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INTERVIEW

Japanese

POLYSICS

2015年07月号掲載

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Member:ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

-オイル怪獣でサウンドはTHE POP GROUPやGANG OF FOURみたいな、ソリッドなギター・サウンドになるのかと、面白かったですね(笑)。

(笑)オイル怪獣括りで作りたいなと思って、ひと通り観たんだよな。それで、普通のポスト・パンク的なものにしようと思いながらも、やっぱりファンク・ブームだったんだよね。ナメゴンとはタイプが違うけど、こういういわゆるポスト・パンク的なファンクもありだなと思って。フミがあそこまでベースをブリブリ弾くのが今までなかったし。逆にナメゴンは、非人間的なベース・ラインで。両方ともファンクがベースになってるけど、全然違うっていう。

-そのファンク・ブームは、何かきっかけが?

基本結構好きではあるんですよ。でもそれは、TALKING HEADSの影響なんだけどね。もちろんJames Brownも好きだけど、もともとのきっかけはTALKING HEADS。ただのファンクじゃなくてね。

-何かフィルターを経たファンクっていう。

この偏愛シリーズをやってて思ったんだけど、そういうのが好きみたい。THE BEATLESよりXTCだったりするみたいな(笑)。

-もうひとひねりしたものだったり、化合物がいいと(笑)。

そう。刺身じゃなくて、魚肉ソーセージみたいなね(笑)。それは再認識はした。

-今回のテーマの怪獣だって、もともとはひとひねりあるものですもんね。

そうそう、恐竜が好きなわけじゃなくて、特殊なこのデザインがあって、それでいてちゃんと子どもがこれをキャッチーと思えることが大事。ただこれがモンスターだったら、好きじゃないんだろうな。これがちゃんと絵で描けて、ソフビで遊べるみたいなものが好きなんだよね。それで、独特のミックス感があって。これは、前から自分の中で合点してるところなんだけど(笑)。要はペスターも、コウモリとヒトデがデザインのモチーフになってるのね。顔はコウモリだけど、でもヒトデ。この、絶対に交わることのないヒトデとコウモリが、怪獣というものを通じてひとつになって。俺がちっちゃいときから見ても忘れられないデザインになってるし、キャッチーなものになってる。この感じが結構、自分の音楽と似ているのがあるかな。テクノ・ポップとかニュー・ウェイヴがベースだけど、そこと真逆のDEEP PURPLEとか(笑)。

-メタルが入ってきちゃうような。

サーフとかね。で、音楽になるっていう。それで、ライヴで盛り上がるのが、"もしかして自分のやっていることと近いのかもしれない"って。それは5年くらい前に成田亨さん(ウルトラQやウルトラマンの怪獣のデザインを手がける)というデザイナーの展示会を観に行ったときにすごい思ったのね。

-例えばPOLYSICSを初めて聴いたときって、"何だこれ?!"という感じがあると思うんです。でもそれでいて、抗えない魅力がある。怪獣も同じような感じでしょうかね。

そこでポップなものになってるのが大事なことなのかもしれない。そういうのを作っていきたいってそのとき思ったなあ。

-好きなものって、最終的にちゃんと形になっていくものなんですね(笑)。

思った、そのとき(笑)。これはもっと怪獣が好きだって言っていこうって。

-それが5年越しで作品になったわけですね。そして、では次の「怪獣サインはV ~球好き怪獣ガラキング登場~」。いかにも怪獣らしい名前ですが、でもボール大好きっていうのが、意味がわからなくていい(笑)。

球好き怪獣っていう、この括りがヤバいよね。

-もうシリーズいろいろやりすぎてわかんなくなっちゃってるような(笑)。

まさに、ウルトラマンタロウはそうなのよ。ガラキングはタロウを象徴する怪獣なのね。もうただ単に、ボールが大好きっていう。ウルトラシリーズ全般好きなんだけど、タロウは特に疲れているときに観て癒される優しさがあるっていうか。ウルトラQとかウルトラマンは社会派なメッセージが込められているけど、タロウは、"明るく元気で愉快なタロウ"ってコンセプトなのね。それが頭からケツまでまったくブレずに、貫かれている。テコ入れが一切入ってないんだなっていうのが、観てわかる。だから、途中でウルトラ兄弟がいっぱい出てくる祭り感があったり、父も母も出るしみたいな。

-ファンや子どもたちは楽しくてしょうがないみたいな。

怪獣の倒し方も、すごくユルくて。例えば、酔っぱらい怪獣ベロンっていうのがいて、名前からしてユルいんだけど。最後はタロウがでっかいバケツ持ってきて、水をぶっかけて酔いを醒ますとか(笑)。モットクレロンっていう怪獣は、八百屋の野菜を食べちゃって。どう倒すかって言ったら、デカい樽にモットクレロンを入れて上からタロウが踏みつぶして塩漬けにするとか(笑)。いちいちヤバいんだよね。最初は、一枚ピンと張ったテンションがないのは、抵抗があったんだけど、しかも隊長が名古屋章で副隊長が東野英心で。