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バンド存続を賭けて臨んだアマチュア・バンドのオーディション"BANDWARS"でグランプリを獲得したab initioが、LINE RECORDSからリリースしたデビュー作。アコースティック・ギターと歌によるミニマムの編成から歌が始まり、次第にストリングスが加わると、最後に穏やかなバンド・サウンドが広がるドラマチックなバラードには、大切な人と生きてゆくことを決意する、そんな歓喜の瞬間が綴られている。SMAPの「らいおんハート」や「SHAKE」などで知られるコモリタミノルをサウンド・プロデュースに迎えたことで、これまでバンドが大切にしてきた"メロディと言葉"がより研ぎ澄まされた。些細な日常を健気に生きる"君と僕"の物語を大切に紡いできたバンドが贈る、ハートフルな勝負作。(秦 理絵)
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リード曲の「リアルファンタジー」では"世界は素晴らしい"と歌われている。一方、「心のスープ」では"きっとこの世界は/残酷で無情で儚い"とも歌われている。ab initio(読み:アブイニシオ)がリリースする2ndミニ・アルバム『ユーラブユー』は、その両極端の価値観が矛盾せずに存在する作品だ。それはきっとこの世界が俯瞰するほどに醜くて、日常を見るほどに小さな喜びが溢れているものだから。主にソング・ライティングを手掛ける宮崎優人(Gt/Vo)はそんな日常をとても大切に歌詞にする。心地よい二度寝からなかなか抜けられなかったり(「なのにね」)、休日をムダに過ごして後悔してたり(「Holiday」)。チャーミングで憎めない歌の登場人物たちがとても魅力的。(秦 理絵)
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"地位や賞賛が欲しいんじゃなくて/君も僕も笑えりゃそりゃ/素晴らしいこと"。「エンターテイナー」で歌われるこのシンプルな一節が、アルバムの通奏低音的なムードとなっている。ひねくれてみたり、エンドロールが流れているのに"君"のことばかり考えてしまったり、おセンチにも卑屈にもなってしまったりするけれど、ふいに流れてきた音楽に思いもよらぬツボを突かれてしまうこともある。そういうふいにポンと視界に飛び込んでくるパワーと、キャッチーな勢いがあって、何やら楽しそうにドカスカとリズムを打ち鳴らし、歌を歌っているバンドだ。奇をてらったサウンドやアレンジでなく、グッド・メロディをまっすぐに。ということを真面目にやっているんだけれども、どこからかポップな愛嬌みたいなものが漏れ出ているのが、チャームポイント。(吉羽 さおり)
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