すべてをDIYで取り組んできたDENIMSの4thフル・アルバム『RICORITA』。2本のギターが絡み合う「Journey To Begins」のチェンバーな音像に、自身のスタジオで制作する光景と旅の始まりを告げる空気感が重なり合う。爽快なカッティング・リフの虜になる「Sleep Well」、初のスカを軽やかに乗りこなした「春告」など、色とりどりな楽曲で構成された本作。ファンク、ソウル、時にロックと多様なジャンルを奏でる縦横無尽なグルーヴが心を弾ませ、踊らせる。様々な感情が詰まったジャケットからも垣間見える、緩さの中に秘められた覚悟や、"バンド"という旅を続ける彼らだからこそ見える情景は純度を保ちながら音に凝縮された。初期衝動はそのままに、新しい春の訪れに向かって熱が迸る本作は、DENIMSのさらなる飛躍を期待できる1枚だ。
中学のときに英語の授業で習った"This is a pen."という例文で大人になることのバカらしさを感じた人は絶対に聴いた方がいい。Helsinki Lambda Clubがリリースする初のフル・アルバム『ME to ME』、その1曲目が「This is a pen.」だから。そこに意味なんてなくていい。ただなんとなく耳触りが良くて、だけどピリッと皮肉が効いた、そんなヘルシンキの歌の数々は人を食ったような遊び心がありながら、時々、真正面から涙腺を刺激するセンチメンタルも詰まってる。70年代パンク~90年代のオルタナティヴ・ロックまでをルーツに持ち、その片鱗をおそらく"あえて"隠そうともしないまま、ここまで奇妙にポップなオリジナティを確立するセンスは、この世代のバンドでは群を抜いていると思う。