Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

"SENSOR Vol.2" 座談会

 

いいね!

CARTOON+YELLOCK:CARTOON YELLOCK
ASH DA HERO:ASH(Vo) Dhalsim(DJ)
Interviewer:山口 哲生 Photographer:Yukiya Kanda


自分の中で点と点が線で繋がっているんですよ――あのとき遊び回っていたのは、この未来に辿り着くためだったんだって(ASH)


-それぞれ別の形のクリエイティヴであり、良さがあり。

ASH:うん。そういうところへの柔軟性みたいなものは持っていないと。僕らは柔軟にいきたいなって思ってます。

-そうですよね。そもそもDJがバンドにいるわけですし。

ASH:そうそう(笑)、そもそもがそうだから。

YELLOCK:はははははは(笑)。たしかに。

CARTOON:そこが他とは違う気がしますよね、やっぱり。

ASH:今日は来ていないけど、他のメンバーもリミックスを聴いて、みんな超アガっていて。僕らに気を使っていただいて、"もし気になるところとか、ここはこうしてほしくないという部分があったら"ということに対しても、"もう全然好きにやっちゃってください!"みたいな。ウチらはそういうモードなので、これにとどまらずにまたやりたいです。

YELLOCK:ぜひぜひ!

CARTOON:今回はきっかけになればいいなと思ってるんですよ。僕らがどうというよりは、シーン全体がこういうの面白いねって感じになってくれたらいいなって。おととい、(ASHたちと)一緒にご飯を食べに行ったんですけど、"日本でDJがいるバンドって数えられるぐらいしかいないよね"っていう話をしていて。

ASH:数えてみようってことになって、MAN WITH A MISSIONでしょ? Dragon Ashでしょ?......俺ら? みたいな(笑)。

CARTOON:そうそう(笑)。でもアプローチというか、音楽作りにおいてはバンドの形式とか関係なく、そういうところとコラボレーションしたり、行ってみてもいいんだっていう。今回のことが、小さいかもしれないけど雫がポトンと落ちて、だんだん波及していくきっかけになればいいなと思ってますね、お互いのシーンにおいて。

YELLOCK:たしかに。そもそもASH DA HEROというバンド自体がいろんなバックボーンを持った人たちの集まりだと思うんですよ。サウンド感も"よくぞこれをミックスしたな!"みたいな感じだし。

CARTOON:"よくこれでアルバムになるよね?"みたいな話してたもんね。

ASH:ほんとにね(笑)。

YELLOCK:そもそもバンドの造りがそうなのもあって、そこに触発されるところもあったし、やっぱりジャンルにとらわれることってナンセンスだなと思って。そこはもう柔軟に取っ払う......いや、取っ払うというよりは、ごちゃ混ぜでうまく落とし込んで、面白ければいいじゃんっていう。若い人たちもそこまで気にしてないと思うんですよね。このジャンルはここでこうでというのは、情報で音楽を聴いちゃっている人たちだと思うから。そういうのはそういうのでね、メディアの方々にやっていただければいいので(笑)。

-ははははははは(笑)。

YELLOCK:これはこういうジャンルで、こういう系譜があって、こういう歴史があるというのは、メディアの方々に語っていただければ。

ASH:メディアの人はメディアの人で、そこのフォルダ分けをしないとイントロデュースしづらいっていうのは絶対にあると思うし。

YELLOCK:そうそう。

ASH:でも、現代の若い子って本当に超シームレスというか。そもそもサブスクで普通に聴いてきている子たちだし、ジャンルとか、これは洋楽なのか邦楽なのかというのも、たぶんもうないと思いますし。俺としては、ジャンルっていうものがあっていいと思うんですよ。マジでそのフォルダはあっていいと思う。ただ、俺らはそのフォルダをクラウドに上げるというか(笑)。

YELLOCK:はははははは(笑)。

ASH:"共有フォルダのリンク、みんなに教えるから"っていう。ウチらはそういう感じですね。クラウドで行こうっていう。

-Dhalsimさんはいかがです?"日本でDJのいるロック・バンドは数えられるぐらいしかいない"というお話もありましたが、そこでDJをしているDhalsimさんが聴いた、CARTOONさんとYELLOCKさんのリミックス音源の印象と言うと。

Dhalsim:僕はそこまで深く入っていないですけど、ハウスもドラムンベースもヒップホップも聴いていて。結構ミーハーな人間なので、いろんなジャンルに手を出して、いいなって思ったものが自分のバックボーンになっていて。今回のリミックスを聴いたときは、YELLOCKさんは僕らの楽曲のノれる感じをそのままリミックスしていただいていて。あと、僕のスクラッチを結構前に出してくれたりとか(笑)。

YELLOCK:はははははははは(笑)。

CARTOON:そうそう(笑)。

ASH:すげぇピックアップされてたよね。嬉しそうだった(笑)。

Dhalsim:あざっす! みたいな。あそこは"実は結構ムズいことをやっているんですよ"っていう話をインタビュー(※2023年3月WEB掲載)でもしていたんですけど、原曲ではちょっと奥まっていたんですよね。

ASH:まぁね。ミックス・バランス的に泣く泣くそうせざるを得ないっていう。他にも楽器があるから。

YELLOCK:もうみんなが本当にいろんなことをしてますからね。これは大変だろうなぁ......って(笑)。

Dhalsim:はははははは(笑)。そういうところでリスペクトしてもらったことをすごく感じました。CARTOONさんのリミックスを聴いたときの第一印象は、なんじゃこりゃ! と思って。たぶん、僕には思いつかないものだったんですよ。リミックスって大きく分けて2パターンありますけど、俺はぶっ壊すのが結構好きなんです。

ASH:俺も! 俺も好き。

Dhalsim:"この原曲どれ!?"ぐらいにやってくれていて。たまにリミックスを聴いていても、これってほぼ原曲じゃね? っていうのがあったときに、そこは気を使ったりしたのかもしれないけど、僕はあまり面白いとは思えないんですよ。やるならとことんやってほしいと思っているから、CARTOONさんの曲が来たときに"これ!"って思いました。

-ちなみに、先ほどCARTOONさんとYELLOCKさんがお話しされていたように、Dhalsimさんも"こういうふうにリミックスできるな"みたいな感じで音楽を聴くこともあったりするんですか?

Dhalsim:僕はあまりリミックス脳では聴いてないですね。

ASH:それこそスクラッチでしょ?

Dhalsim:うん。

ASH:スクラッチャーだからね。だから面白いよね。トラックメイカーと、スクラッチャーと、シンガーとっていう、この座談会。

CARTOON:ここ3人はDJとしてスタイルが違うんだけど、そのことをたぶんこの中で一番遊んでいたであろうASHさんが一番わかっているっていう(笑)。

全員:ははははははは!

CARTOON:それぞれのジャンルのDJはこうなんじゃないかとか、原体験はこうなんじゃないかっていうのをちゃんと理解しているのがASHさんであり、ASH DA HEROの面白いところだと思いますよ。なかなかそれってね、ヴォーカルやって、楽器やってという人からしたら、スクラッチを中心にしたDJと、ハウスのDJと、ドラムンベースDJって、絶対に区別つかないですよ。

YELLOCK:たしかに。

CARTOON:もちろん音的に区別はつくと思うけど。でもそれぞれが違うことを考えてDJをしているというのは、あんまりわからないと思いますからね。

ASH:この3人は全員違うイベントのメインを張る人たちなんで。だからまぁ、遊び倒してますね(笑)。フッ軽なんで。

CARTOON:重要ですよ。"SENSOR"は僕らが始めたイベントですけど、この先ももっと一緒にやることがあったら、日本から世界がびっくりみたいなものを作れるんじゃないかなって。それは"SENSOR"とはまた別で、ASHさんが旗を振るのも面白いと思うし。ASHさんはそういうところをちゃんと理解している人だから。

ASH:自分がそうなったのは、地元の文化もデカいと思っていて。地元が愛知なんですけど、名古屋って超アングラなヒップホップと、超怖いアンダーグラウンドのハードコアが一緒にイベントをやっていたりしてたんですよ。かと思えば、その3メートル先でヴィジュアル系がイベントをやっていたり、その裏側に行くと昔の名古屋シティ・ハードコアみたいな、鼻と耳が鎖で繋がってる感じの人もいる。で、もうガチガチのヘッズを湧かせているヒップホップもいて、その横でスケボーやってるみたいな、街自体がミクスチャーなところで育ったんですよね。自分も洋服屋やってたり、タトゥー屋で働いたり、ストリートに結構近いところでずっと暮らしていたから、遊ぶとなると、今日はスケボーのパークに行こう、今日はクラブに行こう、今日はライヴハウスに行こう、友達が出るから、みたいな。

-そのときの経験が大きかったと。

ASH:今は多様性を極めてきている時代ですけど、音楽って全部通ずる部分があって。それぞれジャンルはあるんだけど、そこをグッとひとつになれるってことを押し通していく、提唱していくこの"SENSOR"というイベントは、自分の中で点と点が線で繋がっているんですよ。あのとき遊び回っていたのは、この未来に辿り着くためだったんだって。僕は今そういう気持ちでいます。

-イベント当日についてですが、ASHさんとDhalsimさんはDJセットで出演されるんですよね。

ASH:そうです。ふたりでDJスタイルでやるのは過去に何回もやってきていて。でも、よくよく考えるとたしかにと思ったのが、これまでオープンな場でやってなかったんですよ。マジでブロック・パーティーじゃないけど、そういうところでしかやってなくて。

Dhalsim:たしかに。ここに来てた人たちラッキーみたいな。そのときは、普通にオケで歌っても面白くないだろうと思って、ドラムをビートに差し替えたりとか。

ASH:そうだそうだ。Dhalsimがビートを作ってくれて。あとは普通にラバダブやったりとかもしてたね。イメージとしては、やっぱり"SENSOR"というイベントのアティテュードがあるから、そこにしっかり呼応しつつ、僕らを呼んでいただけたということは、僕らとしてそこで果たす役目があると思っているので。それこそおふたりはライヴに来ていただいているので、そこで受け取ってもらった熱を、バンド・セットではなくDJとヴォーカルのふたりだけで、どれだけクラブに落とし込めるかっていう。だから普段ASH DA HEROのライヴに足を運んでくれている人たちは、いつもとはひと味もふた味も違った、"マジかよ、クラブでもかますじゃん、こいつら"っていうのを現場で見てもらえると思いますね。普段クラブに足を運んでいるなかでこの記事に辿り着いてくれた方や、普段あまりライヴハウスには行かない人、もちろんライヴハウスにも行くという人も楽しませられるライヴ・セットで臨もうと思っているので。ぜひ我々ASH DA HEROの時間帯は、もうキッチリお酒を飲んでいただいて(笑)。

YELLOCK:なかなかないんじゃないですか? ライヴハウスでライヴしているときに、みんなが結構飲んでる状況って。

ASH:ないです。みんなシラフで、終わってから乾杯っていうスタイルなので。でも、この日はほろ酔い状態で、とち狂ったように踊ってほしいなと思ってますね。