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INTERVIEW

Japanese

Halo at 四畳半

2020年02月号掲載

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Member:渡井 翔汰(Vo/Gt) 齋木 孝平(Gt/Cho) 白井 將人(Ba) 片山 僚(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

"今の自分たちが表現すべきことはなんなのか?"という命題に対して、Halo at 四畳半は作品をリリースするたびに深く向き合い続けている。メジャー・デビュー作となった初のフル・アルバム『swanflight』から1年3ヶ月。Zepp DiverCity(TOKYO)でのワンマン・ライヴを成功させるなど、大きな成長を遂げて完成させた今回の2ndフル・アルバム『ANATOMIES』も、そんなハロ(Halo at 四畳半)の音楽への真摯な姿勢が貫かれた作品だ。今作についてヴォーカルの渡井翔汰は、"思い悩んでいたことを全部吐き出した"と語った。ゆえに、これまでにないほど心の葛藤が生々しく刻まれた今作は、美しさも醜さもまるごと呑み込み、バンドが本来的に持っていた多面的な魅力が鮮やかに浮彫りになっている。


楽勝なルートに行けるわけではないし、乗り越えるべき壁はデカくなっていく。それを去年の夏のZeppワンマンで突きつけられたんです


-メジャー以降の流れで言うと、それまでの"ハロらしさ"を大切にしたデビュー・アルバム『swanflight』(2018年リリース)があり、打ち込みのサウンドを取り入れた挑戦的なミニ・アルバム『from NOVEL LAND』(2019年6月リリース)を挟んで、今回の『ANATOMIES』が完成したわけですけど、2ndフル・アルバムを作るうえではどういう作品にしたいと思いましたか?

渡井:作り始めるときに思ってたのは"これまでの作品を経て、どういう作品を作ろうか?"ということよりも、自分が聴く音楽の幅が広がったタイミングでもあったから、そこで吸収したものをたくさん表現したいなということでした。制作期間は短かったんですけど、制作意欲に満ち溢れてたので、わりとポンポン曲ができていきましたね。

『from NOVEL LAND』のインタビュー(※2019年6月号掲載)では、シューゲイザーっぽい音楽を聴いてるって言ってましたよね。

渡井:たしか"デスキャブ(DEATH CAB FOR CUTIE)を聴いてる"って話しましたよね。他にもShawn Mendesとかポップなアーティストも好きなんです。でも俺、自分が好きな音楽がどういうジャンルかはわかってないんですよ。片っ端から好きな音楽を聴いて、それをHalo at 四畳半っていうフィルターを通すことで、このアルバムができたっていう感じです。

-他のメンバーは2ndフル・アルバムを作るうえでは、どんなことを考えてましたか?

白井:このアルバムの中で最初にあがってきたのが「ナラク」だったんですよ。タイアップ(NHK Eテレ"ラディアン"第2シリーズ・オープニング・テーマ)の関係もあって。それがHalo at 四畳半の中ではわりとギター・ロック寄りのシンプルな曲だったから、今回はこういうアルバムになるのかな? って思ってたんですけど。

片山:前作の『from NOVEL LAND』よりもバンド感のあるものというかね。

白井:でも、結果的には幅が広がるアルバムになったなと思います。

-齋木さんはどうですか?

齋木:最初に渡井と俺で10曲ずつぐらい曲を書く制作期間があったんですけど、俺が全然書けなくて。"どうしよう?"と思ってたんですけど、渡井さんの曲が出てきたときにいろいろなタイプの曲があって、次のハロはこうなっていくんだなと思いましたね。

-私が聴かせてもらった感想としては、今までより暗めの曲が多いような感じがしたんですよね。自分の心の闇の部分に向き合っているというか。

白井:あぁ、たしかに。

-それは意識してたんですか?

渡井:いや、毎度のことなんですけど、最初は何も決めてなかったです。去年『from NOVEL LAND』を出したあと6月末ぐらいにかけて曲を作ってたんですけど、その時期に思い悩んでたことを全部吐き出したんです。テーマとして思いの丈をありのままに出そうっていうのはあったから、結果的にそういう作品になったんですよね。

-「Ghost Apple」とか「レプリカ」、「月と獣」あたりの中盤の曲にそれが表れてますね。

渡井:そう、そういうダークゾーンのようなものをハロのアルバムで初めて出せたんですよね。連続して暗めの重たい曲を入れるっていう。今までも暗い曲がなかったわけではないんですけど、そういうところも押し出せたアルバムだと思います。

-制作期間に悩んでいたことっていうのはバンドの進む方向性とか?

渡井:うーん......バンドというよりは、イチ人間としてなのかな。今年27歳を迎えるっていうのもあって、今まで見ないふりをしてきたことについて考えることが増えたんです。20代前半の頃はがむしゃらに突き進んでいけたと思うんですね。でも、25歳になった頃からこの状態がいつまで続けられるんだろう? っていう思いが芽生え始めて。しかも、現状がめちゃくちゃ売れてるわけでもないし、周りのバンドを見ても、活動休止をしたり、解散したりするバンドも多いし、これから自分たちはどうなっていくんだろう? っていうことを、2019年はずっと考えてたんです。

白井:わかりきってはいたんですよ。僕らは2018年の10月にメジャー・デビューしたんですけど、今の時代はメジャー・デビューしたからって、劇的に何かが変わるわけじゃないじゃないですか。僕らも"まぁ、そうだよね"っていう結果だったんです。当然ここからも楽勝なルートに行けるわけではないし、乗り越えるべき壁はデカくなっていく。それを、去年の夏のZepp DiverCity(TOKYO)ワンマン("NOVEL LAND LANDING")をソールドできなかったことで突きつけられたんです。

-でも、ハロの活動を見ていて、たしかにZeppはソールドできなかったけど、ほぼ満員だったし、音楽的にもバンドの個性を見失わずに、メジャー・シーンを見据えた新たな武器も獲得しつつある。とても健全な歩みを進めているように感じますけどね。

渡井:たしかに、やっている音楽に関して遅れをとってるとか、そういう思いはまったくないんですよ。

白井:それはないね。

渡井:Halo at 四畳半として研ぎ澄まされてる自負もあるんですけど、未来がどうなっていくのかわからないから、そういう意味の不安はあったんですよね。

-なるほど。その迷いとか不安とかを原動力にした何クソ感があるから、今作はどん底から這い上がるようなエネルギーにも満ちているんでしょうね。

渡井:"いろいろ挫けたけど、頑張ろう"っていう曲がたくさん詰まってますよね。

白井:僕、今回のアルバムは自分で聴いてても、元気になるんですよ。(渡井と)近い距離で音楽をやってからだと思うんですけど、思ってることも近いんです。

-具体的にダークゾーンの曲たちはどんなふうにできたんですか? 「Ghost Apple」、「レプリカ」は打ち込みとかコーラスも重ねて緻密に作り込んでますけど。

渡井:「Ghost Apple」は終盤にできた曲で、コーラスが生きる今っぽい音をハロのサウンド感で作りたいなっていうのがあって。THE 1975みたいな曲が作りたかったんです。この曲は"ブラック・ミュージックっぽい匂いがする"って言ってもらえる曲ですね。

-ベースのグルーヴ感から、そう感じるのかもしれないですね。

白井:ベードラ(ベースとドラム)がそういう感じですよね。その時期俺はブラック・ミュージックを結構聴いてたんです。黒人系のスラップが入ってる曲とか、リズムのノリを重視する音楽とかが好きな時期でもあったので、それが出てるんだと思います。