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INTERVIEW

Overseas

THE FLAMING LIPS

 

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Member:Wayne Coyne (Vo/Gt/Key/Theremin)

Interviewer:石角 友香

先月、2010年代に入り初のオリジナル・アルバム『The Terror』リリース後のワールド・ツアーの一環で、単独公演としては3年ぶりに日本でライヴを行ったTHE FLAMING LIPS。内省的なサイケデリアとエレクトロ色に寄った新作の世界観はもちろんだが、新旧取り混ぜたステージは、必ずしも新作の沿ったコンセプチュアルなものというより、00年代までの目に見える祝祭感とは違うベクトルでの、バンドが元来持つ作品性......人間や人生に対する愛や困難、そして音楽が鳴る場所の特別な繋がりを感じさせる新たな感動に満ちたものだった。今年結成30周年を迎える稀代のオルタナティヴなバンドのフロントマン、Wayne Coyneを東京公演2日目のバックヤードに訪ねた。

-昨日(10月21日の赤坂BLITZ公演)、ショーを見たばかりなのでまだ興奮というか、感動してます。

OH!照明なんかが曲に力を入れてくれた感じで、感情が豊かというか。見てて前の方のオーディエンスが圧倒されてる姿とかにこっちも感動しちゃったな、ホントに。

-今回は『The Terror』リリース後のツアーということもあると思うんですが、前回までの祝祭的なステージとは雰囲気がガラリと変わりましたね。

自分としてはそんなに大きく変わった印象ではないというか、以前見せていた盛りだくさんのステージ......バルーンが飛んでたり、飾りがあったり映像を使ったりっていうのもいきなりそこへ行ったわけじゃなくて、徐々に増えていった結果だったから。まぁでも久しぶりに見るお客さんにしてみたら"わー、増えたな、すごいことやってるな"って印象で、今回もお客さんからしたら変わったなと思うかもしれないけど、ここ2年ぐらい、自分たちの中でも違うことをしたいという意識は出てきたと思う。音楽と歌が主役という部分は変わらないし、何か違うことをしたい結果が今回のああいうショーになってるんだけど。以前のステージでは楽観性みたいなものを体現してたところはあって、でも音楽的には皮肉だったり、シリアスな部分やダークな部分がある。ただステージに上がったら、いつでもそうなんだけど、全然そんなの関係なくてシリーな僕らが出るっていう。だから今も僕らはハッピーなバンドだということは変わってないね(笑)。でね、若いころによく見てたバンドの連中は妙にシリアスで楽しんでるように見えなかったんだけど――1994年のロラパルーザでの話なんだけど、ステージ上ではえらい真剣な顔してやってるNick Caveは、ステ--ジの下で会うとけっこうおかしなところがあるんだ。例の下痢事件の話なんかを"お腹がくだってるから、力こめて歌ったときにはこうなってああなって......"なんて話す彼を見て、僕は彼が好きになったんだ(笑)。ああいう人間味が出ていたほうが僕は好きになれるな。ま、ひとつの例だけど。

-(笑)『The Terror』につながる部分だと思うんですけど、THE FLAMING LIPSは10年代に入ってからは、フル・アルバムではなく1年間月1曲の配信や、24時間マラソン・ライヴなどすごく多くのトライアルをしてきたと思うんですが、それは今のストリーミングがメインになった状況を反映してのことなんですか?そしてその試みは『The Terror』に変化をもたらしたんでしょうか。

言ってることはすごくわかるところで、たしかにここしばらくやってきたことはアルバムの形にこだわらないもので。まぁヨーコ・オノたちのと"愉快な仲間たち"も例をして挙げられるんだけど、そういうこともやってて。その時期の僕らは実は、アルバムという形を問われたとき"ぜーんぜん関係ないよ。アルバムなんて意味ないよ"って考えになってて。どうせみんなiTunesで1曲ずつ買うんだからそれでいいんじゃないの?って。ただ、『The Terror』を作るにあたって僕らの考えも変わったんだと思う。たぶんみんなもそうだと思うけれど、曲単位で十分だって思う時期と、やっぱりまとまった作品として聴きたいよねっていう時期があるんじゃないのかな?長い時間をかけてじっくり聴ける作品があってよかったなって思える時って。で、今回の『The Terror』に関して言うと曲がいっぱい入ってるアルバムではあるけど、ひとつの作品として全体を聴ける、しかも聴きやすい作品になってると思う。Beyonceの新譜みたいに"これはなんかの罰ゲームですか?"と思うぐらいビートでガンガン押されて、ずーっとポップなものが並んでるのとは違って、僕らの新作はどちらかと言うとメロウで聴くにあたっていろんなものを要求されない、気楽に聴くことができるアルバムになってると自分は思ってるから、そういう意味では1曲に近い作品と考えてもらってもいいんじゃないかな。