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Japanese
鋭く叙情的なメロディ。包み込むような轟音。静と動を往来するたしかなリズム。そのすべての中心にある、歌――革新的な何かが鳴っているわけではない。しかしここには、グランジ以降のオルタナティヴ・ロックが、あるいはハードコアを起源とするエモコア・バンドたちが積み上げてきた偉大な足跡がある。そのあとを引き継がんとする気高い意志がある。bloodthirsty butchers、NUMBER GIRL、HUSKER DU......偉大なる先達たちの名前が思い浮かぶ。或る感覚の約2年ぶりとなるフル・アルバム。このアルバムは目新しさばかりが取り沙汰されるシーンにおいて、どこまでも実直に"音楽"と"人生"に向き合っている。人と音楽が共に歩む"歴史"と"未来"。そのすべてを照らすこのアルバムはきっと、10年後も誰かにとって大事なものであり続けるだろう。
面白くないものは面白くない。自らがいるバンド・シーンに唾を履き続けるフロントマン、ロン(Vo/Gt)の苛立ちと自身の音楽への自信は今回のトリプルAサイド・シングルという形態にまで及んだのかもしれない。さらに誰も思いつかないようないびつなリフが、いわゆる“自然体”を揶揄するようなリリックを際立たせる「ナチュラル」、BPMを少し落とすことでさらに斬りつけるようなギターのフレーズが刺さる「初夏のピラニア」、和×チャイニーズなフレージングといい、16ビートといい、下手するとイロモノになりかねない要素を、ロンのまっすぐな声とクセになるメロディ、シュールな脱力コーラスで無二の空気感を作り出す「ロマンチック・アルカイダ」。トゲトゲしさと中毒性は意思があるから成立する。
2011年の閃光ライオットでファイナリストにも選出された、2010年結成の4ピース、或る感覚の1stアルバム。そのサウンドは、ジャキジャキジャキと高速で刻まれるポスト・パンク的なカッティング・ギターと、後期ナンバーガールを思わせる和製メロディが印象的なオルタナティヴ・ロック。最近のバンドで共振するものがあるバンドといえばDOESやアルカラが思い浮かぶ。が、或る感覚はまだ20歳そこそこのバンドである。本作『カウンター』には、まだ自分たちの表現の着地点が定まらない揺らぎと、バンドをやることに対する喜びや好奇心、向こう見ずな野心が生々しく鳴っていて、そこが何にも変えがたい魅力になっている。シリアスな叙情性とユーモラスな感性を同時に手なずけようとしているところも面白い。先が楽しみな逸材である。
俺と同じ奴らを救ってやること。それが俺の唯一できるパンクなんです
2015.01.10 @下北沢ERA
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