Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

a flood of circle

2018年02月号掲載

いいね!

Member:佐々木 亮介(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

a flood of circle、祝4人編成! 初代ギタリストが失踪して以降、12人のギタリストの助けを借りながら転がり続けてきたこのバンドに骨を埋めるつもりでサポート・ギタリスト一般公募オーディションに参加したアオキテツが、約1年半の時を経て正式メンバーとして加入した。バンドとしての結束を高めるのはもちろん、イギリス人エンジニア Xavier Stephenson(通称:ザブ)やUNISON SQUARE GARDENの田淵智也など様々な人々とコラボレーションをする彼らのフットワークの軽さと許容は、音楽家としてかなりクリエイティヴな姿勢ではないだろうか。このタイミングでのセルフ・タイトル・フル・アルバム、非常に意味深い。


テツに自分のフレーズでこのアルバムに飛び込んできてほしかったし、このアルバムのツアーでテツには自分で作った曲を弾ける状態になってほしかった


-まずはアオキテツさん正式メンバー加入、おめでとうございます!

そうなんですよ! ありがとうございます。

-"AFOC(a flood of circle)に骨を埋めるつもりで来た"と言っていたテツさんがこのバンドのギタリストとして加入するというのは、リスナーの立場からしても感慨深いものがあります。

いま考えるととんでもない台詞ですよね(笑)。テツはめっちゃくちゃシャイな奴で、オーディションのときも寡黙だったんです。セッションをして"彼をサポート・ギタリストとして迎えたいな"と思って。そのあと、それまでサポートをしてくれていた爆弾ジョニーのキョウスケが離れるタイミングで、テツに"キョウスケもいなくなるけど頑張ろうね"という感じのことを話したら、それまであまり(自ら)喋ってくることもなかった彼の口から、その台詞が出てきたんです。徐々に(彼の中の)熱さを出してきましたね。彼はツアーやリリースのキャリアがなかったので、訳がわからない世界に飛び込んできた感覚だっただろうから。

-テツさんにバンド経験はなかったんですか?

いや、一応バンドには所属していたんですけど、どこも長続きしなくて転々としていたみたい。彼は京都出身で、大阪に住んでいたけど東京に引っ越してきて、そのときにちょうど俺たちのオーディションの募集を見て応募してくれたんですよね。大阪から東京に引っ越すタイミングで、最後にギター・ヴォーカルとしてバンドを組んでライヴをした......みたいなことを言ってたな。それもバンド名あるのかないのかって感じで(笑)、ずっとふわふわっとした活動をしていたみたい。

-そういう当時23、4歳の男の子が"骨を埋めるつもりで来た"ということは並々ならぬ覚悟があったのでしょうね。

彼は若くても結構クラシックなタイプで、昭和のTVのネタにも詳しかったりするんですよ。ルーツはベンジーさん(浅井健一)やチバさん(チバユウスケ/The Birthday/Vo/Gt)で、一番好きなミュージシャンは奥田民生さん。だから若者が入ってきたという感覚はあんまりなくて(笑)。俺らも自分たちが先輩という意識もそんなにないし、テツも同じような感覚みたいですね。

-実際にテツさんを正式メンバーに迎えようと思った理由は?

『NEW TRIBE』(2017年1月リリースの7thアルバム)のワンマン・ツアー(2017年3月から6月にかけて開催した[a flood of circle ワンマンツアー"NEW TRIBE-新・民族大移動-"])を終えたことが大きかったですね。あのツアーは良くも悪くもバンドとして完成していなかったんです。俺とナベちゃん(渡邊一丘/Dr)と姐さん(HISAYO/Ba)の3人も、初めてザブ(イギリス人エンジニア Xavier Stephenson)と作ったアルバムで新しい手応えを感じたから、それを育てたいと思っていたし、テツもそのツアーでどんどん成長していったんです。ツアーが終わったあとに"またザブと一緒にアルバムを作ろう"という話になって。その際、俺が考えたリード・ギターのフレーズをテツにライヴで弾いてもらうのか、テツが自分で考えたフレーズをライヴで弾いていくのか――どっちにするかで意味がすごく変わってくると思ったんです。俺は、テツにフレーズを作ってほしかったんですよ。

-テツさんが自分の作ったフレーズでライヴをする、というのが重要だった。

テツに自分のフレーズでこのアルバムに飛び込んできてほしかったし、このアルバムのツアーでテツには自分で作った曲を弾ける状態になってほしかった。テツがサポートとして参加したのは『NEW TRIBE』のレコーディング中(※2016年夏)だったから、これまでテツはほかの人が作ったフレーズをコピーして覚えなきゃいけないという状況でライヴをしてきたんですよね。それは彼にとって修行になっていた反面、自分のフレーズが弾けないということでもあって。バンドをもっと良くしたいなと考えたとき"テツがもっと伸びやかにライヴをやってくれたらな"という気持ちがあったから、テツに正式加入してもらうのはどうかと俺からメンバーに打診しました。結構話し合いはしたんですけどね。でも俺としては"レコーディングも一緒にやって、ツアーも一緒に回って......これだけのことを任すということはメンバーじゃない?"って。

-テツさんも嬉しかったでしょうね。

泣きながら"頑張ります!"と喜んでくれました(笑)。

-テツさんの色がより濃くなれば、バンドのグルーヴもまた変わるでしょうし。

そうですね。テツだけじゃなくて、今回のアルバムの「Rising」という曲はナベちゃんが作詞作曲をしているんですよ。アルバムのコンセプト的な部分もナベちゃんの提案だし、ザブと3回目のタッグを組んだのもナベちゃんが"またザブとやりたい"と言ったからだし、今回は姐さんが積極的にデモ作りに参加してくれたんです。前よりもみんなで動かしている感覚があったんですよね。だからテツにもそうしてほしいなという気持ちが自然と生まれて。4人全員がひとつになって次のことをしようというモードだったんですよね。