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INTERVIEW

Japanese

ariel makes gloomy

2018年06月号掲載

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Member:イシタミ(Key/Vox) ワダトシアキ(Gt) 関 悠介(Ba) 佐々木 悠介(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-例えば、「gradation」なんかは疾走感もあって、高速道路で窓の外を見てるように、どんどん音像が変わっていく。これはどんな言語で解釈してるんですか?

佐々木:まさに「gradation」に関しては、自分が作ってるときから"高速道路"っていうキーワードはありました。そういう抽象的な言葉でコミュニケーションをとるときもありますし、もっと誰々の曲っぽい音像を目指そうっていうときもありますね。

ワダ:僕はブラック・ミュージックみたいな感じの印象です。

佐々木:音と音の隙間感みたいなのを強調できてる感じなので。それを『oxymoron』の中に並べられたのは、ある種の達成感を感じてますね。

-「gradation」とか「focal point」はたしかに音像の音楽だと思いますけど、リード曲の「twilight」に関しては、むしろ歌にもフォーカスしてるように感じました。

イシタミ:そうなんです。でも、この曲が一番、amgらしさが色濃く出てるんですよ。というのも、ドラムは規則正しく8ビートを刻んでくださってるんですけど、ギターは16ビートをとってるんです。ベースは8分の6拍子的です。で、鍵盤は2拍3連で弾いてるから、4つのリズムをミルクレープのように重ねてるんです。

佐々木:だから意外と、聴いた感じよりも難しいことをやってるというか。

関:あんまり一緒にやってる感がない(笑)。

一同:あはははは!

イシタミ:だから結局、ミックスは声を中心にやろうっていう感じになったんですけど、この曲を作ってるときは"これがリードでしょう"っていう感じで、迷うことなく決まったっていうムードがありましたね。

-さっきの"ポップスの精神性"っていう部分で言うと、「twilight」は一番聴きやすい曲ではありますもんね。

イシタミ:そうですね。最後の展開に向かってエネルギーを集約していく感じがいいなと思ってますね。明るくも、暗くもないと言いますか。関さんは、これを"ポジティヴとネガティヴの共存"とおっしゃってくださってるんですけど。そういうふうに、いかようにもとれることが、いいことかもしれないと思ってるんですよ。ちょっと落ち込んだときでも、あるいは元気で楽しい気持ちのときでもフィットする。基本的に今回収録している4曲ともそうだと思うんですけど、それが私たちらしさなのかなと思ってますね。

-4曲とも混然一体としてはいるけど、このEPが「place before dawn」で終わるころには、なんとなくポジティヴな方に向かおうとしてる感覚はありました。

イシタミ:あぁ、そうかもしれないですね。あとで曲を並べて気づいたんですけど、今回の4曲は1日の流れになってるんです。「focal point」が始発ぐらいで、「twilight」は日中ですよね。「gradation」が真夜中で、「place before dawn」が夜明けになっていて。とはいえ、"oxymoron"というタイトルにもあるように、何か相反したものを表現できたんじゃないかなとは思ってます。明るい闇のような、永遠の一瞬みたいなところですね。

-"oxymoron"っていうタイトルは、最後に付けたんですか?

イシタミ:いや、"oxymoron"は最初から決まってたんです。amgの作品では、原子番号をタイトルに付けていて。デモとかプリプロも合わせて数えているんですけど、前回の"carbonium"が(元素記号の)周期表の6番目だったんですね。で、今回は8番目なので、"oxygen"、酸素なんです。そういったところで、アートワークも酸素っぽい、丸いイメージなんですけど。oxygenのままだと酸素のイメージが強すぎるので、"oxy"から始まる単語を探してたら、"oxymoron"っていう単語を見つけたんです。撞着語法っていう、矛盾するものをひとつの表現とするっていう意味ですね。それが葛藤と明るさ、ポジティヴとネガティヴ、あるいは今の自分たちの状況にもリンクするなと思ったんです。

-もうひとつ矛盾で言うと、プロジェクトって、個性と言うよりも組織っぽいじゃないですか。でも、amgの場合は4人の個も強く反映されていて、いわゆるバンドっぽい。極めてバンド的なプロジェクトだなっていう矛盾とも合う気がしました。

イシタミ:そうか、そうなんですね。そういう意味では、私たちはプロジェクトとして始まって、4人の個を尊重しながら、バンド・サウンドという形で再構築するプロジェクトっていう感じです。歌詞とトラックから成る4人の音の集合体を曲として組み立てているので、それをまっすぐに受け取っていただけたら嬉しいです。

-現時点で今後のamgについて、どんな展望を抱いていますか?

イシタミ:5年、10年と経って聴いてみたときに後悔はしないものを作り続けたいと思っています。もちろん今回の『oxymoron』では今の自分たちを出せていると思うんですが、もうひとつの観点として、5年後、10年後、あるいは自分が死んだあとまで聴いていただけるのが音楽の良さっていうことも大切にしてるんです。それもある種、矛盾があるんですよね。それが生きていくということだと思うと同時に、そういう俯瞰的な視点も忘れないっていうのが、amgらしさかもしれないです。