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INTERVIEW

Japanese

POLYSICS

2015年07月号掲載

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Member:ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

-ああ、もうその時点でちょっときますね(笑)。

もうそこでユルいなっていう(笑)。でも面白い話がたくさんあって、観なおしていていいなって思うんだけど。特にこれだなって思ったのが、ガラキングだったんだよね。実際、"サインはV"の主人公だった人がゲストで出てきて。その人が老人ホームで、バレーを教えたりするんだけど、そのときにガラキングが来て、ふたりでサーブを打ちあうっていう(笑)。途中、ガラキングが球遊びをするんだけど、この音を使ってのリズムもいいなと思って。

-イントロ部分にある、ぼよんぼよんっていう音はそういうところから。

そうそうそう。それで、何となく昔の60年代のロックンロール的な要素、でもベースが変態みたいな。そういうのにしたかった。

-セサミストリートとか、そういうのに合いそうな曲だなと思いましたね。かわいいポップだけど、ヘンテコだったり。フレンドリーだけど、ねじくれた人が作ってるんだろうなっていう(笑)。この曲はそういう感じですね。

そういうのが好きかな。もっと有名な、バルタン星人とかダダももちろん大好きなんだけど、『HEN 愛 LET'S GO!』でやるなら、もっと自分の偏愛ぷりを炸裂させたいなと思って。それを象徴してるのが、このガラキングかもしれない(笑)。

-最後は「燃えろ!超獣地獄 ~一角超獣バキシム登場~」。これは怪獣そのものがすごい形ですね。

すごいでしょ、この背中のトゲトゲ感と、真正面のまるまるした感じ。これこそ"超獣"っていう。ウルトラマンエースに出てくるんだけど、エースのテーマは"怪獣を超えた超獣"で。既存のデザインではまずあり得ない、このミクスチャー感がいいんだよね。しかもこのまるまるとしたところが青で背中がオレンジっていう、この配色具合もヤバくて。超獣は、色づかいもヴィヴィッドだったり、ものすごくキワキワな色づかいも多いんだけど(笑)。そのなかでバキシムは、"超獣感は、これだろ"って思うんだよね。もともと、バキシムが俺の推し怪獣だったの。で、今回、円谷との企画をやるにあたって、まずどういうことをやるかデモを作らなきゃならないので、バキシムで作ったんだよね。超気合い入れて作った(笑)。これでダメだったら、この企画がぽしゃっちゃうし。

-プレゼンの真骨頂だ(笑)。

エレクトロだし電子音バキバキだし、怪獣の声だったり、ロケットが爆発する音だったり、いろんなのが入ってるけど、基本はここでしか存在しない音楽にしたくて。自分は怪獣のこのショッキングなルックスが未だに好きなわけで。この、偏った美学みたいなものを、色褪せないものにしたいなって思ったんだよね。

-いかにしていびつで普遍的なものを作るか、という?

そうそう。機能がわからなくても別にいいかなみたいな。いわゆるテクノ・ミュージックっていうのは機能的だったり反復があったりするけど、目的がわからなくてもいいなと思ったのね。自分の怪獣愛さえ、伝わるものになれば。

-こうして偏愛というテーマで2作作ってきましたが、話をうかがっていると、結果的には自身の音楽についても振り返る機会にもなっていたようですね。

音楽とか好きなもののブレなさっていうところのね。だよなあっていう(笑)。それが音楽も一緒で。あとは、いろいろ振り返るきっかけも重なっていて。ちょうどUK.PROJECTで、新人のコンピを出すにあたって、所属アーティストの1stアルバムについてコメントをするというのがあって。それで、『1st P』を聴き直したのよ。ほんとイヤだったのね、聴くのが。恥ずかしくて。若気の至りじゃない、これはみたいな(笑)。でも以前、リマスターしたときも聴き直して。リマスターしてよくなったんだけど、あえてそのUKからのリマスター前の音源を聴いてみようと思ったら、なんだこれ?と思って逆に笑っちゃったのね(笑)。

-そうなんですか(笑)。

ギリギリ、ビートとして成立してるのかわらかないし、当時の俺はシンセ・ベースをミヨミヨいうものというか、ベースとして考えてなかったんだなみたいな(笑)。でもドラムがバシバシいってて、ギターもギャンギャンいってて。真ん中がない音楽で。これ、面白いなって、1周して思っちゃって。これがよかったのは、当時のプロデューサーがネモト・ド・ショボーレで、ガレージ・バンド(デキシード・ザ・エモンズ)をやっていたからよかったんだなって。これがテクノに詳しい人で、トリートメントされたテクノ・ポップになっていたら、たぶん面白くないかもしれないなって。それでこれは面白いなって、初めて思ったのね(笑)。いびつだしね。ようやく自分で、こういうのが好きだなって思えた。よく言うじゃない、"1stアルバムにバンドのすべてが詰まってる"って。それ認めたくなかったのよ。でも、たしかに言われてみればそうかもしれないなあと。この感覚は、ずっと好きなんだろうなって思う。思えば、80sの音楽は好きだけど、商業化された80sの音楽ってそんなに好きじゃないんだよね。

-もうちょっとアヴァンギャルドなもののほうがいい?

テクノロジーを新しい楽器みたいに、"これ、なんか面白いことできんじゃん"ってシンセを取り入れてるバンドがやっぱり好きだったね。そこにエナジーを感じるというか。機械を使ってるけど、ちょっと汗を感じるのが好きなものだから。80年代も82、83年くらいがギリかな。中ごろはインダストリアルの方が面白い気がするし。だから、なんだこれ?っていうのが基本は大事にしていきたいポイントなのかもしれない。