Japanese
2015年09月号掲載
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"地位や賞賛が欲しいんじゃなくて/君も僕も笑えりゃそりゃ/素晴らしいこと"。「エンターテイナー」で歌われるこのシンプルな一節が、アルバムの通奏低音的なムードとなっている。ひねくれてみたり、エンドロールが流れているのに"君"のことばかり考えてしまったり、おセンチにも卑屈にもなってしまったりするけれど、ふいに流れてきた音楽に思いもよらぬツボを突かれてしまうこともある。そういうふいにポンと視界に飛び込んでくるパワーと、キャッチーな勢いがあって、何やら楽しそうにドカスカとリズムを打ち鳴らし、歌を歌っているバンドだ。奇をてらったサウンドやアレンジでなく、グッド・メロディをまっすぐに。ということを真面目にやっているんだけれども、どこからかポップな愛嬌みたいなものが漏れ出ているのが、チャームポイント。(吉羽 さおり)