FoZZtoneというバンドはいつも様々なユーモア溢れる企画で楽しませてくれるし、ライヴでも熱い心意気で我々の心臓を鷲掴みにする。そしてフロントマンの渡會将士はいつも世間よりもひとつ先を見ている。常に現在の事象に疑問を持ち"こうするべきなのではないか?""こうした方が面白いのでは?"という提示をしてくれる。このアルバムは、エネルギッシュな側面が際立つ『INNER KINGDOM』や『Reach to Mars』とは逆ベクトルのアプローチ。だがシリアス一辺倒にならないところにFoZZtone流の救済がある。ひとつひとつの楽曲の歌詞と音に確立した意味と確固たる意志があり、そこを追求すればするほど様々なものが待ち受ける。それは歓迎のようであり、ある意味試されているようでもある。やはりこのバンドは深い。
前作『Reach to Mars』では火星へと旅立つどでかいロックンロールを届けたFoZZtoneが、今作で地球へ帰還。ウエスタン×カントリー×ファンク×ロックなTrack.1、ストンピングを取り入れたTrack.2、アコースティックでパーソナルな雰囲気の幕開けから後半へ向けての多幸感を呼ぶTrack.3などなど、それはネオ・ソウルでもあり、リズム・アンド・ブルースでもあり、ジャズでもあり......この1年3ヶ月で彼らは日本やらロックやらという狭いカテゴリーなんてぶっ壊してしまった。ストリングスを取り入れた「Return to Earth」を今回はあえてデモ音源としてラストに収録した真意も気になるところ。やはり彼らは次々と我々の知的好奇心を刺激し続ける、とんでもないロック・バンドだ。
今年結成10周年を迎えるFoZZtone。彼らがEMI在籍時の楽曲をまとめたベスト・アルバムをTOWER RECORDS限定でリリース。シングル曲や代表曲はもちろん、アルバムのみに収録されている楽曲、未発表の新録曲、入手困難なシングルのカップリング曲など全16曲を収録している。初期の名曲たちで構成される同作のアクセントになっているのは「BASTARD IN THE SUN」。未発表曲のリミックスを収録するという、FoZZtoneらしいちょっとひねくれたアプローチの同曲は、ダンサブルなリズム、何度もリフレインする楽器のフレーズとコーラス・ワークが無機質なようで肉体的で、心地よい混乱を招く。新録の未発表曲「window to window」は、ふくらみのあるギミックたっぷりのナンバー。現在形のFoZZtoneサウンドだ。