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INTERVIEW

Japanese

挫・人間

2018年05月号掲載

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Member:下川 リヲ(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

音楽活動は僕にとっての最終手段でありエデン


-挫・人間は楽曲のアイディアが豊富ですが、それはどうやって生まれてくるのでしょう?

まずメタルなら"メタルをやりたい"というところからスタートするんです。そこから自分を極限まで盛り上げて、テンション・マックスの状態で想像が働いて生まれてくる......とかなのかな。デモを聴きながら"ここでこういうのがきたらかっこいい!"みたいな、そういう妄想を具現化しているだけな気がします。みんなでアイディアを出したりするんですけど、僕が出すアイディアは思いつきだから突飛なものばっかりで、みんなを困らせちゃってるな、精神的な負担を掛けてしまってるんじゃないかな......と思うこともあって。でも僕は楽しいですね(笑)。

-その作り方は昔から変わっていない?

そうですね。今回制作が難航したのは、僕の精神状態があまり良くなかったからで。テンションがめちゃくちゃ高いときでないと曲が書けないんですよ。ちょっと前までは部屋にロウソクを立てて全裸でめちゃくちゃ踊りまくってから曲を作ったりしていたくらいで(笑)。「下川最強伝説」(2015年リリースの2ndフル・アルバム『テレポート・ミュージック』収録曲)もテンション・マックスで腹太鼓をばちばち叩きながら作りましたし......躁状態のときはすごくいいものができあがるんですよね。世間も社会も家族も自分すらも全部無関係、みたいな気持ちのときだけ曲が書ける。音楽活動は僕にとっての最終手段でありエデンですね。挫・人間は根拠なく元気がなくなって、根拠なく元気が出てくるバンドでもあるので。

-"あ、今(テンションが)上がってきてる!"というタイミングを自分自身で見計らって、ということですか。

"今だ!"と思うときにギターをバッと弾いてみて作ったりしてますね。とあるバンド漫画の主人公が河原で寝そべりながら"インスピレーションはどこから降ってくるんだろう"と言うシーンがあるんですけど、"自分の心の中だぜ、お前次第だぜ"って思ってます(笑)。元気は大事ですね。挫・人間の曲を聴いて"俺は何を言っているんだろう。俺はもっとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTみたいになりたかった......"と思うときもあるけど、"俺かっこいい!"と思うときの方が多いかもしれない。できるだけそう考えないと続かないので(笑)。

-それはテンションがマックスのときのご自分が、理想のご自分ということですよね。

あぁ、それはもちろん。Twitterでブチギレてるときも結構テンション・マックスのときなんですけど(笑)、テンションが高いときは"何もかも関係ねぇよパワー"が出ます。俺の言っていることは正しくないかもしれないけど、俺が思っていることだから関係ない――そういう瞬間の気持ちで書いた曲には、力強さがありますよね。正しいか正しくないか判断はできないけれど、説得力があるものになると思う。根拠のない元気がある人を見ると、元気が出ますよね。弱い人が弱いことを自覚しながらも好戦的に吠えるのとか......そういうのがいいなぁと思う。その結果やったことで怒られたとしても、別にいいかなって。そういう気持ちになるのは音楽だけ――音楽とTwitterだけですね(笑)。バンドマンをブロックする指に一切の迷いはない(笑)!

-あははは(笑)。共感できる音楽は心の支えになりますが、自分の中にずっと残るのは、新しい価値観や、共感を飛び越えた説得力で衝撃を受けた音楽だったりしますよね。

正しいことはだいたい学校が、大ヒット映画が教えてくれるので。そこに馴染めなくてはみでちゃった人――まぁ、僕のことなんですけど(笑)――を救済するのは"生活に必要のないエネルギー"なんじゃないかなと思います。それをそのまま音楽にしていった結果が挫・人間。それがいいか悪いかはわからないけれど、とにかく僕らはそうやって音楽を作っていますね。

-先ほどの"音楽は最終手段でありエデン"という言葉に説得力が生まれますね。

3人とも色気づいて音楽以外のものに1ヶ月くらい挑戦してみたりするんですよ。でも3人ともだめで、結局挫・人間をやってる(笑)。その繰り返しですね。最近は自分の健康さや健全さを見つめ直して"人生を諦めない!"という気持ちで筋トレをしているんですが、何も変わらないので、たぶんあと2週間くらいで挫折すると思います(笑)。やっぱり僕らには音楽しかないのかもしれない。今回のシングルを作るときはもやもやしていたんですけど、完成させたらやりたいことががんがん出てきて、"あ、思ったよりまだまだ曲やアイディアが出てくるな"と思いまして。またひとつステップ・アップできたという実感があります。

-おぉ、素晴らしい。

今回なら「ダンス・スタンス・レボリューション」が思い切った曲で――思い切っていろんなことをやってみた方がいいなと思いました。まだまだやることがあるのか......まだやめられないのか......! という感じでもあるんですけど(笑)、なくなるものでもないのかなと思ったりしています。恐ろしい話でもあり、ありがたいことですね。10代のころの未熟さを直視できない時期もありましたけど、今は自分の血肉になっているなと納得できるようにもなっていて、過去に対する反発心がなくなって若返っているような感覚もあるんです。最近作っている曲も"またそんなこと書くのか!"と思っちゃうようなものもあるし(笑)。おかげさまで、今は音楽が楽しくて。だからこのシングルを出すことができて本当に良かったですね。