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INTERVIEW

Japanese

This is LAST

2023年04月号掲載

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Member:菊池 陽報(Vo/Gt) 鹿又 輝直(Dr)

Interviewer:山口 哲生

今年1月から全国23ヶ所を回るワンマン・ツアー([This is LAST one man live tour "OVER"])をスタートさせたThis is LAST。彼らは各地のオーディエンスたちと音楽を共有しながらも、様々なトライアンドエラーを繰り返し、彼らが思い描くロック・バンド像に向け、その足を進めている。また、3月1日には新曲「#情とは」(読み:じょうとは)を発表。ABEMAオリジナル恋愛番組"花束とオオカミちゃんには騙されない"の挿入歌に起用されている同曲は、昔の恋人から結婚することを告げられた主人公の心境に、柔らかくもしなやかなバンド・サウンドとストリングスが寄り添うミディアム・ナンバーになっている。そんな新曲について、そして現在回っているツアーの手応えについて、メンバーに話を訊いた。

-全国23ヶ所を回るツアー[This is LAST one man live tour "OVER"]が、現時点(※取材は3月上旬)では残り数公演という状況になっていますけど、ここまでの手応えはいかがでしょうか。

陽報:ライヴ・バンドという意識がより強くなっているとは思います。

輝直:......うん。

陽報:......やばい、簡略化しすぎた(笑)。

輝直:はははは(笑)。僕の今のところの印象としては、全会場そうなんですけど、物理的にも心の距離的にも、お客さんとの距離がすごく近いなって。ステージに立った瞬間に見られてる感じがすごい伝わってくるし、そのぶん、熱量も100パーセント返ってきている感じがして。なんていうか、ライヴしている感がすごくありますね。

-ライヴを通してそういう空気になっていると思うんですけど、特に客席との近さを感じる曲ってあったりします?

輝直:いっぱいあるよね?

陽報:あるね。「オムライス」(2021年リリースの1stシングル『ポニーテールに揺らされて』収録曲)とかかな。「ディアマイ」とか「病んでるくらいがちょうどいいね」(共に2020年リリースの1stフル・アルバム『別に、どうでもいい、知らない』収録曲)とかは、距離感でできあがっている感じもするよね?

輝直:みんなで声を出せるパートとかもあるんで、そこで一体感がより生まれてる感じはしますね。

-今回のツアーを始めるときに、こういう感じで回れたらいいなと思い描いていたことはあったんですか?

陽報:ロック・バンドでありたいという気持ちが強かったので、そこに向かっていけるように1本目から走ってきていて。あと、今回はライヴハウスを中心に23本回ってるんですけど、その間にイベントでZepp公演とかも入っていて、いろんなサイズの箱をこの短期間に凝縮して経験させてもらっているんですよ。そういう会場の大きさとかもすごく関わってくるというか。現場にいるお客さんを、自分たちの音楽、出している音、ライヴに引き込めるようになってきたのかなってすごく思いますね。

-歌っていて、ちゃんと引き込めているのがわかる瞬間というと? 例えば、この曲をやっているときはそういう感じがある、みたいな。

陽報:曲単位という感じではなく、その場の空気感みたいな感じですかね。このツアーを通して、より空間を支配できるようになってきたというか、そういう感覚が少しずつ掴めてきていて。ものすごく感覚的なものなので説明するのが難しいんですけど(笑)、いつもステージに立つときはThis is LASTとして、そのフロントマンとして、この場を僕が支配して、掌握して、This is LASTのライヴの空気に変えるっていうことを考えているんです。そうやって歌を歌っていると、エネルギーみたいなものがブワーッと自分から出ていくのをすごく感じていて。それが箱中に広がっていく瞬間に、今この場を掌握している感覚になってくるっていうか。だから、曲単位というよりかは、僕の歌のエネルギーがもとになっているのかなと思います。

-掌握できている感覚が芽生え始めたのはいつ頃だったんですか?

陽報:前回のツアー("This is LAST 「アウィナイト」ツアー2022")が終わって、年末ぐらいですかね。大阪でFM802の"グリコライヴ"([GLICO LIVE"NEXT"SPECIAL])っていうイベントがあって、そのときに自分の中で少し変化を感じたんですよね。何がって言われたら、これもちょっと説明が難しいんですけど(笑)。

-(笑)そうですよね。

陽報:普段からライヴ中は頭を回してやっているときもあるし、回しながらも感覚を重視してライヴをしているっていう、ちょっと難しい部分があるんですけど。その"グリコライヴ"のときは、もう一歩先の可能性というか。頭も感覚もより鋭くできる瞬間と、自分が自分であれる瞬間っていうのが一瞬見えた気がして。そこから自分の可能性を探り始めていった感じでした。

-その感覚が生まれた瞬間って、今まで経験したことないような感じになったんですか?

陽報:空っぽになりました。どちらかというと、今までは頭の中でずっと考えて、ライヴの一発目の音から最後の音まで、すべてを計算してやろうみたいな感じが結構あったんですよ。でも、自分の中から溢れ出るものに集中しながら、もともとやっていたライヴのやり方とのバランスを考えてやるようになってからは、いっぱい溢れ出してるからか、ライヴをやるたびに空っぽになりますね。

-スポーツ選手でいうところのゾーンみたいな感じなんですかね。

陽報:何も考えられなくなるんですよ。何を言われても、何を言われてるのかわからなかったり、空っぽになった次の日に電車で現場に向かおうとしたら、全然違う現場に行こうとしちゃったり(笑)。なんか本当にもうダメな人になっちゃうんですけど、たぶんフロントマンとしてはそれで正解なんだろうなって。これで間違いないなと思って進んでます。

-輝直さんとしては、陽報さんがライヴ中にそういう状態になっていることを感じたりします?

輝直:感じてますね。前のあき(陽報)は、それこそライヴ中に頭をすごく使ってるなぁっていうのがひしひしと伝わってきていて。でも、本当にここ最近は、なんか楽しそうですよね。自由に楽しくライヴをしてる感じが伝わってきて嬉しいです、メンバーとして(笑)。もちろんもともと楽しそうにしてはいたけど、やっぱりMCはすごく考えながらしゃべってるなって思うときがあったので。

陽報:ライヴ中に楽しさを感じることももちろんあったんですよ。でも、やっぱり考えている時間が長くて、終わったあとに楽しかったなって思うことが多かったんですけど、リアルタイムでずっと楽しいと思いながらやれるようになったのかなっていうのは変化ですね。