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INTERVIEW

Japanese

NICO Touches the Walls

2015年02月号掲載

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Member:光村 龍哉 (Vo/Gt) 古村 大介 (Gt) 坂倉 心悟 (Ba) 対馬 祥太郎 (Dr)

Interviewer:山口 智男

"攻めの年"と位置づけた昨年、日本武道館公演を成功させたNICO Touches the Wallsにとって、さらなる挑戦の年となる今年2015年。その第一歩として、彼らがリリースするのが『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』。「手をたたけ」他、代表曲の数々をリアレンジしてセルフ・カヴァーしたアコースティック・アルバムだ。だからって、ありがちなアンプラグド作品なんて思うなかれ。彼ら曰く"今の自分たちにできる最大の攻め"なんだそうだ。新曲「口笛吹いて、こんにちは」を含む今回のアルバムに込めた想いを4人に語ってもらおう。

-"攻めの年"と位置づけ、いろいろなことに挑戦した2014年を振り返って、どんな1年になったと感じていますか?

光村:ベスト盤を出すという、バンドにとってはひとつ大きな出来事もありましたし、それも含め、"まだまだこんなもんじゃない"ということを、いろいろな方向から表現していけたと思います。"カベニミミ"というすごく小さなライヴハウスを自分たちで作って、そこで1ヶ月間、週5でライヴもやりましたし。毎日、200人のお客さんを前にしながら毎日セットリストが違うライヴをやってたんですけど、いろいろなバンドマンの人たちから"すげえ面白いことやってるね""見方が変わった"と言ってもらえたし、そんなこともやりながら日本武道館公演という大きなライヴも成功させることができましたし、自分たちならではの音楽の遊び方というのを、楽しくやりながら攻めのモードに転換できたのかな。バンドがやっと思ってた感じに見てもらえるようになったのかなという手応えがある1年でしたね。

-今年はそこからさらなる挑戦の年になるんじゃないかと思うんですけど、そんな2015年の第1弾リリースにアコースティック・アルバムを選んだところが興味深い。

光村:楽しんで音楽をやっているんだぞってことを、なかなか理解してもらえてない現実と向き合うことが多くて、ずっと悔しかったんですよ。"スタイリッシュにやっていらっしゃるんでしょ"みたいなことをよく言われたりするんですけど、実際、全然そんなことない。もがき苦しむ中で必死に自分たちの居場所を作ろうとやってきて、やっと自分たちの居場所を作れたのが去年だったんですけど、その延長でもっと攻めたこと、今の俺らにしかやれないようなことってなったときに、ずっとシングルとかアルバムとかの特典でアコースティックでセッションしているスタジオ覗き見映像みたいなものを作ってて、それが非常に僕らとしてもやってて楽しくて、いつかちゃんと作品にできたらと思ってたんですよ。それを作品にすることが今の俺らの最大の攻めだなという話し合いのもと、今回の作品を作ろうということになりました。

-そうか、攻めなわけですね。そういえば、武道館でもアコースティック・ギターを手にして演奏する場面も見られましたね。

光村:4年前に武道館でやったときにはできなかったことだったんですよ。武道館ってある意味、ここから先もっと大きくなっていくのか否かっていうひとつの分かれ目だと思うんですけど、そういうところに合わせていこうと考えて、ゴージャスに盛って盛って盛り込んじゃって、4年前は自分たちでも何をやっているのかわからない状態になっちゃったんですよ(苦笑)。そこから4年経って、自分たちの魅力はそこじゃなくて、もっとシンプルにメロディと自分たちが演奏している生々しい力だよなって、4人で話し合ったときになって、いろいろなものを削ぎ落としていって、前回はものすごくいろいろなものを着飾って、自分たちを大きく見せようとしていたけど、その4年後の武道館では、究極、弾き語りぐらいまで"これ別に武道館でやらなくてもいいじゃん"ってぐらい会場に対してものすごく小さく見せることが自分たちにできる最大の攻めだと思って。"これ、やりたくても同世代のバンドにはなかなかやれないんじゃないかな"ってところでもひとつ自信になったんです。

-自分たちの抜き身の魅力だけで勝負するのって、自信がないとできないですよね。

光村:うちのイベンターの方から聞いたんですけど、昔、BLANKEY JET CITYが武道館で初めてやったとき、ずっとハイエースで全国ツアーを3人で回って、その最後が武道館だったらしいんですけど、そのままハイエースで武道館に乗り込んでいったって。その話を聞いたとき、"その武道館に向かう姿勢かっこいいな"って思ったことが忘れられなくて、去年、武道館やるとき、それぐらいの気持ちで入れたらいいなというところもありました。飾りつけることは簡単かもしれないけど、積み重ねてきたものをまんま持っていくことのほうがよっぽど派手なんじゃないかって思いました。

-ところで、『ローハイド』のころからカントリー・テイストを感じさせていますが、今回のアー写も意識してたりするんですか?

光村:とくに意識はしていないんですけど、ただ、どんどんオーガニックにはなってきましたよね。『ローハイド』もそうですし、その前の『Shout to the Walls!』でも「Mr.ECHO」を始め、何曲かアコースティック・ギターを持って、弾き語りで作っていくみたいなものもあって、それが「ローハイド」でひとつ、ものになった感じがあったんですよ。自分たちのスタイルというか、歌とか言葉とかがこのやり方だとすごく良く届くと思ったんです。だから、そうですね、オーガニックな流れっていうのは今1番、落ち着くのかな、自分たちで。そういう意味では、今回のアコースティック・アルバムはその究極の形ですよね。