターRECの日までギター・リフ決まってなかったもんね? 危うくもうちょっとつまらない曲になるとこだったんですけど、今回も一緒にレコーディングに入ってくれた中尾憲太郎さんがいろいろなんかアイデア出してくれて。イントロでサーフっぽいギターを弾いたり。

-「嫌々々々」の"嫌いだよお前らみんな"のとことかすごいブリティッシュ・ビート的なものもありながら、マス・ロックぽくリズム・チェンジしていたり。

朝日:そうなんですよ。BPMが185から248まで上がるんですよ。イントロは遅い方がかっこいいけど、サビはスピード感あった方がかっこいいよなって思って。ドラムに"もっともっと上げて!"って言ったら、結果的に250近くまで行きました(笑)。

-もともと自分の中に定着してるビートやギターの音色が、朝日さんの世代だとなんなのかな?と思ったんですよ。

朝日:中学生のときにものすごくASIAN KUNG-FU GENERATIONが流行ったんですよ。で、僕もご多分にもれずすごく聴いて。『君繋ファイヴエム』もすごく衝撃が走って、「すごいな」と思って、そっからヴォーカルの後藤(正文)さんは何を聴いてるんだろうか? WEEZER、OASISだっていうのから結局イギリス中心にハマっていくんですよ。あとはRADIOHEADとか、ARCTIC MONKEYSは最近ですけど。だからなんかちょっとあのころのロックの微妙なゆるさがあるじゃないですか? 音程のはっきりしない感じとか。その辺りの音を高校生のころに1番聴いたので、やっぱりそれが根本にありますね。今回もレコーディングしてて音作りOASISまんまだな、みたいな「ハッピーライン」って曲があるんですけど(笑)。