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INTERVIEW

Japanese

パスピエ

2016年12月号掲載

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Member:大胡田 なつき(Vo) 成田 ハネダ(Key)

Interviewer:秦 理絵

-で、カップリングのTrack.2なんですが、タイトルの"月暈"は、月の回りを囲むようにできる光の輪のことですね。そのイメージに合うような、幻想的で、和の雰囲気もある曲ですけども。

成田:これはずっと昔からあった曲なんですけど、タイミングが悪かったり、アルバムのイメージと合わなかったりして、なかなか収録まで至らなかったんです。ただ、大胡田の思い入れが強い曲なんですよ。

大胡田:思い入れが強いというか、この曲だけ毎回外されちゃうので本当に入れたくて。ずっと"なんで入れてくれないんですか?"って言ってたんです。すごく世界観がある曲なので、ずっと好きだったんですけど......。

成田:前作、前々作がミドル・テンポ押しだったので、バランス的にそのカップリングには入れられないじゃないですか。今回は久々のアッパー・チューンだったので、ようやく入れてもいいんじゃないかなと思って。この曲は歌詞もそうですけど、曲も80年代ニュー・ウェーヴの感じを現代版のポップスやロックで表現できたらいいなと思ったんです。なので、サウンド的にはちょっと古めのイメージで録ってますね。

-たしかに、歌詞には"もういいかい"、"もういいよ"とか出てきて古風な感じもしますが、とても切なさを感じました。どんなイメージで書いたんですか?

大胡田:この曲は「MATATABISTEP」(2014年リリースの2ndシングル表題曲)のころに書いたんですけど、当時、タイムトラベルの話をするのにハマッてたんです。それでそのときに、タイムスリップをして、別の時代に行く側の人の気持ちを書いたんですけど。そのタイムスリップをして来た人は、いつか元の時代に帰るからいなくなっちゃうわけじゃないですか。この「月暈」では、残される側の人の気持ちを書いたんです。

成田:説明がわかりづらいなぁ(笑)。

大胡田:えっと......例えば現在が平安時代だとして、未来から人が来ます。でもその人は未来に帰っちゃいます。それで残された人の"あぁ、切ない"っていう気持ちですよね。また、いつか会えないのかなって思ってるんですけど、もう二度と会えないっていう。

-なるほど、なんとなく"竹取物語"のかぐや姫との別れのシーンが思い浮かびました。

大胡田:あぁ、月が出てくるから。でもそういう感じですね。だから、「メーデー」はすごく現実的ですけど、「月暈」は完全に私の脳内ファンタジーなんです。

-ここも対ですね。

成田:だからこそ今回のシングルに入れようと思ったんです。

-さらに今回のシングルには、デビュー作である『わたし開花したわ』のリミックスが入っていて。これがアルバム曲を約14分に凝縮した聴き応えのあるトラックです。

成田:ここでようやく5周年を彩る曲ですね(笑)。去年、『フェスミックスCD』(フェス&イベント会場限定ミックスCD)っていうのを出したんですよ。そのときも僕がミックスさせてもらって。フェス・シーンのなかで、より音を届ける、音を持ち帰ってもらう術を何か見つけたいなと思ったんです。そのCDはいろんなアルバムから曲を選んでマッシュアップさせたものだったんですけど。今回は『わたし開花したわ』と同じ11月23日にリリースできるっていうことで、現在と昔を意識させる意味でもリミックスをやってみました。

-改めて昔の曲と向き合うなかで、気づけたことはありましたか?

成田:いやぁ、もう全然違いますよ、サウンドもそうだし、大胡田の声も。本当に苦労しましたけどね。そもそも僕はリミックスをバンバンやってる人間じゃないので(笑)。

-成田さん、何でもできそうだから、勝手に慣れてるのかと思ってました......。

成田:いやいや。でも、イチからやっていくなかで、今の骨太さと、当時の非現実的な部分はうまく表現できたかなと思いますね。当時の自分たちはちゃんと向き合ってるつもりだったことも、今考えると、フェイクだったなと思う部分がたくさんあるんですけど。そのフェイクもエフェクトとかで表現しようと思いました。

-大胡田さんはできあがりを聴いて、どう思いました?

大胡田:面白いなと思いました。いつも成田さんのミックスは聴いてるんですけど、やっぱりこの人がパスピエの曲を組み立てたんだなと(笑)。