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INTERVIEW

Japanese

VOLA & THE ORIENTAL MACHINE

2014年10月号掲載

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Member:アヒト・イナザワ (Vo/Gt)

Interviewer:天野 史彬

VOLA & THE ORIENTAL MACHINE、4年ぶりの新作である。タイトルは『Regalecus russelii(レガレクス・ルッセリイ)』、5曲入りのミニ・アルバムだ。しかし何故、4年もの期間が空いたのか? その詳細な理由はインタビューに譲るが、この4年の間、アヒトは地元・福岡に戻り、その20年近くにわたる音楽人生に大きな転機を迎えていた。取材日はVOLAも出演したBAYCAMPの翌日午前中。会場では大いに酔っていたとの情報をキャッチし正直不安だったが、当日、現場に現れたアヒトはとても明晰に、そして確信に満ちた表情で、VOLAの今を、そしてこれからを語ってくれた。

-昨日のBAYCAMPでのライヴはいかがでしたか? フェスは久しぶりですよね?

そうですね。ライヴ自体、2年ぐらいブランクが空いてたんですけど、レコーディングや諸々の目処がついて、新曲もできてきたので、今年の5月くらいから復帰し始めてて。で、ありがたいことにBAYCAMPもお話をいただけたので嬉しかったですね。特にフェスは凄く久しぶりで、前回が"つくばロックフェス"だったんですけど、それも3~4年前の話なのでね。こういう大きいところに帰ってこれたなって、感慨深いものがありましたね。

-今回のBAYCAMPでは暴動が起こっていたという噂ですが(笑)。

そうですね(笑)。まぁ、事前にTwitterで"よろしくお願いします"って根回しはしてたんですけどね(笑)。でも、いい感じで応えてくれて、最高でしたね。気持ちよかったです。

-この10月に4年ぶりの新作『Regalecus russelii(レガレクス・ルッセリイ)』がリリースされるわけですけど、まず、この4年の間、アヒトさんはどうされていたのかというところからお伺いできたらと思うんですが。東京から離れて、今は地元の福岡に住んでらっしゃるんですよね?

そうですね。まぁ、前まではメジャーっていう厳しいフィールドで活動してたんですけど、メジャーともなると、セールスが伴わないと契約って切られていくのは当たり前の話で。で、契約切られたっていうのもあるし、ちょっとこう、自分の中で参っちゃった部分があって。もういいかなって、一瞬諦めかけるというか......諦めとまではいかないですけど、福岡に戻ってみようかなっていう気がふっとしたんですよね。なんというか......自分ももう若くもない、気付くともう40歳になってる。ほとんどを音楽だけで生活してきた、この40歳の中身って何が入ってるんだろうって考えると、ちょっと不安になったんですよ。一般常識もまったく知らず、特殊な世界にいたわけだから、このままでいいのかなって考えたりして。もともと器用なタイプの人間じゃないから、何事も体験して実感しないと世の中の仕組みを理解していけないんじゃないかっていう思いが自分の中にあったんです。なので、音楽業界とは全然違う場所にも身を置いてみて、そこから客観的に自分が音楽活動をしてきたっていう事実を見直してみるのもいいんじゃないかなって思ったんですよね。だから、苦渋の決断といえば苦渋の決断でしたね。で、音楽から離れるなら、経済的にも普通に仕事はしないといけないので、それなら勝手知ったる地元がいいかなって思って、福岡に戻りました。

-アヒトさんにはナンバーガール時代から含め20年近い音楽キャリアがあるわけで。そんなかたが急に音楽から離れて別の仕事に就くのは、やはり驚きを隠せない人も多いと思うのですが、アヒトさんが参ってしまったのはレーベルの問題が1番大きかったんですか? それとも、他にも何か要因ってあったんでしょうか?

そうですね......なかなか言えないこともあるんですけど(苦笑)、まぁなんか、よく聞く話というか。何もかもが嘘っぽく感じてしまったんですよ。それで、こういう世界に今いるのはよくないなって思ってしまったんですよね。すべて虚構で塗られた世界というか......その時、たぶん精神的にも参ってたので、何もかもを斜に構えて受け止めてしまっていた部分もあったと思うんですけど......。それで、世の中に背中を向けてしまった部分もあって。

-福岡に帰ろうと思った時、他のメンバーの皆さんとはどういう話をされたんですか?

もう普通に、"俺もう福岡帰るけん"って感じで(笑)。みんな"えっ?"って感じだったんですけど。バンドは今までどおり、ペースは落とさずにやっていこうと思うって話はして。メンバーはその辺を一番懸念してたので、それでみんな、なんとなくは納得というか......納得してたのかどうかわからないですけど、とにかく活動が続いてければ問題はないっていう感じでしたね。メンバーそれぞれに直接確認したわけではないのでわからないけど、自分の中では、こう思わないとやってられんだろうなって思って。

-福岡に帰るとはいっても、VOLAの看板は外したわけではなく、解散でも活動休止でもなかったわけですよね。それはアヒトさんの中で活動は続けなきゃいけないっていう思いがあったし、他のメンバーの皆さんのことも考えてのことだったんですか?

まぁ自分自身が、ここで音楽的なキャリアの何もかもを終えてしまうのは、ちょっと納得いかんなっていう思いがあって。それにリリースに期間が空いてしまったとはいえ、福岡に帰ってから2年間ぐらいは、ライヴでちょくちょく東京に来てたんですよ。でも、前に出した『PRINCIPLE』っていうアルバムからしばらく経ってたので、さすがに新曲をやらないと自分たちも飽きてくるし、お客さんたちも"また同じ曲をやってるよ"っていう感じになってしまうので、曲を作らないといけないっていう思いがあって、そこから曲作りをまた始めたんですね。