Japanese
チーナ
2014年08月号掲載
Member:椎名 杏子 (Vo/Pf) リーダー (Gt/microKORG) 林 絵里 (Cb) HAPPY (Dr)
Interviewer:石角 友香
-改めて聞くんですけど、みなさんのバックボーンって?
椎名:私、ホントにクラシックしかやってなくて。それ以外の音楽も、テレビで見てる音楽を軽く聴くぐらいで。ピアノを弾くってことが音楽だったので、ほぼそういうふうに私の今の音楽性って構築されてると思うんですけど。こっちの道に入るきっかけは、大学生の頃、この先どうすればいいのかわかんなくて、道はピアノの先生か?みたいな感じで(苦笑)。でも、クラシックって練習めちゃくちゃつらいし(笑)、結構追い詰められてるときに、たまたま、CD屋さんで全然そのとき知らなかったけどNorah Jonesを試聴したら、すごくかっこいい感じで。そのときホントに恥ずかしいんですけど、初めて泣いたっていうか涙が出て。そのときにNorah Jonesの音楽っていうこともそうだけど、同じピアノだけど全然違うけど、ポップスとかそういう音楽をホントにいいなって思いました。
-確かにクラシックってお手本があって、どこまで完成度を上げていくか?みたいな作業ですよね。
椎名:そうですね。それこそゆるい糸があるとしたら、とにかくそれをずーっとこう引っ張って、張り詰めさせるみたいなイメージがクラシックにはあるんですけど、Norah Jonesは、私にとっては張ってた糸をゆるめてくれた存在で。柔らかさというか、ラフさがあって、でもすごいかっこいいっていうものだったから。
-じゃあそれまではピアノ弾くことが仕事みたいな感じだったんですね。
椎名:結構そうだったのかも。ピアノ弾くことは好きだったんですけど、今も好きなんですけど、でもすごいコンサートを開きたいほど好きじゃなかったから、私は。だから旅行に行って、飛行機とか乗るじゃないですか?そしたら絶対ピアノ弾ける状態じゃない状態に置かれる、そのときがすっごい幸せで。今思えば追いつめられたというか。
-じゃあ、チーナっていう出口が見つかって良かったですね。
椎名:いやホントに良かった(笑)。
-リーダーはどんな背景を?
リーダー:僕はそもそも中学校前まではMr.Childrenとかスピッツみたいなどポップが好きで。ギターを始めるきっかけになったのはGLAYで、コピーしてた時代があって。高校に入ってからはもろAIR JAM世代なんで、それこそBRAHMANとかその辺のを聴いたりコピーしてました。そのときはメロコアばっかり流行っててたんですけど、メロコアをやりたいなってあまり思わなくて。俺は、もっとハイセンスなことしたいなって(笑)思ってるときにスチャダラパーとか、CORNELIUSとか坂本龍一とか、ちょっとデジタルな音楽がグッときて、そっちが好きになったり、ヒップホップやインストとかポスト・ロックも聴いてたときに"このバンドが好きだ"みたいのがなくなってきちゃったんですよ。
-面白いですね。林さんは?
林:私は初めて音楽的にはまったのはTHE BLUE HEARTSとか。
-すごい心強い人がいる!
椎名:そう、芯のブレない人がいる(笑)。
林:でもそのあとはまったのはフィッシュマンズとか、大学生の頃はエレクトロニカとか打ち込み系にもはまったりとかして。好きなベーシストは細野晴臣さん......なんですけど、私、聴きたい音楽とやりたい音楽って私の中で別なんですよ。だから細野晴臣さんは好きなんですけど、はっぴいえんどみたいなバンドをやりたいか?とか、好きなバンドっぽい音楽をやりたいか?と言われると、なんかどうもつながらなくて。だからそういう意味でかっこいいなと思うバンドも好きなバンドもいるんですけど、やりたいなって素直に思えるバンドは恥ずかしいけど、チーナだけです(笑)。
椎名:えっちゃん(林)が"私はもっとガーン!って感じのをやりたい"って言うんですよ。今回のアルバムでも「大きな渦」って曲があるんですけど。
-かっこいいですよね。
椎名:この曲はすごく構成とか悩んだり、うまくいかなくて。で、初めて私が"もうこれやめない?"って。完成する気がしないって言ったら、えっちゃんは"絶対にこれをやり遂げる"って。こういう曲の要だったりしますね。
-HAPPYさんは?
HAPPY:僕は表現者的な部分、ゼロからつくるっていうのはあんまり得意じゃないと思ってるんですね。演奏するのは好きなんですけど。そういう意味で中学校のときに吹奏楽部に入ったのが、いちばん音楽と触れ合ったきっかけで。なんかいろんな楽器に触れるんですけど、ドラムって意外になにも考えない方ができたりするんですけど、その時も何も考えないでドラムを叩いたら8ビートが叩けて。"あ、じゃあこれだ!"って始めたのがドラムだったので。
-こう、誰がフロントで誰が元締めなのかわからないというバンドですよね。
リーダー:でも、そうですね。絶妙なバランスだなあってよく思います。
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