2011年、世界の混沌と怠慢を丸裸にしたアルバム『荒野 / On the Wild Side』。新たな年を迎えようとも、都合よく全てがリセットされるわけではない。だが、未来へと一歩進むことは出来る。本作は、『荒野~』に辿り着くまでの、"今まで"と"今"、そして"これから"を詰め込んだベスト盤。そう、これは、歴史を振り返るものでなく、未来を切り開くためのエッセンスの集合体である。『荒野~』へと辿り着くまでに、彼らの音楽はいかなる時流を描いてきたのか。そして、その時流が指し示す未来、"これから"とは――?新曲「確立の夜、可能性の朝 feat. 前野健太」では、悲しみを受け入れ、越えていこうと説き、同時に自由と優しさを追い求めている。戦いは終わると信じ、次の段階へ歩み出そうとしているのだ。そうして、きっといつか、この"荒野"にも
花は咲く――。
歌モノのロック・バンドがブラック・ミュージックのグルーヴを獲得していった到達点は、もはや国内外とかジャンルを飛び越えたオリジナルだ。ソウル/ファンクだけでなくアメリカン・ロックのドライでスモーキーな質感もある「Go」で歌われることは、まさに今のバンドのスタンスを表す、ノー・ボーダーな内容。そのファットなムードを「I'll Be There」に繋げて、先の見えない現実をもタフに生きていけそうな手応えを残し、洒脱なギター・リフやジャズテイストのコード・ワークで、まさに"新しい自分"を体感させる「You make me feel brand new」、AORもリズム・アンド・ブルースも昇華した「Blur」、トランペットの温かな空気感とコーラスに心身ともに解放されるタイトル・チューンと続く。シンプルにFeelin' goodな快作。
セカイイチの音を聴いていると、心の中が幸せでいっぱいになって無性に泣きたくなる。凍えそうなときにホットココアを笑顔で差し出されるみたいに、じんわりあたたまってほっとする感じ。名盤『セカイイチ』から約2年、移籍後初のオリジナル・アルバム。新たな場所でスタートを切ったことも影響しているのだろうか、スマートでありながら非常に情熱的だ。岩崎 慧(Vo&Gt)のふんわりとした声と息遣いは、大きくて優しい包容力に溢れている。HIP HOPユニット・SUIKAのATOMとタカツキをフィーチャーしたラップ・チューン「Daylight」や、OASIS「Married With Children」のカヴァーなど、ジャンルに囚われないカラフルな音楽性。空を見上げながら聴きたい、希望に満ちた全14曲。