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LIVE REPORT

Japanese

Jake stone garage

Skream! マガジン 2015年12月号掲載

2015.11.18 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 岡本 貴之

2015年11月18日(水)渋谷CLUB QUATTROにてJake stone garageのワンマン・ライヴ"JSG release tour 2015 FINAL"が行われた。彼らにとって初めてのクアトロでのワンマン・ライヴ、そして年内最後のライヴということもあり、2015年の総決算に相応しい熱いライヴとなった。
 
平日の夜、しかも外は強い雨が降っていることもあり、当初客足は鈍かったものの、開演時間を迎えるころには徐々にフロアも埋まってきた。お客さんは8割方女性のようだ。開演時間が過ぎ客電が落ちると、まず岩中英明(Dr)がステージに上がりドラム・ソロへ。続いて西司(Ba)が加わり、スラッピングで岩中に合せていく。やがてワタナベサトシ(Vo/Gt)が登場すると、"東京ー!!"と第一声を叫び、手にしたテレキャスターを垂直にかかげながら中央に出て煽り出し、1曲目「Alice on edge」へと突入した。ステージ前に陣取ったファンは早くも長い髪を振り乱して熱狂的に踊っている。ワタナベの繰り出すWilko Johnsonばりの高速カッティングにドッと沸く観客たち。ソリッドなサウンドだが、決して耳が痛くなるような嫌な刺激のない、むしろあたたかみがある音に聴こえるのが不思議だ。そのあたりはキャリアの成せる術だろうか。「リビドー」では真っ赤に染まるライトが、セクシャルな(というかエロい)歌の内容をさらに際立たせていた。
 
"渋谷ー! Jake stone garageのワンマン・ライヴへようこそ~!"改めてワタナベが挨拶。どっしりとミディアム・テンポの楽曲へと続き、ワタナベと西が向かい合いながらグルーヴを作り出す。岩中がマイクに向かうと、"どうもありがとう! いつもそう思っているけど、今日は特にありがとう"と集まった観客に感謝を伝える。見れば、フロア後方まで観客でギッシリだ。今年最後のライヴということで、今日にすべてを注ぎ込むという宣言のあと、西のランニング・ベースに合せてワタナベが歌う「Heat Jive」でヨコノリにフロアを踊らせた後は、「シンディア」へ。ベースの小刻みなリフレインを中心にダンサブルに聴かせ、3つの楽器という制約ならではのアイディアが光る"人力エレクトロビート"なサウンドが面白かった。
 
中盤、ゲスト・ミュージシャンとして"バンドにとって心の支え。この人がいないと、JakeのCDは出ない(笑)"という、レーベル主宰者でありプロデューサーの深沼元昭がギタリストとしてステージに登場。黒いレスポールを抱えた深沼はワタナベの左隣に陣取り、「クリムゾンジャガー」、「惑星のリズム」を共に披露。「幻」ではエモーショナルなギター・ソロを聴かせ、大きな拍手を浴びていた。再び3人になると今度は「DEEP IN」(音源未発表)から「badman」と前衛的なセクションに入り、ワタナベがギターのシールドを抜いて掌に当てノイズを出すパフォーマンスを見せた。そうかと思えば「陽炎の夜」では激しくドライヴする直球のギター・ロックを聴かせ、キャッチーなサビメロにフロアから一斉に手が上がり、ポップな「トビラ」では彼らのバンドマンとしての瑞々しさやロック・キッズぶりが感じられた。そしてライヴは徐々にクライマックスへ。「光」では観客も大きな声でシンガロング、燃え尽くすような怒涛のビートで「ラトル スネイク シェイク」を叩きつけて本編は終了した。
 
アンコールでは"本当、ハッピーです!"とワタナベがフロアに清々しい表情を向ける。"東京へ拠点を移して、初めてのクアトロでのワンマン・ライヴ。いろいろ考え込んだ時期もあったけど、そんなとき友人から、悩みながらもちょっとずつ前に進んだ方がいいと言われて、とにかく行動してみました。ちょっとずつ前に進んでいると思います"と心情を吐露すると、会場は大きな拍手に包まれた。"来年も攻めまくります!"と宣言してから始まった「ロックンロールミュージック」でロックへのありったけの想いを伝えてステージを降りたものの、アンコールの拍手は一向に鳴りやまず。再び登場した3人が最後に演奏したのは1stシングル「スパイダーアクション」。汗をしたたらせながら熱演する彼らから、タフに生きぬくエネルギーをもらった夜だった。

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