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INTERVIEW

Japanese

a flood of circle

2016年03月号掲載

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Member:佐々木 亮介(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

結成10周年を迎えるa flood of circle(以下:AFOC)が放つ初のベスト・アルバム『"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-』は我々に向けられた、情熱の通った手紙だと思う。自分たちの歩んできた歴史だけでなく今のモードまでもが音楽で綴られており、この手紙は受け取る人を選ばない。すべての人に等しく堂々と"我々がAFOCです。よろしくどうぞ"と語りかける。それがこのベスト・アルバムだ。どんな困難があろうとも転がり続けてきたAFOCが辿りついた10周年は、圧倒的に青い。

-まずは、結成10周年おめでとうございます。

あっ、ありがとうございます。改めてそう言われるとなんだか新鮮ですね。意外と言われてこなかったんですよ(笑)。俺とナベちゃん(渡邊一丘/Dr)が出会った2006年1月2日を結成日にしてるんですけど、特にチーム間で"10周年だね"という話をしたわけでもないし、この週末からロンドンのライヴとレコーディングが控えているので(取材日:1月25日)、その準備にひいこら言ってるところで(笑)。

-(笑)転がり続けるAFOCらしいです。まず10周年の幕開けにベスト・アルバムというアイテムを選んだ理由は?

俺らはいつもアルバムを基準に動いているので、そのときどきの代表曲をシングルで出したあとは普段ならオリジナル・アルバムに取りかかるんです。実際「花」(2015年11月リリースの7thシングル表題曲/DISC 1:Track.1)の制作の前後では"次のフル・アルバムどうしようか?"という話をしてたんですけど......「花」という自分たちの核となる代表曲を出したから、もっとじっくりフル・アルバムを作ってもいいんじゃないかと思ったんです。そもそもこのベスト・アルバムは僕が出したいと言い出したんですよ。

-そうだったんですね。

このバンドのベスト・アルバムは10周年の頭に出すことに意味があると思ったんです。俺たちは基本的に楽曲をアップデートしていくタイプだし、新しい曲は出していきたいんですけど、途中から俺らのことを知ってくれた人たちがどの作品から聴いていいかわからないだろうなと(笑)。ここで入口を作らないとな......と思ったんですよね。通常盤は17曲入ったDISC 1だけなんですけど、初回盤にはDISC 2とDISC 3があって、これが俺たちにとっては実験と挑戦なんです。DISC 1の曲を全部持っている人でも新しい作品として楽しんでもらえるものを目指したかったし、これからオリジナル・アルバムに向かっていくためにこのタイミングで実験と総括をしておきたかったんですよね。

-今回を機にAFOCのリリース・アイテムを振り返りましたが、フル・アルバムとミニ・アルバムとシングルはもちろん、ライヴ盤やリミックス盤にレンタル盤、配信シングルなどなど......本当にたくさんの作品を発表し続けてきたバンドだと改めて感じました。メジャー・デビューを果たした2009年はフル・アルバムを2枚出してらっしゃいます。

実際、リリースのペースが作詞作曲家としての自分のキャパシティ以上だったことも結構あって。年にフル・アルバムを2枚作るのはかなりクレイジーだと思うし、だけどそれがこのバンドの生い立ちというか。震災によって世の中が変わったことでできた曲ももちろんあるけど、自分たちの環境が変わってきたことに対するリアクションとして生まれる曲があるから、そのときそのときで書ける曲もあって――そうやって書けちゃうとリリースをするわけで(笑)。この10年は抜かりなく、サボらずに駆け抜けてきたので、その節目としてのベスト・アルバムですね。......俺、ロックンロールの入口がTHE BEATLESの"青盤"(1973年リリースのベスト・アルバム『The Beatles 1967-1970』)というのもあるかもしれないけど、ベスト・アルバムが結構好きなんですよね。人のを聴くのも好きだし、ベスト・アルバムにしかできない構成もあると思うし。なんでみんなこぞってベスト・アルバム嫌いを公言してるんだろう(笑)。

-"シングル曲を突っ込んでるだけでしょ"という印象を受けるベスト・アルバムが多いのも理由かもしれないですね。

俺らのベスト・アルバムは俺が全部曲順も考えてチームのみんなに提出して、新しい音源と同じくらい大事に作ったから、無理矢理リリースさせられてるベスト・アルバムとはひと味もふた味も違うので(笑)。俺らがもっとでかいところに行きたい理由は、そこに行かないと書けない曲があると思うから。俺はそれが聴きたいからでかいところに行きたいと思うし。だからこのタイミングでたくさんの人にベスト・アルバムを聴いてもらいたい気持ちがすごく強いんですよね。ほぼ死語になりかけている"ロックンロール"や"ブルース"は、俺たちの武器だと思っているし、ロックンロールは"ジャンル関係ない場所でみんな自由に楽しんでいいんじゃないか?"という提案だとも思うんですよ。俺らは境目を越えるというイメージでロックンロールをやっているので――それを考えるとやっぱり今がベスト・アルバムを出すのに最も相応しいタイミングだったんですよね。

-DISC1『THE BLUE』の1曲目は「花」。前回のインタビューで佐々木さんがおっしゃったように、この曲はバンドの核がそのまま曲になっていると思います。そしてこの流れで聴くと、聴く人を制限しないと思ったんですよね。その理由は「花」がAFOCの楽曲の中で1番の歌モノだから。

ああ、なるほど。

-「花」は細かいところまで佐々木さんの歌のギミックが効いています。それでもAFOCらしさや佐々木さんらしさが薄くなるどころか太く存在しているのは、それがこれまで培ってきたものがあって辿り着いたものだからだとも思います。

その見解は結構嬉しいかも。「花」のあとはわりと時系列で並んでるんですけど、環境が変わり続ける活動の中で自分の歌が強くなっている意識はあって。もともと同い年の男友達4人で組んでたバンドだから、その当時は4等分みたいなイメージだったんですよね。THE BEATLESが好きだったから"4人全員曲を書けたらかっこいいよね"という話をして、実際ナベちゃんも石井(※AFOCの元ベーシスト、石井康崇。2010年12月に脱退)も曲を書いていて。それが失踪あり、脱退あり――その時点で仲良し男子が集まって組んだバンド像は崩壊してしまったので。それで姐さん(HISAYO/Ba)が加入したときに"自分の歌がど真ん中にあって、人の心に刺さるものを作らなきゃ転がっていけない"という想いが強く芽生えたんですよね。