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INTERVIEW

Japanese

the twenties

2015年04月号掲載

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Member:タカイ リョウ (Vo/Gt) ウルマ ヒロユキ (Gt) 徹 (Ba) アンソニーダイナソー (Dr)

Interviewer:天野 史彬

the twentiesのヴォーカリスト、タカイリョウは、幼いころに親に捨てられ、その少年時代を養護施設で過ごしている。そして、そのころに出会ったのが音楽なのだという。彼は何故、自らの厳しい過去と密接に繋がった"音楽"を、今でも追い求め、鳴らし続けているのだろうか?――その理由はきっと、"人は何故、音楽で踊るのか?"という問いかけに繋がるものだ。ポップ・ソングが流れる3分間に宿った刹那と永遠。踊り明かした夜の煌めく高揚と、音楽が鳴り止んだ朝焼けの中に見る虚無。音楽は、喜びと悲しみの両方を浮き彫りにする。彼らの3rdミニ・アルバム『MUSIC』は、その本質を通底音として奏でている。

-the twentiesの音楽って、ジャンル的に大きく分ければ"ダンス・ロック"に括られると思うんです。でも、ただ身体を動かすだけじゃなくて、"なんで人は踊るのか?"あるいは"なんで人は音楽を求めるのか?"という根幹にまでリーチしていく音楽を鳴らしていると思っていて。

タカイ:ありがとうございます。

-まず、どうしてthe twentiesは結成されたのか、というところから教えていただけますか。

タカイ:もともと、俺がバンドをしたくて。中学から組みたかったんですけど、組めなかったんですよ、友達がいなかったので(笑)。あと、俺は施設に入ってたので、門限が夕方の6時で、そもそも友達と遊ぶ時間もないんですよね。なので非行に走るしかなくて、バンドを組むとかよりも、夜に抜け出してゲーム・センター行ったり、公園でたむろしたりっていう遊びしかできなかったんですよね。そういう理由で、ずっとバンドを組みたかったんですけど、できなくて。でも、20歳過ぎてやっとウルマを見つけて。当時、俺はピアス屋で働いてたんですけど、その隣のお店にウルマが入ってきて、ギターをやってるっていう噂を聞いたので誘ったんです。最初は他のベースとドラムがいたんですけど、そいつがクズ過ぎたので辞めさせて(笑)。その後に今のふたりが入ってきて、結成っていう感じですね。

-タカイさんが幼少のころに養護施設の前に置き去りにされたっていう話は、前に他の記事でも読んだことがあるんですけど、実際、その施設にはどのくらいの期間いたんですか?

タカイ:2歳か3歳のころから高校2年までですね。そこでずっと暮らしてて。施設って何もないので、音楽聴くか、喧嘩するしかないんですよね。ゲームとかもないし。自然と音楽ばっかりになっていったし、ちょうどハイスタ・ブームのころで、学校でもみんなバンドを始めてて、いいなって思ってて。

-施設の中にも、音楽は自然と入ってきていたんですか?

タカイ:そうっすね。小学生のころに、同じ部屋にいた高校生の兄ちゃんがずーっとTHE BLUE HEARTSを聴いていて。最初は、そういう施設の上の人たちが聴いてる音楽を一緒に聴いてた......というか、その環境の中で暮らしてたっていう感じでしたね。自分から音楽を聴き始めたのが中学1年くらいで。ラジカセが下りてくるんですよ。年功序列で、施設を卒業していった高校生の余ったラジカセが自分にも回ってきて、それからは自分でも聴くようになりましたね。

-なるほど。20歳のころにウルマさんと出会い、バンドを組むに至った経緯はどういうものだったんですか?

タカイ:ずっと(バンドを)"したいしたい"って言ってたので、同じファッション・ビルの人がやってるバンドのライヴにヴォーカルで出たことがあったんです。バンドを組もうって誘う前に、ウルマにそれを観に来てもらったんです。

ウルマ:あのときはパッと見、あんま上手くないなって思いましたね(笑)。(当時のタカイは)バンドをするのもギターを弾くのも初めてのことが多かったみたいで。でも俺は、バンドは一通りいろんなジャンルをやったりしてて、もうバンドはやらないだろうなって思ってたんです。そういうときに出会ったんですけど、何故か惹かれて。"この人とやったら面白いだろうな"っていう漠然とした想いが込み上げてきたんです。

-バンド経験のあるウルマさんが、技術的にはおぼつかないタカイさんに惹かれたのは、どうしてだったんでしょうね?

ウルマ:わかんないんです。不思議なんですよ。自分と対等のレベルの人とか、あるいは自分より上の人と組もうとは考えなかったんですけど、"こいつは面白くなりそうだな"っていう感覚というか......"発見した"っていう感覚があったんですよね。宝探し的な感じだったと思うんですよ。1度辞めたことをもう1回やろうと思ったら、得することとか、何かが見えないと行動を起こす気にはならないですよね。そのときの自分には何か見えたんでしょうね。今となってははっきりとは思い出せないけど、こいつ(タカイ)に何かを感じたんだと思います。不思議だなぁっていう。

-アンソニーさんと徹さんは、the twentiesに加入する際にはふたりにどんな印象を持っていましたか?

アンソニー:僕は別のバンドをやっていて、そのバンドがもう終わるっていうころに、ライヴハウスの人に"the twentiesっていうバンドのドラムがいなくなるから、代わりにやってみないか"っていう話をもらって。最初にスタジオに入ったときは、僕はほとんどドラム未経験だったんですよ。それまではずっとギターを弾いてて。でも、(ウルマと)同じような感じだと思うんですけど、ピンときたんですよね。"ドラムをやったら何か変わるんじゃないか"と思って。根拠のない自信なんですけどね。それで、"よし、やってやろう"って思いました。

徹:俺は、タカイが働いてる店に客として行っていて。で、別のバンドを組んでたんですけど、そこで前のベースのときのthe twentiesとも2回ぐらい対バンしてるんですよ。そのときに、ギターの音が初めて聴いたくらいに強烈だったんですよね。(当時の活動拠点だった)大分のバンドの中ではズバ抜けていたと思う。その後、打ち上げみたいな場所でウルマと話す機会があって"ベースが抜ける"っていう話をされたので、"やらせてよ!"って無理やり入った感じでしたね(笑)。スタジオの日を教えてもらって、他のふたりの許可をもらわずに勝手に行って、そのまま居着いた感じでした。

-この4人が集まったときから、音楽性は今のようなダンス・ロック的な形だったんですか?

タカイ:方向性はそうですね。ダンス・ロック云々っていうよりは、"踊らせたい"っていう意識が強いです。踊ってるとめっちゃ楽しいですし、俺らもそういうふうに踊らせたいなって。でも、昔はもっとガレージ色が強かったですね。でも、ウルルン(ウルマ)の出すギターのサウンドだったり、俺もクラブで遊んだりするのが好きなので、そういう遊びを経ていくうちに、いろんな音楽を吸収していくようになって。NEW ORDERみたいな打ち込みの入ってるバンドも好きですし。それで、もっと自由にやっていいなって思うようになったんですよね。で、ガレージの中にはもう納まりきらなくなった。

-ただ、the twentiesは"踊らせる"ことに強い意識を持ちながらも、シンセのフレーズや打ち込みのビートは使わずに、あくまで"人力"のサウンドであることにこだわっているんですよね。その理由はどこにあるんですか?

ウルマ:単純にそれがカッコいいなぁっていう感じだと思うんですよ。"お前らには出せねえだろう、この生臭さ"みたいな。打ち込みを使ってるバンドって、音圧の強さだったり、旋律の細かさだったりはカッコいいと思うんですよ。でも、うちらにはうちらにしか出せない空間があるんじゃないかって思うんですよね。

-ウルマさんのギターの音って、かなり特殊ですよね。音源を聴いて、これがシンセから鳴っている音だと思う人って多いと思うんですけど、でも実際はすべてギターで弾かれている。でも、ただシンセっぽいということじゃなくて、ギター独自の生々しさや荒々しさもすごくある。こういう音が出てきたきっかけって、どうしてだったんですか?

ウルマ:狙った部分もあるし、家でいじくってて発見した部分もあるんですけど......まぁ、探究心でしょうね。新しいことをやりたいし、人を真似るのは簡単だと思ってるので。そうじゃないことで飛び抜ける音を探究してる部分はありますね。この音は俺しか出せねぇだろうなって思うし。

-個々の"自分にしか出せない音"が集まるのがバンドなんですよね。そういう、人間同士のぶつかり合いから生まれるケミストリーを信じている部分はありますか?

ウルマ:それが1番ですね。そこを楽しめないとなっていうのはありますよね。曲を作ってメンバーに投げて、各々が好き勝手なフレーズをつけて、またせーのでやる瞬間とか。その化学反応はバンドをやってて楽しみな部分ではありますよね。食べたことのない味を食べてみたいっていう。