ヘヴィ・ロックmeetsポップ・サウンド×エレクトロという基本路線は変わらない。しかし、四つ打ちのリズムも大胆に使いながらストレートでポップな魅力を打ち出した今回は、覚醒をテーマにした前作以上にカミツキの覚醒が感じられる。目の前に立ちふさがる門をこじ開け、前進することをテーマにした全5曲。物語は前3作からの続きではあるものの、歌詞からは、等身大のMiZUKi(Vo)が感じられる。そんなところもストレートでポップ。これまで以上に多くのリスナーに歓迎されるに違いない。新加入のHAGI(Gt)がアコースティック・ギターを軽快に鳴らす「Shine In the Darkness」には、ラテン・テイストという新機軸も。カミツキの活動はここからさらに加速していきそうだ。
前作『REAR SIDES HERO』は4曲入りのシングルだったとはいえ、そこからわずか5ヶ月でリリースというところに前進を続けるバンドの勢いが感じられる。1stミニ・アルバム『Five Days After Infection of Vampire』からの連作となるこの3rdミニ・アルバムでは、五感が研ぎ澄まされ、第六感が覚醒した物語の主人公と同様に、8月の初ワンマン・ライヴを経てバンド自身も覚醒したことをアピール。前作では、エレクトロとラウドなサウンドが入り混じるカミツキの王道に和のテイストを加えていたが、ダンス・ビートやメタリックなギター・リフの導入をはじめ、本来のロック・サウンドのなかで新境地と言えるアレンジにアプローチしている。それぞれに耳に残るキャッチーなフレーズを持った全5曲がライヴ映えすることは必至だ。
前2作同様コンセプチュアルな作品ではあるものの、シングルという性質上フットワークは軽く、それぞれに異なる魅力を持った4曲を収録。前2作で追求した"前進"というテーマは、津軽三味線と琴の音色も使って、和のテイストを打ち出したリード曲の「月華の奏」の新境地からしっかりと感じられる。その一方で「3 Words」と「from Day to Day」では、エレクトロとラウドなサウンドが入り混じるカミツキの王道を追求。その「3 Words」と同様に結成時からありながら、前2作のストーリーには合わないという理由で未発表だった「Eternal Sunshine」は、穏やかなピアノ・ナンバーだ。新たな挑戦に加え、今回、バンドが隠し持っていた魅力が楽曲の幅を広げたことに、何やら大きな意味があるようにも感じられる。