sleepy.ab「二度寝する奴ぁ三度寝る」【第16回】

2013年11月号掲載

sleepy.ab

このお話は幼少期に起きたちょっぴりエスパー？なお話。
みなさん、小さい頃の夢ってありましたよね。
自分の小学校の頃の文集の将来の夢という項目には『夢の旅人さ、ケケケー』と書いてあった。なんのこっちゃ、、だけどわからんでもない。
そして中学校の文集には『事務員』と書いてある。
この落差ってなんだろう。中学生の時が人生の中で一番現実的だったかもしれない。そして高校一年の頃の夢は『陸上選手』と書いてあった。
そしてなんだかんだ省略して、今にいたる。
何個か前のコラムに中学の頃に剣道をやっていた話をしました。３年間一度たりとも勝ったことがないってお話。小手は痛いよってお話。
小さい頃から運動神経というものがまるでなかったのを自覚している。球技なんてのはもっての他。手から、足から、至る所から球はこぼれていく。
今回は事務員からランナーを目指すきっかけについて話そうと思う。前述の通り運動神経が悪いので走ることも、もちろん苦手の一つだった。
結果から言ってしまうとそれは突然舞い降りた。
中学校３年生２学期の体育の時間だった。走り高跳びの授業。あれ？と思った。違和感があった。今走ったら足が速いかもと思ったただ漠然と思った。そしてイメージ通り走ってみた。そしたらめちゃくちゃ足が速くなってた。
何だこれ！？何が何だかよくわからなかった。とても不思議な体験だった。なにかの方程式みたいなものを解いたみたいに。ほんと急だった。
クラスでも後ろから数えた方が早いくらいだったのにその時から一番速くなっちゃうんだからびっくり。完全にブレイクといっていい。
まるで自分の身体じゃないみたいに軽い。
イメージを具現化できる感じというか。とりあえず速い。
高校に上がるとすぐに陸上部からスカウトされる。先輩が教室に来て『成山ってどいつ？』っていうありそうでなさそうな、あれだ。
中学の時に剣道で日の目を浴びなかったことを考えたら相当にエリートコースだ。
しかし一つ思ったことがある。なんなら小学校の時に足が速い人になりたかったなと。だって小さい頃ってなぜか足速いともてるじゃない？あれなんでだろうね？狩りが得意そうとかをDNA的なあれやこれで判断するのかな？
まあいいや。それとこの能力は走るだけに特化したものだったのでただひたすら走った。しかしその栄光のエリートアスリート人生はあっけなく１年くらいで終わりを告げる。陸上部に入って間もなく魔法が解ける。またそれも急だった。いや元よりは断然速い。けどそれは特別なものではなくなっていた。理由はわからない。
けどすぐ気付いた。あっ、終わったんだって。不思議に素直に感じれた。
突然やってきて突然消えていった。
スーパーマリオでスター取って時間が切れて戻ったみたいな。
そして自然に段々と陸上から遠ざかっていった。
その後、高校卒業を機に音楽をやりたいと母に伝えたとき。あんたマラソン選手になるんじゃなかったの！？と本気でびっくりされた。がっかりしてた。
あのひとときのプチブレイクはなんだったんだろう。何か意味があったんだろうか？何かを掴みかけていたんだろうか？それを活かせなかっただけなのか？
とか色々考えてみたりしたけどただの成長過程の偶然なんだろうなとも思ったりもする。
けどなにかコツみたいなものがあるんなだろうなと思う。
どんなことにもそのコツみたいなものがあってきっとヒントやキーワードみたいなものが実は無数に足下に散らばっている。それを見つけられるか、そして頭の中でイメージできるかどうかで大きく変わってくる。
ちょっとスピリチュアルな話にも聞こえるかもしれないけどそれは実はとっても自然な事だと思う。
自分で言ってて収拾つかなくなってきたけど、ほんのちょっとしたことで状況を変えられるはずだと思いたいというか。
音楽に携わっていてそれでしか得ない特別な感覚を感じることがある。
自分で強く思い込める事もコツなのかもしれない。
最近、また走り始めました。なにか奥底で沸々としたものを感じる。
ここに来てまたブレイクしそうな予感がしているのです。