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INTERVIEW

Japanese

EARNIE FROGs

2017年04月号掲載

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Member:三木 正明(Gt/Vo) おがた(Ba/Vo) テラオ(Gt/Cho) ゆかちん(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

美しい男女ツイン・ヴォーカルを巧みなバンド・アンサンブルに乗せて、誰もが心に抱いている孤独や弱さに目を背けずに歌にするEARNIE FROGs。彼らがバンド結成7年目にして初めて完成させたフル・アルバム『ノンフィクション』は、真骨頂のダークなロック・ナンバーを始め、エレクトロな打ち込みのトラックや、グルーヴィなポップ・ソングまで、音楽シーンの流行りに目配せをしながらも、自分たちらしい着地点を見いだした全12曲を収録。これまでのバンドの枠をぶち壊すジャンルレスな楽曲たちは、いま自分たちが音楽を鳴らす意味を改めて見つめ直したからこそ生まれたという。メンバー全員にバンドの現在地を訊いた。

-"EARNIE FROGsはこんな曲も作るんだ"っていう驚きの連続でした。あと、やっぱりアルバム映えするバンドだなっていうのも思ったし。

三木:ありがとうございます。そのぶん、僕らはシングルを作る方が難しいんですよね。

テラオ:1曲1曲作りながら、"これはアルバム曲にしよう"っていうのが、結構あったんです。だから、本当にアルバムでしかやれないことをやれました。

-へぇ。"シングルにしたい、リード曲にしたい"ではなくて?

三木:僕らは本当に喘いで曲を作ってるので(笑)。いざ、スタジオに入ってセッションしてるときは、シングルとかリードになるような曲の方がバンッて早くできるんですよ。でも、その瞬間に出会うまでは、かなりナーバスなんです。

-いわゆるシングル曲、リード曲と呼ばれるものって、一番バンドらしい曲を選ぶじゃないですか、ふつう。

三木:えぇ。

-でも今回、MV曲が「Step Sound」(Track.8)だったのが意外だったんですよね。アルバムだと「スラップスティック」(Track.7)みたいな曲の方が、いわゆるアーニー(EARNIE FROGs)のイメージだし。

三木:そう、おっしゃるとおりです。

-まず、このあたりの理由から教えてもらえますか?

三木:今回、アルバムを作るにあたって、いまの自分たちを守っていては意味がないと思ってたんですよ。僕らはいろんな人に出会ったり、いろんな音楽に出会っている真っ最中なのに、いままでの自分たちが作ってきたものに頼っていては意味がないだろうって。だから、いままでの自分たちの殻を破るようなもの、枠を外すような気持ちで、曲を作り込んでいったんです。あえて、そういう曲を収録していったから、自分たちらしい曲をリード曲にするっていうことにはならなかったんですよね。

テラオ:いままでの僕らは間口が狭いなっていう危機感みたいなのがあったんです。そういう意味で「スラップスティック」は選べない。1曲目の「新しい言葉」とかもアーニーっぽいって言われるので、選べない。っていうので、あえて「Step Sound」にして、それでひとつ、我々を知らない人にも聴いていただきたい、みたいな感じなんです。

-もう自分たちではEARNIE FROGsらしさなんて十分知ってるんだけど、そうじゃないところに行こうとした、っていうことですよね。

三木:そうですね。それは去年出した『SURVIVE』(2016年4月リリースの1stミニ・アルバム)のときもやろうとしたんですよ。「MATSURI」から僕らを見てくてれる人は、"あぁ、あのカエルがPV に出てるアッパーな四つ打ち系のバンドだよね"っていう印象を持ってるだろうなとは思ってて。それを壊したいなという気持ちもありつつ作ってたんです。ただ、『SURVIVE』は、ミニ・アルバムっていうのもあったし、我々の活休明けからの3年を総括する作品でもあったので、入れられない曲がたくさんあったんです。それで今回のアルバムでは、満を持して、いままでの自分をぶっ壊す曲を入れられるぞっていう、そういう気持ちでしたね。

-なるほど。

三木:今回は勝負の1枚でもあるので、たくさんの人に聴いてもらえるような工夫をしたつもりですけど、それよりも、もっと音楽をやる大事さみたいなのを思い出したりしたんですよね。だから、それぞれが持ち寄った曲の中で......今回は僕が書いた曲が若干多いとは思うんですけど、なるべくバラエティに富むように選曲できたのかなと思います。

-アルバムを作る前から、"いろいろな面を見せたいね"みたいな話は、メンバーで共有していたんですか?

テラオ:いや、無我夢中で曲を作り続けてて......。

三木:とにかく書けっていう感じだよね。何曲だっけ?

テラオ:50曲ぐらいあったよね。

ゆかちん:でも、中には2年前に書いた曲をセッションして入れてたりするんです。スタジオに入ってて、なんとなくやり始めたらみんなが入ってきて、すぐに1曲できて。「CRAWL」(Track.9)とか「Disco Panic」(Track.4)とかは、『MATSURI』(2015年リリースの6thシングル)を出す前にはあった曲ですね。

-さっき"音楽をやる大事さを思い出した"って言ってましたけど、そういうことを考えるようになったきっかけはあったんですか?

三木:きっかけ......というのはないんですけど。僕らは聴いてくれる人がいるから、存在できる職業だと思うんです。でも音楽を発信するときには、人が聴いてくれてるから歌うのではないわけですよ。僕が歌いたいから歌う。音楽も生み出したいから作るわけで。そういう気持ちに戻ったんです。僕らは(アーニーを)続けて、6年になるんですけど、そういうなかで枝葉というか......人と関わりがあって、音楽をやるっていうのが、すごく大きくなってきてて。変な話、それにとらわれてる部分があったんです。それで今回は、"果たして僕はいったい何が歌いたいのか?"みたいなことを考えながら、自分がどういう人間かっていうことをちゃんと楽曲に落とし込んでいけたらいいなと思いながら、曲を作ってたんです。

-自分自身と向き合いながらの曲作りだった、と。

三木:でないと、やれなかったんですよね。

テラオ:たぶん作り方として、今回は選曲の時点で新曲が12曲ぐらいあったんですけど、ほとんどワンコーラスしかできてない状態で、ドラムとベースを録ってたんですね。そこに、ギターを重ねていって。デモの段階でメロディも歌詞もないところに、メロディ・メーカーのふたりが書いていくような感じだったので。普段のレコーディングより、歌詞に向かわなきゃいけない作業が詰まってたから、そうなったんだと思いますね。

三木:なるほど。そうかもしれない。