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LIVE REPORT

Japanese

MAGIC OF LiFE / Lenny code fiction

Skream! マガジン 2021年10月号掲載

2021.09.10 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 秦 理絵 Photo by うつみさな

歌を大切に、ロック・バンドとしてオンリーワンな表現を追求し続ける2組の対バンは、それぞれの世代の目線で、今自分たちが伝えられることをその音楽に託す熱いライヴだった。

SEにかぶせるようにファンキーなセッションになだれ込み、Lenny code fictionのライヴが始まった。1曲目は「脳内」だ。泥臭くも洗練されたバンド・サウンド。フロアをまっすぐに見据えて、力強くメロディを紡ぐ片桐 航のヴォーカルに寄り添い、ソラが繰り出す手数の多いギター・リフがこれでもかと暴れる。KANDAI(Dr)が長髪を振り乱し、性急に裏打ちのビートを刻んだ「Alabama」のあと、MCでは、片桐がMAGIC OF LiFEと久々に対バンできる喜びを嬉しそうに伝えた。

"何年も積んできた関係の中で今日が一番と言わせたい"と、突入した「Make my story」ではkazuの凶暴なスラップ・ベースを皮切りにドラム、ギターへと短いソロ回しを繋ぎ、全プレイヤーが主役であるというLenny code fictionの持ち味が全開になった。拡声器で声を歪ませた片桐が"やるだけやろうぜ!"とフロアを煽ったダンサブルな「Enter the Void」、バンドが大切に歌い続けている「Flower」のあと、ラスト1曲を残したところで最後のMC。コロナ禍で抱いた焦燥と葛藤を、"なくしたもんを数えてるみたいで最悪やった"とストレートな言葉で明かした片桐は、それでも"なくしたくない未来"への意思を力強く伝えた。弾き語りで歌い出し、ドラマチックに加わるバンド・サウンドが、この世界の素晴らしさを肯定する「世界について」で幕を閉じた全6曲は、放つ言葉と、届けた音楽の間に乖離がない、だからこそ心から信頼できるステージだった。

衝動を一気に爆発させるような「弱虫な炎」から幕を開けたMAGIC OF LiFEは、序盤から鋭く鋭利なアップ・ナンバーを畳み掛けた。力強く駆け抜ける岡田翔太朗のドラム、腰を落とし重心の低いラインでメロディアスに動きまわる渡辺雄司のベースに、激しく首を振りながら奏でる山下拓実のリズミカルなギター。熱量の高いバンド・サウンドの上で、高津戸信幸のハスキーなヴォーカルが優しく、力強くフロアに響き渡っていった。この世界を遊び尽くすと不敵に宣言する「Player」から、煌めくサウンドで未来に歩み続ける意思を後押した「Go out」へ。MAGIC OF LiFEがステージから届ける一曲一曲には命の温かさが宿っている。

MCでは、失ったものが多かったコロナ禍の日常を振り返り、逆に"自分の中の大切なものが色濃くなった。時代を味わい、楽しめている"と高津戸。大きな目線で時代を捉え、あえてポジティヴに伝える優しい言葉が印象的だ。中盤、強く心を揺さぶったのは、美しいピアノの音色と共に届けたバラード曲「記念日」だった。命の残りの日数をカウントすることで今が大切に思える。そんなメッセージを込めたこの曲には、同じ時代を生きる人間の生々しい息吹を感じる。最後のMCでは、"心にぽっかり穴が開いちゃうこともあるけど、そこに僕らの音楽を詰め込んで、またライヴハウスで遊びましょう!"と晴れやかに伝えると、今年高津戸の故郷であるとちぎテレビの夏の高校野球テーマ・ソングに起用された「Cheering」に続き、「栄光への一秒」という疾走感溢れるエール・ソングを全力で届けて終演。今を受け入れながら、今と戦ってゆく。そんな強さを与えてくれるステージだった。

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