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"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO"、第2弾アーティストにKing Gnu、フレデリック、milet、YOASOBI、秋山黄色、OAU、スガシカオ、TENDREの8組決定
2022.05.19 12:00
8月12日、13日に北海道の石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージにて開催されるオールナイト野外ロック・フェス"RISING SUN ROCK FESTIVAL"が、第2弾出演アーティストを発表した。
今回の発表では、"RSR"初出演のアーティスト4組を含む、計8組のアーティストの出演が発表された。
前回開催の"RSR2019"の初日に出演予定だったものの、台風の影響で出演を果たせなかったKing Gnuをはじめ、OAU、スガシカオ(ソロ)、TENDREのリベンジ出演が決定。その他、YOASOBI、秋山黄色、miletが"RSR"初出演、フレデリックは前回開催に続いて5回目の"RSR"出演となる。今回の発表を加えて、現状のアクトは28組となった。
▼イベント情報
"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO"
2022年8月12日(金)、13日(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
【第1弾出演アーティスト】
ASIAN KUNG-FU GENERATION / カネコアヤノ / Creepy Nuts / クリープハイプ / 坂本慎太郎 / ズーカラデル / SUPER BEAVER / ずっと真夜中でいいのに。 / 怒髪天 / NUMBER GIRL / Vaundy / ハルカミライ / 羊文学 / BiSH / the pillows / 04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / マカロニえんぴつ / 緑黄色社会 / LOSALIOS
【第2弾出演アーティスト】
秋山黄色 / OAU / King Gnu / スガシカオ(ソロ) / TENDRE / フレデリック / milet / YOASOBI
■オフィシャルHP:https://rsr.wess.co.jp
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初日で100万人以上動員した"劇場版 呪術廻戦 0"で、物語とともに「一途」と「逆夢」の意味を飲み込んだ人も多いことだろう。つまり、ここからさらにファン層を拡大していくことは間違いない。先行配信された「一途」はスピード感のあるガレージ・ロックを下地に持ちながら、"一途さ"をサウンドやアレンジに昇華したかのごとく、リフもドラム・パターンも圧に耐えながら突破していくような体感をリスナーにもたらす音像に、King Gnuでしか鳴らし得ないパースペクティヴがある。そしてエンディングで、"呪術廻戦"という複雑で矛盾を孕んだドラマに説得力を与えたのが「逆夢」だろう。鍵盤やストリングスを配し、バースやサビも細かにその中で変容。4サビでメジャー・キーに転調する構成はまさにエクスペリメント。(石角 友香)
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King Gnuの強すぎる音楽的背景を伴ったポップ・シーンへの確信犯的なブレイク要素は、ヒップホップ並の言葉数を、楽器を弾くような難解で癖になるメロディに乗せる常田大希(Gt/Vo)の作曲/アレンジ能力と、それを歌いこなせる井口 理という恐るべきヴォーカリストが実在することだ。配信サービスで1億回再生を突破した「白日」、アンセミックな「Teenager Forever」、詩的な美しさを湛えた「傘」など馴染みの曲を収めた本作だが、見事なのは、"俺たちの東京ニーゼロニーゼロ"とでも言うべきテンションの上に成り立つ"儀式"がテーマである点。情報量の多さがデフォルトの彼らの作品の中でも歪み系ギターの「どろん」、常田のチェロがこの儀式の方向を示唆するフィナーレの「閉会式」に震えた。(石角 友香)
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始動から1年強にもかかわらず急速に知名度を上げ、ワンマンをすべて即完するなど注目を集めるKing Gnuが、アルバム『Sympa』でメジャー・デビューを果たす。色気たっぷりの美しいサウンドだけでなく、歌詞のメッセージ性も全体的に強度を増した印象。壮大なリード曲「Slumberland」、ロック色が強い「Sorrows」、アニメ"BANANA FISH"EDテーマ「Prayer X」などキラー・チューンが多いなかで、悲しげなピアノがひと際意外性を放つバラード「The hole」は彼らなりの挑戦だったのでは。また、世界観を強調するインスト4曲がアルバム全体のバランスを保ち、ひとつの作品としての完成度を高めている。まだまだ進化の余地を感じさせる、可能性に満ちた1枚。(渋江 典子)
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今必要なのは生きていることを肯定してくれるこんな音楽なんじゃないだろうか。聴いていると散歩でも自転車でもいい。風に吹かれて見晴らしのいい場所に行きたくなってしまった。すでに2021年1~2月のホール・ツアーで初披露されて以来、人気の「世界は変わる」は替わりのいないあなたへ贈られる歌だ。人と出会うことで世界は変わるし、それを意識することで今の世界も変わる、そんな二重の意味を感じる。スライド・ギターとウクレレが張り詰めた心を緩め、再会を願う「Sunny Day」、MARTIN(Vo/Vn/A.Gt)の朴訥と誠実さが溢れる穏やかなカントリー調の「Life」、軽快なアコギのカッティングとヴァイオリンの誘うような旋律に思わず踊りだしたくなる「Peach Melba」など、インストも心身を解放してくれる。(石角 友香)
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通算3作目のアルバムにしてメジャー1stアルバムとなる本作はタイトルが示唆する通り、他者や時に見失いがちな自分の心も含めた想像力が、音にも言葉にも灯のように点在している。これまで以上にニュートラルな発声が、最早誰の価値観なのか分断が正当化されそうな潮流に静かにNOと言う。その背景にはこれまでより歌に向き合った事実や、トレンドではなく、人間の今を見つめたがゆえの、アップデートされた普遍的なサウンド・プロダクションが存在する。踊りやすいグルーヴより、意志を伝えるための重心の低い、ボトムの太いリズムや、特定のジャンルに収斂されないストリングスやホーンのアレンジにそれは明らかだ。心を調律してもくれるし、他者と共存する嬉しい気持ちを彩り温かくもしてくれる。まさに時代の灯。(石角 友香)
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Ayaseのコンポーザーとしての活躍や、ikuraが既発曲の英語バージョンでヴォーカル表現のレンジの広さを認識させるなど、昨年の驚くべき登場からさらにポテンシャルを広げたYOASOBIが約1年ぶりにEPをドロップ。2ndフェーズの第1弾「怪物」のダーク・サイドと救いを膨大な情報量で行き来するスリル、ハイパー・ラテン歌謡の今日的解釈と呼べそうな「大正浪漫」、ミドリーズの合唱によって、より全世代に自然にアプローチする「ツバメ」など、今年を思い返したとき、リスナーそれぞれのマイ・テーマ・ソングになるほどポピュラーな楽曲揃い。さらに舞台のみで解禁されていた未配信楽曲「もしも命が描けたら」のラテン、レゲエをJ-POPに落とし込んだ複雑なアレンジとメロディは無二の個性だ。(石角 友香)
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2020年最も聴かれた「夜に駆ける」をはじめ、配信サービスや、YouTubeで展開してきた楽曲すべてに、新曲「アンコール」や「Epilogue」と「Prologue」のインストを加え、初めてCDというパッケージに落とし込んだ本作。楽曲の解説は今さら無粋なので、EPとしての連続性の中で聴く楽しみで言うと、「Epilogue」で使われているSEやビートが、「アンコール」に繋がっていく聴感から得られる面白さ。それぞれが異なる物語をもとに書かれているにもかかわらず、リスナーにとっての"このふたり"や、"あの夜"がリンクしていくあたりもAyaseという作家の一貫性。軽くないテーマ、膨大な言葉数、しかしスッと聴けるこのメカニズムは、YOASOBIが確立したJ-POPのニュー・スタンダードなのは間違いない。(石角 友香)
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穏やかなメロディから重厚なバンド・サウンドのサビへ向かうアレンジと、声の変化に自分の存在意義を確認する様を体感できる表題曲。スケールの大きさや転調などワンオクToru(Gt)のプロデュースも聴きどころだ。対照的に話すニュアンスに近いハスキーなAメロから、駆け上がっていくダイナミズムを感じられるバラード「The Hardest」、アトモスフェリックなエレクトロ・サウンドと、軽快且つテクニカルなVoが楽しい「One Touch」、共作者 Mick Cooganとの語りの掛け合いが映画的なニュアンスを添える「Ashes」、マンウィズのBa/Cho Kamikaze Boy提供「Grab the air」の、BOOM BOOM SATELLITES中野雅之リミックスまでレンジの広さを堪能できる。(石角 友香)
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ハスキーで海外のR&B系ヴォーカリストのような存在感を持つ声で異彩を放つmilet。桑田佳祐がデビュー曲を2019年邦楽シングルの1位に選出したほどだ。早くも5作目のEPである今回。"証明者"を意味する「Prover」は力強いピアノ・リフが刻まれ、神聖な空気を醸すエレクトロニックなサウンドも相まってアンセム的な説得力がある。ここでも硬質でいて柔軟という両面を兼ね備えた声の力が際立っている。一方の「Tell me」は一転、光を感じるメロディやサウンドのテクスチャーで、少し甘く鼻にかかる声の魅力にとらわれる。c/wは「Your Light」のエレクトロ/R&Bのクールさ、「レッドネオン」のスケールのあるフォーキーさなどレンジは広いが、伝える意志に満ちた毅然とした歌が1本の筋を通す。(石角 友香)
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今年デビュー13周年を迎えるスガシカオ9枚目となるアルバムはタイトル通りファンク・ミュージックに焦点が当てられたとても刺激的で新鮮な作品だ。デビュー以来リリースしたすべてのアルバムがTOP 10にランクインするという男性ソロ・アーティストとしては歴代1位の記録を持つアーティストがこんなに瑞々しい作品をリリースする事自体凄いことだし、常に新たな挑戦を続けているということでもあるのだろう。もちろんそんな話抜きにこのアルバムは素晴らしい。「ファンク」というキーワードから紡ぎ出される12の楽曲はバラエティに富んでいながらどれもスガシカオの世界にしっくりと収まっている。今まで距離を置いていた方にもぜひ聴いてもらいたい。(遠藤 孝行)
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前作から約3年ぶりのフル・アルバム。和田アキ子への提供楽曲「YONA YONA DANCE」のセルフ・カバーや、須田景凪との共作「ANSWER」をはじめ、電子ドラムを導入した実験色の強い「Wake Me Up」、三原康司(Ba)がヴォーカルを務めた「YOU RAY」、昨年2021年の日本武道館公演で初披露された「名悪役」など、バラエティに富んだ全14曲が並ぶ。驚くのはこれだけジャンルレスな楽曲群をフレデリックのサウンドとして昇華させている点だ。これまでファンク、ディスコ、モータウンなど様々なダンス・ミュージックの形を、記名性の高いサウンドとフレーズをもって提示してきた彼ら。本作は、フレデリックがデビュー当時から標榜してきたそんな"フレデリズム"の堂々たる総決算と言える。(山田 いつき)
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今なお多くの制約を強いるコロナウイルスは、かえってフレデリックの闘争心に火を点けたのかもしれない。いち早くリモート制作の体制を整え、従来の音楽性を踏襲しながらもEDMに突き抜けた「されどBGM」を7月に先行配信。次いで、得意とする緻密な音遊びが光る「Wake Me Up」、ファンキーな中にポリティカルな主張も連想させる「正偽」、青春も熱狂も失ってしまった今夏に対して歌う「SENTIMENTAL SUMMER」の計4つの新曲をリモートで制作。そこには変わらず、むしろ凄みを増して滾る人間臭さがあり、且つそれらをまるっと包んでしまえるポップネスな力もある。どんな状況下でも、我らが"遊び場"を取り戻す日まで、音を鳴らすことをやめない。今作はそんな決意表明だ。(岡部 瑞希)
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前作『TOGENKYO』のリリースから、海外公演、初のアリーナ公演を経て、バンド史上最もエモーショナルな作品が産み落とされた。前作で彼らの"桃源郷"は完成したかのように思えたが、疾走感溢れる表題曲は、それではまだ足りず、"僕のさいはて"にリスナーを連れていきたいという貪欲なアリーナ・ロック。またライヴで披露されていた新曲「シンセンス」、三原健司(Vo/Gt)、康司(Ba)兄弟の妖艶な歌声が絶妙に溶け合う「NEON PICNIC」に加え、誰もが知っているCMソングを"フレデリック・サウンド"にリメイクした「シントウメイ」を収録。さらに、彼らの分岐点と言えるアリーナ公演の熱気、興奮を閉じ込めたライヴ音源も必聴だ。フレデリック第2章の幕開けに、聴けばきっと踊り出してしまうだろう。(渋江 典子)
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"踊る世界平和"----それぐらいフレデリックの踊るビートに対する真摯さは曲や歌詞に表れる。フックのある一見ネガティヴなワードを肯定的にひっくり返すオセロ的リリックに決意を込めた「オンリーワンダー」を皮切りに、四つ打ち以外にも力技のハイパー・ブラック・コンテンポラリーと呼べそうなグルーヴにチャレンジした「KITAKU BEATS」や「CYNICALTURE」。グッとBPMを落としたサンバ・テイストの「サービスナーバス」やサイコビリーな「バジルの宴」など、音楽ジャンルもリリックも情報量は過積載気味。だが、それが消化不良を起こさないのはフレデリックのメンタリティがある種、清潔ですらあるからじゃないだろうか。"戦わない戦い方を僕たちは知ってるはず"と歌うラスト・ナンバーの真剣さに、明らかに次のステージが見えた。(石角 友香)
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ドラマー脱退後の3人体制初となる作品は過去最高にバンドが裸だと思う。フレデリックの音源と言えばユーモアのかたまりともいうべき様々なギミックとリフレインによって中毒性を生み、リスナーを奇妙な世界へと誘うような楽曲が多かった。だが今作は歌謡曲テイストのメロディと80sライクなシンセ・ポップが融合し、カラフルなセンチメントが終始美しく花開く。そこに乗る言葉は"会いに行くよ""君と涙コミュニケーション""ハローグッバイ""だから本心に触って"など、聴き手へまっすぐ語りかけるものばかりだ。コーラス・ワークもシンボリックなミディアム・ナンバー「USO」は三原健司のヴォーカルにも含みがあり、新たな魅力が輝く。洗練された音楽性と物悲しさの作る余韻が、心を捕まえて離さない。(沖 さやこ)
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フレデリックは斜めだな、と思う。斜に構えているという意味ではなく、ものすごいカーブを描いて、むしろ途中で消えたり止まったり彷徨ったりして最終的にど真ん中に入るような、抜群かつ不可思議なコントロール・センスを持つ。それが彼らにとってのストレートなのだ。メジャー・デビュー盤『oddloop』から約7ヶ月振りの新作、テーマは"終わり"と"はじまり"。進み出すために作られた作品とのことだ。リフレインする歌詞が彼らを語るうえで欠かせない"中毒性"の要素のひとつだが、今作は言葉にとても深い意味が感じられ、その奥を追求したくなる。へんてこでありながら伸びやかで陰のあるポップなサウンド、じっくりタメを用い歌い上げるヴォーカルも効果的。最後まで煙に巻かれ翻弄される感覚すらも愉快だ。(沖 さやこ)
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なんだ、このあまりに不可思議なポップは。神戸発、双子の兄弟が中心となって結成された4ピース・バンドによる、初の全国流通盤。ジャズやヒップホップ、ファンクなどを消化したしっかりとした肉体的かつ骨太なグルーヴ感がありつつも、曲全体の印象は、まるで海底に棲む謎の軟体生物。この謎の存在感を決定づけているのは、脱臼しつつもポップなフックを外さないメロディと歌声、そして強いメッセージ性を秘めながらもそれを感じさせないシュールでナンセンスな歌詞だ。なんと言うか、70年代のノーウェーヴ・バンドが、90年代USインディーと関西ゼロ世代を主食にして、おやつにJ-POPまでいただいちゃったような感じ。ほんと不思議で唐突なアウトサイダー・ポップ。本作のプロデュースは現Polaris、元FISHMANSの柏原譲。間違いなく、大器だと思う。(天野 史彬)
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"生命"を肯定する音楽はいくらでも見つけられるが、秋山黄色のそれは傷だらけの必死な"生命"を誇る歌だ。TVアニメ"約束のネバーランド"第2期のOPを飾る表題曲は、物語の幕開けを感じさせる爽快感あるサビや歌メロはもちろんだが、イントロの硬質で刺すようなギター・サウンドと、感情を噛み締めるように続く歌がとにかく胸に迫る。見えない檻に囲まれているかのような閉塞感の中で過ごす日常では、心を殺し痛みから目を逸らしていたほうが楽に生きられるだろう。しかし、そんな生き方をしている自分は"歩く死人"に過ぎないのかもしれない。地べたを這うような惨めさも、どうにも消えない息苦しさも、どんな痛みや癒えない傷跡でさえも自分自身のアイデンティティであると、彼の歌は思い出させてくれる。(五十嵐 文章)
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シンガー・ソングライター、秋山黄色のメジャー1stフル・アルバム。一躍彼の代表曲となった「やさぐれカイドー」や、自身初のドラマ主題歌「モノローグ」をはじめ、強靭な求心力を秘めたギター・リフやフック満載のサウンドを内包した楽曲が肩を並べる。それらに胸を掴まれるまま身を委ねるうちに見えてくるのは、大人になりきれず、地べたをのたうち回りながら生きる男の姿だ。大人と少年の狭間を揺れ動きながら周囲を拒絶し、孤独に悦楽すら感じていた男が、いつしか自分自身の心もとなさを受け入れてゆく。そんな切実な感情を、時に狂おしく、時に朗々と歌い上げる秋山の歌心には目を見張るものがある。名刺代わりと言うにはあまりに生々しく鋭利な、秋山黄色という歌い手の血肉を感じる快作だ。(五十嵐 文章)
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2017年末に活動を開始した22歳のソロ・アーティスト、秋山黄色。今作はとにかく「やさぐれカイドー」が凄まじい。秋山によるハーモニクスがアクセントとなるギター・リフにZAZEN BOYSの"柔道二段"松下 敦のパワフルなドラム、井上陽水のツアー・ベーシスト なかむらしょーこのグルーヴィなベース。それだけで重厚且つキャッチーな旋律を生み出しているのだが、そこに"やさぐれ"感のある剛毅な歌声、突如まくしたてる言葉が相まって、耳にこびりつくキラー・チューンとなった。と思えば、シンプルなバンド・サウンドに乗せて、"専門学校中退のフリーター"と謳う彼らしい、夢と現実との乖離を嘆き叫ぶ曲「とうこうのはて」なども収録。宅録部屋から大きな一歩を踏み出す作品になった。(稲垣 遥)