中学のときに英語の授業で習った"This is a pen."という例文で大人になることのバカらしさを感じた人は絶対に聴いた方がいい。Helsinki Lambda Clubがリリースする初のフル・アルバム『ME to ME』、その1曲目が「This is a pen.」だから。そこに意味なんてなくていい。ただなんとなく耳触りが良くて、だけどピリッと皮肉が効いた、そんなヘルシンキの歌の数々は人を食ったような遊び心がありながら、時々、真正面から涙腺を刺激するセンチメンタルも詰まってる。70年代パンク~90年代のオルタナティヴ・ロックまでをルーツに持ち、その片鱗をおそらく"あえて"隠そうともしないまま、ここまで奇妙にポップなオリジナティを確立するセンスは、この世代のバンドでは群を抜いていると思う。
ライヴ・バンドとしてフェスやイべントで百戦錬磨の存在感を発揮している今の夜の本気ダンスの無敵感が、見事に結晶化したシングルである。Track.1「By My Side」、これはキャッチーなリフと絶妙なファンクネスを孕んだ四つ打ちビートが絡み合う、彼らが得意とするダンス・チューンだが、今まで以上に曲そのものの"重み"が増した。各楽器の織りなすアンサンブルが、まるで重戦車の如き迫力で耳に迫ってくる1曲。とにかくヘヴィ、且つグルーヴィ。そしてTrack.2「Show down」、これも性急なダンス・チューンだが、その上に彼らの本来的に持つメロディアスな側面が強く出ている。米田の歌声も強く深くなった。もはや"勢いのある新人"のカテゴリーからは大きくはみ出すスケールの大きさを感じさせる1枚だ。