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INTERVIEW

Japanese

the twenties

2017年11月号掲載

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Member:タカイ リョウ(Vo/Gt) ウルマ ヒロユキ(Gt) 野菜くん(Ba) アンソニーダイナソー(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

the twentiesが2年8ヶ月ぶり、そして待望の1stフル・アルバム『GLIMMER』を完成させた。激しくアッパーな前半からガラリと色合いを変えていくストーリー性のある1枚は、中盤以降のミディアム・テンポの楽曲、初のバラードなど、これまで彼らのライヴを経験してきた者にとっては衝撃を与えるものかもしれない。中でも特に衝撃的なのはアルバムの核になっているタカイリョウが自らの体験を歌った「園の子」だ。シンプルなサウンドの中を、タカイがふたつの声を重ねながら歌うこの曲は、シンプルな演奏と美しいメロディが風のように言葉を運んできて、聴く者の胸に残る。1stにしてターニング・ポイントになるであろう今作についてメンバー全員に話を訊いた。

-2年8ヶ月ぶり、初のフル・アルバムとなりますが、まずはアルバムが完成した今の率直な気持ちをそれぞれ教えてもらえますか。

タカイ:明らかに、今まで出してきた作品とは結構違う仕上がりになってます。曲も僕の歌詞の内容もそうなんですけど。2年8ヶ月ただ生きてるだけじゃなかったので、その間に考えることもいろいろあって、聴いてきた音楽もいろいろで。2年8ヶ月前とは自分自身も違いますし、それがすごく出た作品です。

ウルマ:自分が前作(2015年リリースの3rdミニ・アルバム『MUSIC』)、前々作(2014年リリースの2ndミニ・アルバム『palm』)と比べて違うと思うところはサウンド面ですね。理想とする音に近い音を表現できたかなって。音を作ること、CDにするときの音の仕上げ方ってすごく難しいなって思っていたんですけど、今回の『GLIMMER』はドラム、ギター、ベース、ボーカルの音色だったり質感だったりが、出したい音に少しでも近づけて再現できたかなって。あとは歌詞とサウンドがかけ離れてないというか、歌詞の内容に寄り添ったサウンドが出せているんじゃないかなって思いますね。前と違うアプローチの仕方をしていると思います。

アンソニー:僕はどちらかというと、偶発的に出る音とか混ざり合う音とかが好きだったんですけど、今回のアルバムに関しては、1曲1曲に対してサウンドをこうしぼって狙っていこうみたいな思いがあって。そこは結構ウルマと近いとは思うんですけど1曲1曲の情景、明るかったり湿っぽかったりっていう雰囲気を音に表すように心掛けてCDに落とし込むっていう作業をしていたので、なかなか自分としては満足とは言い切れないかもしれないですけど、そこに向けて頑張れたかなっていう気持ちです。リズムに関して言えば、野菜くんが入ってからアプローチの仕方が変わったので。そこが大きかったですね。

野菜くん:僕は加入したのがサポートからだったんですけど、去年の頭くらいで。その時点で曲を作りまくっていて、ずっと曲作りをしていたっていう感覚ですね。できあがった10曲を改めて聴くと、一貫したストーリー性があるなって。歌詞に関してもそうなんですけど、タカイの歌詞が結構リアルで。ある種、ロック・オペラに近いような印象を受けました。歌詞って、曲のあとにできるので、レコーディングのときに再度確認すると"なるほど、こういうことを言ってるんだ"っていう発見もあって。完パケしてさらに新鮮な気持ちで聴けたんで、作り手としてというよりリスナーとして聴ける客観性を持った作品になったし、すごくいいアルバムになったと思います。

-野菜くんが加入して変わったのは具体的に言うとどんな部分なんでしょう?

ウルマ:バンドとしてスキルが上がった気がします。ライヴの本数がすごかったというのもあるんですけど、単純に野菜くんは上手いので、グルーヴ面に関しても音の追求面に関しても、レベルを上げることができたのかなって思いますね。

タカイ:個人的に一番大きかったのは、俺が聴いている音楽と野菜くんが聴いてる音楽がかなり近いっていうことでしたね。"こんな感じ"っていうのが結構伝わるので。それは俺の中でめちゃくちゃやりやすかったです。

野菜くん:作業はスムーズで。試行錯誤もいろいろできましたね。

-最近聴いている音楽が似ていた、ということ? それともルーツが似ているということですか。

タカイ:いや、単純にある程度聴いている音楽が同じようなものっていうことがあって。そこの話がスムーズだったんですよね。

ウルマ:ふたりとも聴いてる量が多いよね。"あれのあの感じ"、"あぁ、なるほど"って結構わかっちゃうから。1回相手が飲み込んで解釈してからっていうのじゃなくて、もともと解釈しているからスタジオで見ていても話が早いんですよね。

タカイ:それが野菜くんが入ってから一番変わったところですね。

-野菜くんとの会話の中で発想が生まれて曲ができたりもしたんですか。

タカイ:それもありますし、例えば野菜くんがラフで音源を持ってきたときに、"これはあのへんの曲を聴いたから出てきた曲?"っていうのがだいたい合っていて(笑)。そんな感じでした。

野菜くん:リフとかね。

-お前は俺か? っていう。

タカイ:そうです、そうです(笑)。"俺、そういうのやりたかった"っていう。感覚が近い感じで、ポンッて持ってくるんです。そこが良かったです。

-そういう部分があったから正式メンバーとして加入したというのもあるんですかね。

野菜くん:始まりは、ベースを弾いてくれないかっていきなりLINEがきたんです。他のバンドもやっていたんですけど、サポートもやっていたので軽い気持ちで受けて。僕はリスナーとしても前の曲も好きだったんですけど、すぐに新曲を作り出したんですよ。最初は「LET IT DIE」なんですけど、この曲がすごく自分の中で大きくて。ベース・ソロがあるっていうのもあるんですけど、そういう席を用意してくれているというのが、単純に嬉しかったです。

-スラップで自己紹介をしているような感じですよね。

野菜くん:そうですね、自己紹介(笑)。

タカイ:僕らほとんどMCないですし、メンバー紹介をまったくしないんですよ。でもこれならライヴでも紹介しやすいですし。最初にヘルプでやってもらう時点で正式メンバーでやってもらいたい気持ちもあったので、気持ち良くやってもらおうと思って、曲の中にベース・ソロを入れて、来てくれるお客さんにも自然と紹介できるようにして。そんなことをして必死に引っ張りました(笑)。

-三顧の礼で迎えたということですね(笑)。

タカイ:そうそう(笑)。

野菜くん:最初に「LET IT DIE」ができて本当に良かったと思います。