Japanese
Galileo Galilei
2011.11.20 @新木場STUDIO COAST
Writer 沖 さやこ
暗転と同時に歓声が湧き、フロアが波打つようにステージに迫る。なにせGalileo Galilei、約7ヶ月振りのワンマン・ライヴ。この瞬間を皆待ち侘びていたのだ。メンバーの登場に再び大きい歓声が巻き起こる。
まず我々の前に飛び出したのは「4」。図らずも1曲目はインスト・ナンバーだ。ステージの上には無数の楽器とコンピュータが置かれ、円陣を組むようなバンド・セットになっている。音に誘われ、またもやフロアがうごめく。1つ1つの音を確実に刻むバンド・サウンド。そこに色を注すシンセサイザーとプログラミングと、重厚なドラム。それはまさしくウォール・オブ・サウンドと言うべき重圧感だ。そこからフロントマン尾崎雄貴(Vo&Gt)と岩井郁人(Gt)の柔らかいハーモニーが心地良い「青い栞」へ。若い芽が天に向かって真っすぐ伸びていくようなひたむきな力強さでフロアを魅了する。
「さよならフロンティア」ではサポート・メンバーの野口一雅(Key)がパーカッションを手に持ち、佐孝仁司(B)は鍵盤ベースを。雄貴はパソコンでプログラミングを施す。 “誰が何を弾かなきゃいけない”“どんな楽器を取り入れなきゃいけない”なんてそんな小さいことには拘らず、自由に音を組み立ててゆく。一人一人と握手をするように、丁寧に言葉を紡いでゆく雄貴。彼らが生み出す歌と音が、誰しもが持ち合わせている青春にそっと寄り添う。
“新曲をたくさん持って来たんで”という雄貴のMCの後に、新曲を4曲立て続けに披露。ダンス・ビートをフィーチャーし、プログラミングを巧みに操る実験的なエレクトロニカな楽曲が続く。「フロイト」は大人の男を感じさせるファルセットとスマートなメロディも印象的。勿論新曲でもメンバーの担当楽器は定まることなく、岩井がパーカッションを担当してるかと思いきや、次の瞬間シンセを弾いていたりと、とにかく目で追うのが大変だ。音に没頭する5人がステージで、今まさにそれを貪欲に追求している。それはとても美しい光景だった。そんな彼らが生み出す音は、日常を煌びやかにする魔法を掛けるように、ひたすらイマジネーションを刺激する。彼らは音でもって我々に様々な“夢”をプレゼントしてくれるのだ。尾崎和樹(Dr)の被っていた赤いサンタ帽と、彼らが北海道は稚内という北国出身なのも相まって、5人がサンタクロースに見えて仕方がなくなってしまった。
音が洪水のように押し寄せ、ドラマティックに展開する新曲「明日へ」。軽やかなバンド・アンサンブルに胸がどんどん高まってゆく。その後は“ガリレオの新しい形を見せたので、この後は今までの曲たちをやっていきたいと思います”と演奏されたのは、初期の楽曲「Monday7s」「夏空」「ハローグッバイ」。ストレートなギター・ロック・ナンバーなのだが、感情をぶつけるようにかき鳴らされる音たちは、生きることへの葛藤、ぶち当たった壁を必死に壊そうとするような苦悶も滲んでいるような気がしてならなかった。
凄く芯の強いバンドだと感じた。“くそったれども”が蔓延る世の中に対する抵抗、そして自由、希望、夢――それが彼らにとって“音楽”なのかもしれない。音楽に対する愛情、覚悟、挑戦。それが如実に表れたライヴだった。
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