Japanese
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吐く息は白い。まだ誰にも踏まれていない、柔らかい純白の雪原が広がるsleepy.abのライヴ。彼らのアコースティック・セット“sleepy.ac”としてのライヴを収録した本作は、バンド・セットと比べ、より暖かな手触りで、よりゆるやかに時間が経過していく。特に、「メトロノーム」以降が素晴らしくて、暖かな日の光でゆっくりと雪解けしていくような、静かな解放感で包み込んでくれる展開は、目の前の景色が一気に広がっていったその先に、眩しく穏やかな幸福を見せてくれる。そしてその幸福は「ねむろ」でせきを切ったように溢れ出す。一切の喧騒と汚れを排除した真っ白な美しさと、思わずまどろんでしまう温もり。彼らのライヴの純度がまったく損なわれていないことに感動すらしてしまう。ただのライヴ・アルバムとしてカテゴライズするにはもったいない良質な作品だ。(島根 希実)
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sleepy.ab (70)
MUSIC VIDEO
Related DISC REVIEW
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sleepy.ab
LIVE@Gloria Chapel
sleepy.abのアコースティック編成"sleepy.ac"が、2013年11月27日に品川教会グローリア・チャペルで行ったライヴの模様を収録したアルバムをリリース。"ストリングス・ダブル・カルテットを迎えた神聖かつ荘厳な、安眠導入盤"と公式サイトにも書いてある通り、スリーピー作品のなかでも心地よさのそれならば極上の域だ。透き通る音色と歌声はスピーカー大音量でも耳に優しい。チャペルならではの反響がパッケージングされ、あの日のライヴの空気をそのまま落とし込んでいる。オフィシャル・ウェブ・ショップとライヴ会場限定盤にはライヴ映像を収めたDVDが付属。山内憲介が次から次へ用いる様々な楽器や、鈴木浩之のパーカッションさばきなど目を見張るステージングが堪能できる。
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sleepy.ab
neuron
計り知れないものとしての“脳内宇宙”に進んで迷い込むことがこんなに楽しいとは! 山内憲介の手工芸的なインストで幕を開け、ビートがグッとタフになりダンスもOKな「euphoria」、サイケなサビとダビーな展開の「undo」、RADIOHEAD的なストイシズムや空間の広がりに加え、どこかA.O.R寄りの洒脱さえ感じさせる(ベースの音色とアレンジに拠るところ大と見た)ミラクルな楽曲「アンドロメダ」などは曲の骨格の変化が顕著。また「ハーメルン」や「around」や「Lost」などメロディの美しさが際立つ楽曲では、楽器ひとつひとつの音を選び抜き、微妙な不安定さや奥行きを作り出しているのも聴きどころのひとつだろう。言葉の意味を飛び越えて、音楽そのものがメッセージ足りえている体験的な全14曲。
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sleepy.ab
アンドロメダ / Lost
夜空に輝くアンドロメダを探す。見頃は秋から冬だ。雪で覆われてシンとした世界で夜空を見上げ、カシオペヤとペガサスの間にその姿を探す。sleepy.abのバンド名の“ab”が示す通り、サウンドは確かにabstract=抽象的で曖昧という言葉がしっくりくるのだが、今作では歌詞が合わさった途端、その世界は急速に形を成す。彼らの音楽と歌詞がまるで映画のように世界を組み立て、リスナーの頭の中に投影する。冬に聴きたいバンドとしても名前が挙がる北海道在住の4ピース・バンドが冬の終わりに放つニュー・シングル。去りゆくアンドロメダをモチーフにつづられる切なくて甘い気持ちをぎゅっと詰め込んだロマンティックな1曲を、貴方の冬のセット・リストの1番最後に加えてはいかがだろうか。
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sleepy.ab
Mother Goose Live +
アリスは兎を追いかけた。そして穴へと飛び込み、不思議の国へと迷い込む…とはならない。アリスは穴へと落ちる前に兎に追いつき、声をかけてしまったのだ。sleepy.abのライヴが、細部に渡り至近距離で見れてしまうということは、嬉しくもあるが、ナンセンスでもある。音響バンドでありながら、メロウで美しい“うた”も兼ね備えるからこそ、彼らのライヴは、視覚と聴覚から得るものは元より、感受性と想像力とで、その音を更に芳醇なものへと膨らませていく。個々の想像力によって際限なき空間演出がなされることによって、その画は無限の広がりをみせるのだ。だが、兎のガイド付きで不思議の国を訪問したら、その“不思議”は消えてしまうし、物語は広がりを見せない。まずは、実際にライヴに行ってから見て欲しい作品。
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sleepy.ab
Mother Goose
昨年リリースされた初のシングル『君と背景』と『かくれんぼ』。本人もそう言葉にしているように、アルバム・アーティストという認識が強いからこそ、ただ一曲を届けるという行為は大変な挑戦だったようだ。だが、そこを越えた今、sleepy.abはとても開けている。作品作りという面おいては"開いて閉じて"を繰り返し、毎回試行錯誤しているわけだが、バンド自体はとても開けているのだ。もっと陽の光をあびようと、その花弁をより大きく開こうとする花のように全方位に前向きだ。だからこそ『マザーグース』は優しい。誰も貴方を追いたてることもないし、日常のレールなんてふとした思いつきで外れてしまえるのだと、優しく手を伸ばしてくれる。もの言わずとも、その目に見える情景と触れた温度で伝わることだってあるのだろう。
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sleepy.ab
かくれんぼ
突如滲んだ柔らかいギターの不協和音。その瞬間動けなくなり、曲が終わるまで鳥肌は止まらず、気付けば目には涙が溢れていた。札幌在住の4 ピース・バンドsleepy.ab、セカンド・シングルのタイトル曲は、柔らかなストリングスが4 人の奏でる音と美しく溶け合うスケール感溢れるナンバー。素直になれないがゆえに孤独を選び、殻に閉じこもってしまう人間の弱さ。成山 剛の歌声はその弱さを否定せず、ただ優しく寄り添う。彼が歌う"明日へおやすみ" という言葉で何もかもが救われた気がした。元々バンド名の表す通り夢の中のような抽象的な音楽を紡ぎ出すバンドであったが、その世界観は作品を経るごとにますます高まり、立体的になっていることを今作で痛感。今日も彼らは、我々をあたたかな眠りへ誘う。
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sleepy.ab
sleepy.ac LIVE @Sapporo Kitara 20100710
吐く息は白い。まだ誰にも踏まれていない、柔らかい純白の雪原が広がるsleepy.abのライヴ。彼らのアコースティック・セット“sleepy.ac”としてのライヴを収録した本作は、バンド・セットと比べ、より暖かな手触りで、よりゆるやかに時間が経過していく。特に、「メトロノーム」以降が素晴らしくて、暖かな日の光でゆっくりと雪解けしていくような、静かな解放感で包み込んでくれる展開は、目の前の景色が一気に広がっていったその先に、眩しく穏やかな幸福を見せてくれる。そしてその幸福は「ねむろ」でせきを切ったように溢れ出す。一切の喧騒と汚れを排除した真っ白な美しさと、思わずまどろんでしまう温もり。彼らのライヴの純度がまったく損なわれていないことに感動すらしてしまう。ただのライヴ・アルバムとしてカテゴライズするにはもったいない良質な作品だ。