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INTERVIEW

Japanese

NICO Touches the Walls

2016年12月号掲載

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Member:光村 龍哉(Vo/Gt) 古村 大介(Gt) 坂倉 心悟(Ba) 対馬 祥太郎(Dr)

Interviewer:山口 智男

-ああ、ダ・ダ・ダン、ダ・ダ・ダンって(笑)。

光村:スタジオでずっとギター・ケースを叩きながら、"ストンプって難しい"って(笑)。

古村:キーもひとつ上がったんですよ。もともとはもうちょっと泣ける要素があったかもしれない。泣けるというか、"あんなこともこんなこともあった"って聴いた人に回想させて、しんみりさせるところがあって、それはそれで気持ち良かったんですけど。

光村:キーが上がって、やっと自分たちが意図している力強さが出た。"きみしだいです"って歌詞は、聴き方によっては投げやりにも突き放しているようにも聞こえるじゃないですか。だけどそうではなくて、全部、自分次第でマシに考えられるよってことだったから、キーがひとつ上がった瞬間、それが表現できる曲になった感じがありました。

-ごちゃごちゃにはせずとおっしゃったように、すごくシンプルな曲なんですけど、アレンジや音作りは案外凝っているんじゃないか、と。

光村:作っているとき、なんとなくブラスは聞こえていたので、久しぶりに生のブラスを入れましたけど、それ以外は引き算にこだわりました。この間の『勇気も愛もないなんて』(2016年3月リリースの6thアルバム)で、自分たちの歌の芯の強さを再確認できたので、それを引き立てるためには音を足さない方がいいというのがあったんですよ。

-実際、リズム隊は2番からで、1番はアコースティック・ギターと歌に若干のオブリのギターが入っているだけですね。

古村:楽しさが徐々に増えていく感じになったと思います。ギターも1本でできることしかやっていない。音色も間奏以外はテレキャスターだけでいこう、ってアプローチでした。

光村:本当にシンプルに作っていった感じがあります。それが今の僕らの新しいフェーズなんだって作っていましたね。

-カップリングの2曲も含め、バンドのグルーヴを今一度アピールするというテーマもあったんじゃないでしょうか?

光村:3曲とも歌が強いものを選んでいるし、やっぱり歌っていることが伝わってナンボっていうのはあって。そこはみんな共通して歌が好きというのがあるんですけど、元気な感じはすごく意識したかな。選曲においても、"ちょっとやんちゃにやろうぜ"ぐらいの気持ちはありましたね。「マシ・マシ」ができた瞬間、やんちゃにやるって楽しいなって思えたんで、そういう意味では、変にバランスを取らずにやる思い切りの良さみたいなものは3曲ともありました。

対馬:「マシ・マシ」がこういう感じになったから、じゃあカップリングはより踊れるやつを――

光村:みたいな感じで、「MOROHA IROHA」(Track.2)を作りました。

-その「MOROHA IROHA」がまたかっこいい曲で。

光村:久しぶりにこういう曲を作りました。自分が今一番、こういう音楽が聴きたいんです。例えばフェスとかで聴いたら絶対アガるだろうってのが、THE STROKESっぽいギター・リフにヒップホップっぽいものが重なる感じ? 自分の中で空前のビッグ・ビート・ブームが来ているんですよ(笑)。今、ロック・バンドがビッグ・ビートをやったら絶対にかっこいいって、ずっとみんなにも言ってたんです。もともと、「THE BUNGY」(2008年リリースの2ndシングル)を作ったときにほんのりビッグ・ビート・ブームが来てたんですけど、それ以来、久々に来て。今、日本でビッグ・ビートをやってるバンドっていなくないか? じゃあ、ここしかないって感じでした。

-たしかに、ビッグ・ビートって言葉を久々に聞きました(笑)。ファンキーなギターのカッティングがかっこいいですね。

光村:あれは久々に名リフができたなって思いました。

対馬:うん、あれがあるから俺もいける(笑)。

-「MOROHA IROHA」は演奏していても楽しいんじゃないですか?

古村:楽しいですね。

光村:むしろ、俺は聴きたい(笑)。この曲を聴きながらノりたい(笑)。

坂倉:「マシ・マシ」も「MOROHA IROHA」も、今まで作った曲の中でもスタジオでずっと演奏していた気がします。レコーディングまでに一番合わせたんじゃないかな。

-それはやっぱり――

坂倉:気持ちいいからでしょうね(笑)。

古村:逆に言えば、気持ち良くなるまでやる。シンプルだからそれがないと武器にならない。だったらそれが出るまでやる、みたいなところはありました。

光村:やっぱり自分たちが楽しまないと、お客さんも楽しめないから。そういう意味では「マシ・マシ」もそうですけど、今回の曲はアレンジも含め、自分たちのために作ったかな。そこははっきりとひとつ、一貫したテーマがありました。やっていて楽しいとか、何回やっても楽しいとか、やっていくなかで何か変化があるかとか。フェスに出演すると、今、テンポが速くて、四つ打ちで、ギターをジャカジャカ弾いて、サビの前にキメがあってドンッてサビでみんなの手が上がるみたいな光景が多いんだけど、僕らはあえて、"もっとこんな楽しみ方もあるんじゃない?"、"あんな楽しみ方もあるんじゃない?"っていうのを提示したい。バンドは常にそういう気持ちを持ってなきゃいけないと思うんですよ。僕らはそこにどんどん素直になっていっている。夏フェスでやった「マシ・マシ」がそうだったように、いろいろな道をお客さんに提示し続けたいんですよ。