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INTERVIEW

Japanese

Jake stone garage

2016年11月号掲載

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Member:ワタナベサトシ(Vo/Gt)

Interviewer:岡本 貴之

前作から1年、Jake stone garageの新作『UNERU』(ライヴ会場/配信限定リリース)は、首尾一貫してアグレッシヴに疾走する6曲が聴ける文句なしにカッコいい作品だ。メンバー各自がそれぞれの活動も行うことでバンドにフィードバックされたのは、これまで以上の一体感と、より先鋭化された理屈抜きのバンド・サウンド。その"うねり"をそのままパッケージすべく、なるべく考えないようにして作ったという今作について、ワタナベサトシに話を訊いた。

-今作は6曲中4曲が英語詞ですが、ワタナベさんが日本語で書く歌詞って散文的でいろいろと想像させるじゃないですか?

そうですね、ちょっと抽象的に書いているかもしれないです。

-今作はサウンドを優先したというか、英語詞にすることでそういう日本語の歌詞を深読みするようなところすら削ぎ落とそうとしたのかなと。

今回のタイトル"UNERU"はいわゆる"うねり"、"波動"というような意味なんですけど、人間が持っている波動とか雰囲気って、頑張らなくても自然に出るのかなって思っているところがあって。話し方や表情、ちょっとした振る舞いとか、そういうところからその人の波動は出るものだよなって思ったんです。RECするにあたって、あんまり肩肘を張らなくても、いつもの自然な状態で演奏すれば、今のJake stone garage(以下:Jake)のうねりは出るだろうなって。なので、なるべく考えないで作ろうかなと思ったんですよ。歌詞もあんまり考えすぎないで書きたいなと。それがたまたま、英語の方がハマッたというだけなんですよね。僕は聴くのも作るのも、実は英語詞も日本語詞もどちらも好きであまりこだわりがなくて。なので、自然にやったら結果的にこうなったということです。

-たしかに、演奏のアレンジも細かいことよりリフ一発のループ感とか勢いが感じられます。

RECも3日間でやってしまったので。あんまりじっくり考えるよりは、今の僕たちそのまま見せた方が、今のバンドのうねり感とか波動が一番出るんじゃないかと思ったんですよね。

-そのうねり感というところでは、ワタナベさんのギター・リフが口火を切って始まることが多いですが、曲はリフから作るパターンが多いんですか?

はい、"リフ先行"です。基本、ギターを弾いて自分の中で引っ掛かるリフがあればそこから展開していくことが多いですね。実はリフのストックが結構あって、日の目を見ていないものがたくさんあるんです。

-今回の曲に関してはそういうストックから出してきたものもあるのでしょうか。

2曲目の「black glow」と6曲目の「ネオグランジ」は3年くらい前からあったものです。5曲目の「Liberal Arts」も2年くらい前からありますね。他は最近作ったものです。

-ワタナベさんがリフを弾いて、それにベースとドラムが加わって、というバンドとしてシンプルな形が"うねり"になっている?

もともとこのバンドがそういうものなので。曲を作るときは僕がリフを持っていって"このあとこういう展開にするつもりなんだけどやってみていい?"って合わせて、という感じです。

-それが今回、自然にタイトルの"UNERU"になったわけですね。

そうですね。岩中英明(Dr)と西 司(Ba)も他のバンドが始まって、それぞれの活動があって、やっぱりそれぞれが個人としてすごく成長していると思うんですよね。そういうものがJakeとして合わさったときに、たぶん放っておいても良いうねり感は出るだろうなと思ったんです。なので今回は特に何も言ってないですし。

-"こういうアルバムを作ろう"ということを言っていないということですか?

何も言ってないですね。もう、放っといたらこんな感じっていう(笑)。もちろん、どっちがいい? くらいの話はしますけど、自然にできた感じですね。たぶん、隠しても取り繕っても滲み出るものがあると思うんですよ。それは僕らだけじゃなくてね。表現というのは、よほど隠したり取り繕わない限りは、そういうものが出ると思うんですよ。

-そこには、東京に拠点を移してからここに至るまでの成長が出ている?

出ていると思います。それぞれがいろんな人に出会ったり、場数を踏んでいたりしているので。Jakeでの時間は減りましたけど、そういう時期があってもいいと思っています。

-岩中さんがbrainchild'sで、西さんがFELiQROOMでそれぞれ活動しているんですね。

それぞれバンド以前に、ひとりの人間、ひとりのミュージシャンだし、自分の人生なので、やりたいことをやって自分の表現を突き詰めていって、その3人の円が重なる部分がJakeであればいいと僕は思っているんです。そこにうまくフォーカスして落とし込めて着地できれば、Jakeというバンドになると思うので。だからその円の大きさがそれぞれで違おうが、いびつであろうが、重なる部分が狭くなろうが僕は構わないし、3人が納得できる部分を突ければいいだけなので。むしろいろんなことをやってほしいし、僕もやりたいです。

-ワタナベさんご自身は、この1年で変わったところや影響を受けたものってどんなものがありますか?

対バンしてすごく印象に残っているのが、THE GROOVERS藤井一彦さんと、この前対バンしたMade in AsiaDuranさん。彼は稲葉浩志さん(B'z)のバックで弾いたりしている方なんですけど。そのふたりの印象がすごく強いんです。藤井さんはすごく良いギターの音を出していて。"なんでそんな良い音出るんですか?"って聞いたら、"もっと良い音出ないかなって毎日考えてるよ。その積み重ねでしかないよ"って言われて。なるほどなって。Duranさんもすごく良い音を出すし、すごく上手いし。"何使ってるの?"って聞いたら、"別に大したもの使ってないんですよ"って言ってて、実はエフェクターとかも普通だし、ギターもそんなに高級なものは使っていなくて。"なんでそんなに良い音出るの?"って聞いたら結構謙遜してましたけど。ああいう人たちを見てるとすごいなと思うし、僕も刺激を受けるんですけど、まともにいっても勝てないなというのが実は本音で(笑)。なので、僕はあんまり人がやっていないアプローチをしないといけないんだろうなっていうのはずっと思っています。それで今回はワーミー・ペダル(を使ってる曲)が多いかもしれないですね。

-なるほど。なんのエフェクターを使っているのかな? という箇所がいくつかありました。

これはペダルを踏むと、1オクターブとか2オクターブ上の音に上がるエフェクターなんですけど。それを1曲目「freak me out」のリフとか「Liberal Arts」の頭のリフとかで使っているんです。同じことをやっても勝てないぶん、そういう人たちがやってないことをやろうと思って。

-例えば藤井さんだったらルーズなタイム感のあるブルージーなギターですし、同じロック・バンドのギタリストでもワタナベさんとはタイプも違いますよね。ワタナベさんは疾走感のあるガレージ・サウンドに、エフェクターでトリッキーなプレイを交ぜたりしているところがカッコいいと思うんですけど。

いやぁ、でもやっぱりみんな上手いですからね。いろんなミュージシャンを見ていて、同じ土俵でやってもしょうがないというか、みんながやってるならやらない方がいいなというのもあるので。まぁそう言いながら一番オーソドックスなバンド形態でやってるんですけど(笑)。

-たしかに(笑)。でも、そのオーソドックスな形態でやれることを突き詰めているわけですよね。

そうです、そうです。

-今作でも半分インストのようなTrack.4「ゴールデンヒル」はそんなバンドの姿勢が表れている気がします。

ありがとうございます。自分の中では試行錯誤した結果、自然にやろうという感じなんですよね。もちろんいっぱい考えて捨ててきているものもあるんですけど、表現するときや作品にするときは、それを全部踏まえたうえで自分の自然な状態でやるのがいいんじゃないかなって。そういうのも自然に出ちゃうんじゃないかなって思うんですよね。