Overseas
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ストレートに"恐れ"とタイトルされた全編シームレスに続くひとつの詩のような、ひとつの曲のようなアルバムだ。恐怖から逃れることはできるのか?愛するほどに傷つくのか?でも結局、自分の手に負えないものからの支配と破壊の欲求によって人は跳躍できるのではないか。そんな自問に似た真摯な歌が、静かな熱気を湛えたバンド・アンサンブルとエレクトロが感覚を増幅させるサウンドとともに淡々と紡がれていく。コラージュ/ミュージック・コンクレート的な手法も、ノイズ・ギターも必要とあらば同じ俎上に乗せつつ、決して過剰にならないサウンドスケープは、聴感上はロック的ではないけれど、このエモーションはインストのカット・アップでは決して味わえないTHE FLAMING LIPSというバンド作品の強みだ。(石角 友香)