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INTERVIEW

Japanese

SAKANAMON

2016年04月号掲載

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Member:藤森 元生(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

音楽ってもっと面白くて複雑なものなのでは――SAKANAMONの楽曲からいつも溢れる音楽愛は、自称するように人生における"酒の肴"で在り続けていいのだろうか。ドラスティックに日常が好転したり急にモテたりしないのが人生。そんなリアルな毎日を並走してくれるSAKANAMONの新作『HOT ATE』についてメイン・ソングライターの藤森元生に訊く。

-前作『あくたもくた』(2015年リリースの3rdアルバム)が作れたことや、その後のツアーでどんな手応えがありました?

『あくたもくた』は、ギター・ロックのど真ん中をガッツリ突いたみたいなものになったので手応えは相当ありました。お客さんの反応もより良くなったし。自分でも"いいな!"と思ってました(笑)。

-作品、曲としていいものを作るという姿勢は変わらないと思うんですけど、SAKANAMONっていうバンドの立ち位置やキャラクターが前作ではっきりしたのかな?と思ったんです。

はい。今回はどうでしたか?

-今回はそれを土台にしてある種ぶっ飛ばすというか。

うん。なるほど。そうだと思います(笑)。また方向性広げてきたなと、我ながら。

-バリエーションのある曲が入ってて当たり前っていうのをより確信しました。

そうですね。『PLAYER PRAYER』ってシングルを挟んで、そのときからアルバムを視野に入れた姿勢でスタートして。そこから......毎回そうなんですけど、アルバム作るごとにネタを使い果たしているので曲を作れる気がしないんですよ。"できんのか? できんのか?"みたいな状態から、「PLAYER PRAYER」(Track.11)と「アイデアル」(Track.5)の2曲だけを先に録って。そのどちらかをアルバムのリードにして、どっちかをシングルで切るというところから始まったんですけど、そこに時間をかけてしまって。それからはもう脅威の追い込みで他の10曲も作り上げたって感じですね。

-言ってしまえば「PLAYER PRAYER」も「アイデアル」もバンドにおけるキャッチーな面じゃないですか? ここに着地させるということに時間がかかったと?

そうなんですかね。なんかすごく丁寧に作っていった気がしますね。この2曲はリードのつもりで作り始めていたのもあって。

-「PLAYER PRAYER」ってすごく不思議な曲ですよね。藤森さんの怒りや焦りも聴こえてくるけど、メロディがすごく王道で。

「PRAYER PLAYER」は作ってみたらリードっぽいのができたって感じ。それくらいのイメージだったんですけど(笑)。

-今回、わりとストレートに自分の立ち位置を把握したうえで"でもね"っていうイメージが強いです。

そうですね。『あくたもくた』のラストに入ってる「TSUMANNE」あたりから、そういう色が特に強くなってきてる感じはしますね。

-「TSUMANNE」は当たり前のことしなきゃってわかってるけど、それじゃあつまんねぇという葛藤を畳み掛けるような曲でしたよね。あそこで言い放って今回に続いてる?

一貫してああいう気持ちは持ってるんですけど、劣等感とか疎外感といいますか。それは真ん中に置きつつ、そことはまったく関係ないこともやりたいし。ま、同じことばかり言い続けても仕方ないと思いつつですね。

-疎外感を感じて卑屈になってることを自覚してる客観性がある、と。

そうですね。なので、今回、曲に出てくる主人公的な人たちは――今まではわりと人間味のある方向で攻めてたんですけど、今回はなんだろ......マイノリティ側ではあるんです。いろんなことに物申したりしてるんですけど、主人公がラスボス側だったり、未確認生物とか、そういうマイノリティからの視点みたいなものを今回の武器にしたというか。いつもは、あくまで"自分という人間"からの攻め方をしてたんですけど、いろんなジャンルからの視点で言いました。

-それは一人称が自分じゃないということですか?

自分以外の視点でも語ってみたかったというか、それこそ一人称視点はもう散々やってきましたからね。ま、自分も飽きるし、みんなも違うことを聴きたいだろうなというか。そんな感じです。

-Track.1の「UTAGE」もたしかに主語じゃないところで歌ってますね。

ああ、そうですね。たしかに。