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INTERVIEW

Japanese

Laughing Hick

2023年07月号掲載

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Member:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)

Interviewer:藤坂 綾

-その人に言えない恋愛、人間臭さ、汚らわしさをホリウチさんが女性目線で書く理由というのは?

ホリウチ:達観して書けるというか、自分のことよりも書きやすいというのがあるかもしれないし、"私"っていう一人称を使ってるときは勝負に出てる感じもあります。

-寄り添いたいという意味で、女性目線のほうが届きやすいという想いもあります?

ホリウチ:そうかもしれないですね。聴く人により伝わりやすい、共感しやすいかと。

-「女だから」を書くきっかけは?

ホリウチ:「女だから」はTikTokやInstagramで若者の恋愛を見てて、そんなダメな彼氏もいるんだなって思ったりして(笑)。でもそこが人間臭いというか、自分の10代後半~20代前半の頃の想いに重なったりするんですよ。したいなっていう想いとか、でもダメっていうか......。

-ん?

ホリウチ:えーっと(笑)、女性とタイミングが合わないときって、きっとあると思うんですよ。

-なるほど。

ホリウチ:タイミングが合わないときがあるけど、それでもやっぱり男性ってアホだからしたいなっていう部分の人間臭さと、好きだから許しちゃうっていう女性の人間臭さ。それをSNSで見て、自分の過去に重ねたりしてできたのが、この「女だから」です。

-そういう実体験が歌詞の出発点になってるから、ここまで生々しいんですね。

ホリウチ:僕はそういうのが好みなんで。

あかり:引いてしまうというか、触れないでおいたほうがいいっていうところをリアルに歌ってあげることがいいのかなって。それを求めてる人はきっといるだろうし、共感できる人もいるだろうし。そういう人をちゃんと救ってあげるというか、わかってるよって伝えてあげるのが大事なのかなと思うので、生々しくて一線引くようなところを、いいメロディで歌ってあげる、かっこいいアレンジで歌ってあげるのがLaughing Hickなんだと思います。

-「ホンネ」はポップで夏らしいし、めちゃめちゃかっこいいです。

たいち:この3曲の中では一番ポップですよね。

ホリウチ:ポップだし、主人公も「女だから」とは対照的だし。奥手な男の子の甘酸っぱい青春を夏っぽいサウンドに乗せて、好きなあの子に届け! と背中を押せる曲になったんじゃないかな。

あかり:この曲は去年の9月頃に作って、ライヴではもうやってたんですけど、今回ギターのアレンジを新しく考えて、パワーアップしたんじゃないかと。

-「ランプ」はもうそのまま、ご自身の気持ちをストレートに書いたのかなと。

ホリウチ:これは2年くらい前にできたのかな。さっき成長の話をしましたけど、自分と向き合うということを、僕は今までしたことがなかったんです。「カシスオレンジ」も「愛してるって」も感覚だけで書いてきたし、もっと言うと部活も3年間続いたことがないし。そんな中途半端な人間が音楽と改めて向き合うことになったとき、自分ってほんとになんにもないんだな、まったく芯がないんだなって。親の敷いたレールを歩いてきたというか、結局親の敷いたレールなんてなかったんだけど、なんとなくその上を歩いてきたと思いながら成人して、バンドやって、それを続けていくなかで、やっぱり自分の手で大事なものを掴もうって、そういう気持ちをそのまま歌にしたのがこの「ランプ」です。それまでは、自分が不甲斐なくてメンバーに当たってた部分もあったりして、結構迷惑掛けたんですけど、前よりは今の自分のほうがちょっと好きになれたかなって、この曲を書き終えたときに思いました。

-迷惑掛けたというのは......ケンカされたりとか?

あかり:......ありますね(笑)。

ホリウチ:ありますね(笑)。

あかり:ライヴの考え方とか、楽曲に対してとか。みんな本気でやってるからこそぶつかることもあります。自分は途中から入ったけど、こんなに人を大事にするバンドっていないなと思ってて。曲ではクズなこと歌ってるけど、すごく人間味のある熱い人の集まりなので、100パーセントでぶつかり合っていい曲を作るし、いいライヴをしようとするし、そういう意味ではよくぶつかりますね。家族だったら何を言っても大丈夫っていう気持ちがあるじゃないですか。言っても嫌われることはないだろうしって。だから家族に近いのかな。ちゃんと聞いてくれるし、私も聞くし、そのうえで違うことは"違うよ"って言ってくれるし、言えるし。そうやってわかり合おうとすることってなかなかできることではないと思うので、すごく素敵だと思うし、ありがたいですね。

-ホリウチさんとたいちさんはずっと一緒にやられてきてますが。

たいち:昔からケンカは多かったです。でも言わないっていう選択肢はないんで、思ったことは言うし、思ったことを言ってくれるし、ほんと家族みたいな関係ですね。嫌われてもいいというか、そういう信頼はすごくあります。

-話逸れちゃってすみません。「ランプ」について、あかりさんはいかがですか。

あかり:これは3曲の中では一番最初にできた曲で、環境が変わって、曲の作り方も変わってきてたところで、コウタさんの葛藤してる時期だったなという印象がありますね。その印象があったから、歌詞を見たときに"今こんな気持ちなんだ"ってわかる部分もあったし、逆にまだ自分はそこに気づけてないときだったから、それからしばらく経ってからそういう状況にぶつかったときに"あ、今めっちゃこの曲沁みるわ"ってこともあったりして(笑)。Laughing Hickの生々しいところとは違って、応援ソング、背中を押してあげられる曲になったんじゃないかと思います。何かを選択したり、立ち止まることって誰にでもあると思うんですけど、それでも自分を信じて進んでいこう、自分を愛してあげようよっていうことを歌ってるので、この曲がみんなと一緒に歩いてくれるような、そんな存在になってくれたら嬉しいです。

-たいちさんはいかがですか。

たいち:僕は単純にこの曲を聴いて、自分も大事なものを掴もう、頑張ろうって助けられたんです。なのですごく大切な曲でもあるし、何よりかっこいい曲だと自負しております(笑)。

-この3曲ができた順番と時期を教えてもらえますか?

ホリウチ:「ランプ」、「ホンネ」、「女だから」の順番ですね。

あかり:「ランプ」が2年前の6月くらい。

ホリウチ:おぉ、めちゃめちゃ覚えてるね。

あかり:私、そういうの覚えてるタイプです(笑)。で、「ホンネ」が1年前の9月くらい、「女だから」が今年の4月です。

-「女だから」が一番新しいんですね。だからっていうのもあるんでしょうか。この曲でいこうと思ったのは。

ホリウチ:俺はわりとそういう気質ではあります。曲を書くたびに、その曲が一番好きだから。それがどんどん更新されていく、毎回そんな感じです。だから今回「女だから」をタイトルに持ってきたというのはありますね。

-3年半ぶりの作品がこんなにも濃密な内容なので、この先の作品をまた期待してしまうのですが。

ホリウチ:この夏以降もいろいろとあると思うので、お待ちいただけたら(笑)。

-楽しみにしてます。その夏にはリリース・イベントが開催されます。

ホリウチ:"夏だから"というタイトルで、3年半ぶりのリリース・イベントなので、もう滾ってるよね。

たいち:滾ってるね。

ホリウチ:滾ってるし(笑)、学生さんも多いと思うので、夏休み最後に最高の思い出作ろうぜ! って感じですかね。

あかり:夏だから思いっきり楽しんでほしいし、声も出せるし、楽しんでもらえたら嬉しいです。

たいち:今まで以上にパワーアップした楽曲、ライヴを届けたいと思うので、みんなと一緒に楽しめたらいいなと思います。