5thミニ・アルバム『GUZMANIA』から半年で発表するアルバム。人の心を天体に見立て、遠く離れた人々の心に自分たちの音楽を届ける"着陸船"=LANDERというテーマのもと、人生の様々な場面を、ユーモアとペーソスを交えながら、あくまでもポジティヴに歌った全12曲が収録された。軸足をライヴに置いているバンドらしい硬派なバンド・サウンドと、90年代のJ-POPの影響――つまり、ロックの影響だけにとどまらないポップ・ソング作りのセンスおよびスキルが絶妙に、いや、過剰に入り混じる曲の幅広さは彼らならでは。「WOULD YOU LIKE A HENJIN」は初の完全打ち込み曲なんだそう。ダンサブルなリズム・アプローチに滲むブラック・ミュージックからの影響も聴きどころだ。
ロックとは騙された者勝ちの音楽だ。このくだらない世界で、たった一瞬でもハイな気分を味わうために自分を騙す――それがロックの本質。その点で、テスラは泣かない。はロック・バンドとして圧倒的に正しい。自分たちを上手く騙しているし、リスナーを騙そうとする気概もある。このメジャー・デビュー・ワンコイン・シングルの表題を飾る「Lie to myself」は、彼らが標榜する"マグマロック"という言葉に相応しい1曲。緊張感のあるピアノの旋律に爆発力のあるギター、ベース、ドラムが絡み合うダイナミズムは、まるで本能が理性を凌駕する瞬間のカタルシスそのもの。この曲が鳴っている間は、今お前が身に纏っている苦悩も嘘も矛盾も、すべて解き放って忘れてしまえと言わんばかりの頼もしい吸引力。最高。プロデュースはクラムボンのミト。