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INTERVIEW

Overseas

THE DRUMS

2010年06月号掲載

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Member:Jonathan Pierce(Vo)

Interviewer:伊藤 洋輔

2010年最重要新人バンドとして、夏、海、サーフィンとありったけのサマー・フィーリングに彩られた世界観で一躍インディ・シーンの主役となったTHE DRUMS。世界中のメディアから送られるBEST HOPEの呼び声に答えるように、驚異的な完成度を誇るデビュー・アルバム、さらに圧倒的なパフォーマンスと届けてくれたが、まだまだDRUMSの季節は終わらない。約1年3ヶ月というスパンで早くもセカンド・アルバムが完成した。“2枚目のジンクス”などどこ吹く風、これがまたしてもファンを裏切らない素晴らしい内容だ。新たな領域に踏み込んだバンドの今をフロントマンJonathan Pierceに聞いた。

-まず始めに、東日本大震災を受けて4月に新曲「The New World」をチャリティ・シングルとして全世界でデジタル・リリースしましたね。また、ここ日本ではひとりでも多くのファンにこの曲をプレゼントしたい意向からフリー・ダウンロードの形をとったのは深く感銘を受けました。改めて、この曲に込めた想い、そしてメッセージを聞かせてもらえますか?

僕たちは前から日本という国に何か特別な繋がりを持っているように常に感じていたんだ。東京に降り立ったその瞬間から、この国は特別な場所になるということを確信していたよ。個人的に、良い場所というのは良い人々によって作られていると考えているんだけれど、地球上でこんなにファンからの愛を感じられる場所は他にどこにもないんだ。だからあの震災が起こった時、僕たちはもちろんすごく落ち込んだし、日本の人々を少しでも慰めるため、あとは世界に日本で何が起こったかを知ってもらうためにあの曲を作ったんだよ。僕たちだけがこういったことをやっているバンドじゃないことは知っているし、災害の大きさに比べればとてもちっぽけなことだとは分かっているけれど、それでもこの曲を通して少しでも希望を与えることができれば良いな、と思ったんだ。

-今年の5月には3度目の来日公演が実現しました。前回同様にミート&グリードでファンとの交流も行い楽しめたようですが、今回での来日で新たな発見や印象的だったエピソードはありましたか?

今回の来日で何が一番興奮したかって、大阪と東京以外に名古屋でも公演を行うことができたことだよ!大阪と東京同様に名古屋も大好きになったよ。朝早起きして、朝日が昇る中道をただただ散歩しながら新しいアルバムを聴いた時のことをよく覚えている。僕たちがとても素晴らしい場所にいること、そして僕たちがとても良いアルバムを作ったという事実を実感できたんだ。そして、長いこと感じていなかった平和を感じることができたんだよ。

-昨年末にはギターのAdam Kessler脱退にともない、Jacob Grahamがギターからキーボードへ、Connor Hanwickがドラムからギターに変更され、ツアー・メンバーとしてMyles Matheny(Gt)とChris Stein(Dr)が参加しました。このスタイルの変化はTHE DRUMSに新たな何かをもたらしたと考えると、どのようなものでしょうか?また、正式なメンバーとしても5人体制となったのでしょうか?

いや、これから先もTHE DRUMSが正式に5人体制になることはないよ。これが最後のメンバー・チェンジになるといいけどね、僕たちのライヴにぴったりなメンバーを探すのには苦労したからさ。でもその苦労は無駄じゃなかった。良き友達でもあるライヴ・メンバー2人を見つけて、ショウをさらに大きく、力強くすることができたんだ。これで現状すべての曲をライヴで演奏することができるようになって、バッキング・トラックに頼らなくてもよくなったんだ。そのおかげでとても価値のあるライヴをすることができるようになったよ。バッキング・トラックを使うことが悪いと言っている訳じゃないけど、僕たちにとって新しい章の幕開けになったと感じているんだ。

-では新作について伺っていきます。まずデビュー・アルバムをリリースしてから約1年で2ndアルバムを完成させたのは驚きです。しかし、NMEのインタビューであなたは制作過程で“解散寸前の状態にまでなった”と発言していましたが、やはり前作の成功に伴うプレッシャーからさまざまなメンバー間のトラブルはあったのでしょうか?

どんなバンドでも長い期間活動を続けて追いつめられるとそういった状態に陥ると思うんだ。この生活に対して、メンバーの誰も心の準備ができていなかった。誰も、世界中を旅しながら家に帰れなくなるなんて予想だにしていなかったんだよ。僕たちの人生はミュージシャンとしてとても恵まれていると同時に、ズタズタにされたとも言えるんだ。だから『Portamento』の制作中は、お互いに対して我慢しなければいけないことがたくさんあった。僕たちはあまりに長い時間一緒に過ごしすぎたみたいだったよ。それと何をしても人々の話題にのぼったり、雑誌に祭り上げられたりして、それが重荷になってもいたんだ。でも今回のアルバムはそれらのことを乗り越えた結果にできあがったものだし、そういった意味では素晴らしい経験だったよ。