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INTERVIEW

Japanese

Laughing Hick

2024年02月号掲載

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Member:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)

Interviewer:藤坂 綾

-より重みが増すし、なるほど、素敵なタイトルです。「今更になる前に」は打って変わってバンド・サウンド全開の1曲になりました。

ホリウチ:「カフェオレ」とは打って変わって主人公も男の子で。今まで疾走感のある曲で恋愛の歌詞を書いたことがなくて、「ランプ」(2023年リリースのデジタル・シングル『女だから』収録曲)や「Local Hero」(2019年12月リリースの1stアルバム『DOPAMINE』収録曲)といった速い曲は、どちらかというと心情を歌うことが多かったんです。でも、この疾走感に恋愛をあてたらどうなるんだ? というトライをして。わがままというよりはピュアな主人公がいて、きっと自分のために生きてるんだろうな、君が好きなんじゃなくて、きっと恋に恋してるんだろうな、みたいなことをギュッと歌詞にしてみました。

-"好きなケーキ買って 君以外ブロックして"がかわいらしいし、ピュアだなと。

あかり:"ブロック"って現代語じゃないですか。なのでそこは10代や20代のLINEを使ってる層に響くんじゃないかと。彼女ができたらいきなりブロックする極端な子とかいるじゃないですか。だからそこは共感する子が多いんだろうなと思うし、この主人公はわがままだからこそ、こういうまっすぐなロック・サウンドなんだろうなって。前しか見えてないという(笑)。でもBメロで変拍子になるドキッと感もいいし、心が揺れてから8ビ―トに戻ってサビで駆け抜ける感じとか、サウンドとしてのかっこ良さもあるし、プラスライヴが見える、ライヴ映えする曲になりました。

たいち:疾走感のあるハイテンポの曲はたぶん「ランプ」ぶりくらいで、自分的には"駆け足で駆け出して"っていうフレーズに対して走ってる感じを出したくて、スネアのシングル・ストロークでダカダカダカっていう音を各所にばら撒いたんですけど、このくらいの速さの曲で、シングル・ストロークが多い曲っていうのが今までラフィング(Laughing Hick)にはなかったので、レコーディングのときは後半、歯を食いしばりながらやってました(笑)。

-ライヴは大丈夫でしょうか(笑)。

たいち:ライヴではもうバッチリぶちかませるようにはできてるんで......頑張ります!

-楽しみにしてます。「恋にしがみついて」はノスタルジックな印象を受けました。

ホリウチ:小さい頃ケガしたときとか"痛い思いしなきゃ覚えないから"って、男の子だからかよく言われてたんですよ。でも"俺は賢いからそんなことないし、痛い思いする前にわかるけどね"って、そういう生き方をしてきたんです(笑)。だけど、当時付き合ってたときに痛い思いをしたからこそ、きっと痕が残って古傷が痛むというか、ずっと恋にしがみついたまま生きてしまうんだろうなっていうことを書いてみて、ノスタルジックにミドル・テンポでっていう、自分の強みみたいなものも生かせる曲になったんじゃないかな。

あかり:私は保育士をしていた時期があったので、"痛い思いをしなきゃわからない前に、痛い思いをさせないように"っていうマインドだったんです。だからこの曲を初めて聴いたときは、"痛い思いしなきゃ覚えないからね"と言われて、そのフラグ回収を恋でしてきて、そこからさらに"傷つけときゃよかったな、そしたら忘れられないのに"という考えに繋げてくることにびっくりして、この人の恋愛の感覚はほんとに面白いなと思いましたね、これでこの人は気づくんだと(笑)。でも、誰もが絶対に言われたことのある言葉だと思うんです、"痛い思いしなきゃ覚えない"って。それをこうして曲に入れることでより親近感が湧くと思ったし、それを恋愛に重ねて歌えるというのはいいなと。サビの鉄琴がノスタルジックで、鉄琴って小さい頃に合奏で使ってたり、そういう記憶があるからこそいろんな思い出とリンクするのかなって。自分のこと、自分といたことを忘れてほしくないから、いっそ傷つけておけば良かったっていう人間臭さも愛らしいというか、憎めないところだし、"恋にしがみついて"というタイトルも好きなんですよ。

-これもまた"らしい"ですよね。

あかり:そう、"らしい"し、"これどんな曲なんだろう?"とも思うし、ミドル・バラードの曲はいい感じだなと思います、相変わらず。

-ですね。たいちさんはいかがですか。

たいち:歌詞の共感性もそうだけど、メロディがめちゃめちゃいいし、うちが得意としているミドル・バラード、コウタのいいところが出てますよね。その中で跳ね感みたいなものを入れてみたり、自分のアプローチも曲に寄り添えたと思います。

-最後は「休憩と宿泊」。

ホリウチ:誰にも言えない秘密系のLaughing Hick。リズムが面白いのと、淫靡さと日本ぽさと遊び心が詰まった1曲になったんではないでしょうか。自分の曲は一人称を決めて書くことが多くて、主人公が変わっていく曲は「愛してるって」(2019年1月リリースの2ndシングル『Bye-Hi』収録曲)を含めて数曲しかないんですけど、「愛してるって」はいろんなところで聴いてもらえているなかで、言葉ってこんなにも届かないんだとか、案外便利なものじゃないなっていう、意図したものが伝わらない歯がゆさも経験させてくれた曲でもあって。それ以来に登場人物をたくさん出して書いてみて、もしかしたらまたどこかで賛否両論が起こる曲ではないかと思うんですが、そういう反応も含めて今は楽しみです。

-こういう歌詞で恋愛の本質的なところや大事な気持ちを伝えるというのも、Laughing Hickの強みだと思います。

ホリウチ:そういう意味で、僕らにしか作れないものをしっかり作れたと思います。

あかり:この曲は2020年くらいからあるんですけど、今回「カフェオレ」を筆頭にどのサウンドでまとめていこうかってなったときにみんながこの曲を選んだから嬉しくて、"おー!"って(笑)。サウンド的にもそうだけど、ちょっと闇が深い女の子、悪女感のある女の子が主人公なのもLaughing Hickらしいなって。きれいなラヴ・ソングが多いなか、そこに共感できない女の子もいると思うんですよ。そういう子たちをちゃんと救ってあげられるのが、私もLaughing Hickの強みだと思ってるので。もちろん、"彼氏がいるのに"って思うところはあるかもしれないけど、あなたに愛されたいっていうまっすぐな愛は素敵だし、男の人の内面を歌ってるところもあってにぎやかな感じもあるし、テンポが変わったり、エフェクトかけたり、いろんなことにもトライしてて、楽しめる1曲です。

たいち:淫靡な感じで遊び心満載な1曲で、ヴォイスの音を変えたり、"そんな!"っていうアレンジが最後まで出てきて、今までにない遊び心のあるアレンジを生かす曲になったし、いろんな楽しみ方のできる曲になりました。

-ここまで振り切った楽曲ってこれまでありました?

ホリウチ:ないですね。2020年の時点ではここまで振り切ってはいなくて、でも今回はサウンド・プロデューサーのKAZUKIさんはじめ、チームのみんなが"とことん遊んでいいんじゃない? 振り切って作ろうぜ!"ということでリズムを崩したり、最後みんなでいきたいところを1拍ずらしたり、それこそ曲の主人公に合ってるんじゃないかなって。思うようにいかなかったんだろうなってところが、言葉だけではなくて、音楽でもきちんと伝えられたから、ここまでやり切って良かったですね。

-リリース後はツアー([Laughing Hick LIVE TOUR 2024"ダンデライオン"])と初ワンマン([Laughing Hick ONE MAN LIVE"ダンデライオン"])、そしてワンマンの追加公演([ADDITIONAL ONEMAN LIVE"ダンデライオン"])も決まりましたね。

ホリウチ:"自信作"、胸を張ってそう言えるこのデジタルEPを引っ提げてツアーを回ることで、また新たなステップとしてライヴを作り上げることができるんじゃないかなと。追加公演でキャパも大きくなって、どんどんみんなでいいライヴを作っていける確信があるので、きっとそういうツアーとワンマンになるでしょう。

あかり:ツアーは仙台にも行くし、パワーアップした状態でワンマンを迎えられそうです。ワンマンはLaughing Hickにとって初めてなので、そういう意味ではここからがスタートになると思うんです。"初ワンマンおめでとう"プラス"ここからもっといくぜ!"っていう、もっとLaughing Hickを追っかけたい、もっとLaughing Hickの夢と一緒にいたい、そう思えるライヴをここで叩き出して、(代官山)UNITに行って、この1年もっともっと一緒にいろんな夢を見ようよって、そんなドキドキするワンマンにしたいです。

たいち:『カフェオレ』を引っ提げてのツアーとワンマン。初ワンマンは一生に一度しかないんで全力で挑んで、もっと大きい場所に進んでいけるような最高のライヴを届けたいと思ってるので、楽しみにしててください。