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LIVE REPORT

Japanese

Keishi Tanaka / 向井太一 / Omoinotake(O.A.)

Skream! マガジン 2017年08月号掲載

2017.06.22 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 秦 理絵

LIVEHOLIC周年イベントVol.13は新しい世代のポップ・ミュージックで独自の道を切り拓いていく男性シンガー・ソングライター・デーだった。オープニング・アクトのOmoinotakeのみバンド出演だったが、メイン・アクトの向井太一とKeishi Tanakaはサポート・メンバーと共にステージに現れ、ジャンルの縛りを軽々と超えてゆく自由な感性でスリリングな音楽を届けてくれた。




オープニングを飾った島根発のピアノ・トリオ Omoinotakeは、ピアノの伴奏のなかヴォーカルの藤井怜央(Vo/Key)がひとり歌い始め、そこに福島智朗(Ba/Cho)と冨田洋之進(Dr)のリズム隊が加わる「fake me」からライヴをスタートした。メロウでアーバンな雰囲気が会場を優しく包み込むと、8月2日にリリースされる1stミニ・アルバム『beside』から2曲を披露。バキバキのシンセサイザーに合わせてカラフルな照明がステージを照らした「Freaky Night」では、ギターレスの3人が繰り出す軽妙なダンス・ナンバーでじんわりとフロアを踊らせる。「Life goes on」では、演奏の前にシャラララのコーラスをみんなで練習して会場をひとつにする場面も。藤井が"昔の恋人が忘れられない女性の歌です"と紹介した、どこか懐かしいメロディが印象的な「Ache」から、躍動感のあるピアノが弾んだアップテンポなダンス・ナンバー「Hit It Up」まで、Omoinotakeが作り上げる極上のポップ・ミュージックに集まったお客さんが心地よく揺れるひとときだった。




ドラム+キーボードを携えた編成でステージに乗り込んできた向井太一は、電子音を絡めたR&Bナンバー「STAY GOLD」から、その繊細で伸びやかな歌声がフロアを支配した。ダウンテンポのなか幻想的な景色を描き出した「SPEECHLESS」、自身の歌声をループさせた美しくも熱を帯びたラヴ・バラード「THINKING ABOUT YOU」など、幻想的でアンビエントな音世界でお客さんを魅了していく。"18歳のときから大切に歌っている曲です"と紹介した「君にキスして」のあと、シリアスな曲調で届けた「24」が印象的だった。"今は僕が僕である為に/歌うよ"と自身の決意を込めたような楽曲は、スウィートなラヴ・ソングが多い向井のセットリストの中で強い異彩を放っていた。そして、「YELLOW」や「GREAT YARD」という躍動感のあるダンス・ナンバーを畳み掛けると、向井は"下北沢には良いライヴハウスがいっぱいあるので、ここ(LIVEHOLIC)もみなさんと一緒に熱い場所になっていけばと思います"と祝いの言葉を口にして、披露したのは友人の結婚式のために書いたというシンプルなバラード曲「RISE」だった。完璧に積み上げられた隙のない音像の節々から漏れ出る熱い人間味。そこに向井太一のシンガー・ソングライターとしての真価を見た気がした。




Keishi Tanakaはギター、ベース、ドラムにキーボードという5人のバンド編成でステージに現れた。上品なグルーヴが心地よい良質なポップ・ミュージックに乗せて、Keishi Tanakaがソウルフルな歌声を炸裂させた「冬の青」からライヴはスタートした。続けて煌びやかなコーラスを交えた陽性のポップ・ソング「Floatin' Groove」へ。バンド・メンバーが繰り出す演奏の上を泳ぐようにメロディを紡ぎ、その演奏を心底楽しむようにハンドマイクで歌うKeishi Tanakaの表情がとても良い。「Hello, New Kicks」では突如フロアへと降り立ち、後ろの方で観ていたお客さんを前へと連れ込んでしまう強引なコミュニケーションも含めて、会場にいる全員で音楽を作り上げるパフォーマンスだ。"LIVEHOLIC、2周年おめでとうございます!"という短いMCを挟んで、エレキ・ギターを弾きながら届けた音楽讃歌のような「偶然を待っているだなんて」から、裏打ちのリズムで踊らせたスカ・ナンバー「Our Town」、そしてアンコールで届けたモータウン直系の心躍るダンス・ナンバー「Just A Side Of Love」まで、ピースフルな音楽が聴き手を非日常へと導くステージだった。

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