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INTERVIEW

Japanese

ビッケブランカ

 

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メジャー・デビュー5周年を迎えたビッケブランカが、初のベスト・アルバム『BEST ALBUM SUPERVILLAIN』をリリースする。CD 2枚組、新曲「アイライキュー」含む全36曲は、ファン投票による曲を中心にセレクトされた。アップリフティングなピアノの調べで春風のように登場したメジャー1stシングル「ウララ」や、国内外でアニメ・ファンに人気の高い「Black Rover」、驚きをもって迎えられながらも瞬く間にそのクセになるビートとキャッチーさでライヴや日常のカンフル剤になった「Ca Va?」、また最新のオリジナル・アルバム『FATE』からも「夢醒めSunset」やビッケブランカ流の歌謡曲「オオカミなら」など、ビッケブランカの5年間の集大成となる。いちアーティストとして自由に、自在に枠を広げビッケブランカ印を作り上げている、そのクリエイティヴィティと一筋縄でない音楽の面白さを改めて味わいたい1枚だ。

-メジャー・デビュー5周年記念のベスト・アルバム『BEST ALBUM SUPERVILLAIN』は、ファン投票によって選曲するという初の試みになりました。このファンの方の投票には、何か傾向のようなものはありましたか。

本当に単純にいいと思ったものに投票してくれたんだなという感じがしますね。例えば、ライヴの後半にやる曲だからどうこうというようなエフェクトが、あまり入っていない気がしました。

-シングル曲だけでなく、シングルのカップリング曲やアルバムの曲が選ばれているなど、みなさんじっくりと作品を聴いているんだなという並びですね。新曲「アイライキュー」込みで全36曲ですが、この曲は意外だったなというのはありましたか。

「白熊」「WALK」は意外でした。「WALK」はだいぶ前の曲ですし、ライヴでもそんなにやらなかったんですけど、好きって言ってくれるんだなっていうのがありますし。「白熊」が一番意外で、トップ10に入っていたんですよね。「白熊」はラヴ・ソングではあるんですけど、歌詞の切り口が一般的ではない、僕としては攻めた表現をした曲で。すごく簡単に言うなら、あなたのためなら私は暴力をも行使しますという曲ですからね(笑)。言い回しはもっと違うとはいえ、曲としてはそういう表現の狙いがあったので。それが受け入れられたんだなということを、ここで実感した感じはありました。

-「白熊」はトップ10にも入っていたということですが、一番の人気曲っていうのは?

「ウララ」でしたね、これはぶっちぎりでした。

-「ウララ」は始まりの高揚感がある曲で、長く聴き継がれている、愛されている感じがありますね。

メジャー1stシングルだからとかライヴの後半で披露するからとかもあるとしても、選んでもらえたのは"記念すべき曲だから1位"ということではない気がするんです。たぶん、自分が作った中で本当に一番いい曲なんだろうなと。そういうふうに感じましたね。

-Disc1からDisc2へとクロニクル的な並びとなりましたが、ビッケブランカの5年間としてどう見せるかというのは考えましたか。

ベスト・アルバムって今までやったことの集大成なので、ここで新たな表現はあまり考えずに、歴史としてわかりやすいものにしようということで。曲順はすべてリリースされた順、世に放たれた順で、同じアルバムに収録されていたものは、オリジナル・アルバムの曲順にのっとっていて、あとは最後に新曲1曲を入れてという感じでしたね。そうやって今までを振り返ったときに、例えば「白熊」でのそういう乱暴なところもそうだし、「蒼天のヴァンパイア」があったり、『Devil』(2020年リリースのアルバム)があったり、悪者とか何か危なっかしいものを描いていることが実は多いなってことで、それを総称して"BEST ALBUM SUPERVILLAIN"というタイトルになりました。

-こうして並んでみると、ビッケブランカの変遷というのも見えてきますね。最初のほうのアルバムでは、ファンクやソウル・ミュージックの香りが強く、そこから徐々にポップ性、変態性が色濃くなってきて、どんどん新たな挑戦やサウンドの広がりが出てきます。

この変遷が、僕は勝手にMichael Jacksonみたいな感じに見えていて。めっちゃファンクで、ブラック・ミュージックで、ホーンが入りまくりですというところから段々と打ち込みのサウンドに変わっていって、シンセサイザーが使われるようになって、無機質になってという。そういう変化があって。今回でいうと「Moon Ride」でホーンを使っているんですけど、他では使っていないんですよね。「Take me Take out」(2017年リリースの配信限定シングル)という曲があったんですけど、それが今回ランクインしていないので。

-今回収録となった「Winter Beat」ではサックスが入っていますよね。

「Winter Beat」ではサックスのソロが入っているんですけど、"ソロ"として成立するようにしか入れていないんですよね。サウンドのファンダメンタルな楽器として使うというのは、「Moon Ride」でやって違うなって思ったんですよ。俺がやりたいのはこれじゃないなっていうのに明確に気づいて、変化していく、ヴァイオリンの分量が増えていくのも見えたりしたんです。こうして振り返ると、自分が何を思ったかというのが一曲一曲にあるので。自分で聴いていても、すごく楽しいですね。

-メジャー・デビュー5周年ですが、この5年間って変化をしていく時間としては短いと思うんです。この短期間で、うねりを帯びて変化をしていくアーティストっていうのもなかなか珍しいと思いますし、すごく自由な発想で、ビッケブランカという器を大きくしている感じがありますね。

作りすぎてるからだと思いますけどね(笑)。5年でこれは多すぎますもん。これでもまだ全部じゃないですからね。もともと、ずっと作りたいと思っていたものがたくさんあって、そのアイディアは子供のときからのものもあるんですよね。デビューするよ、アルバム作るよって言ったときには、アイディアの泉が大量にたまっている状態だったんです。まずはそれをさばいていくとなると、あのペースでも全然平気だったんでしょうね。

-その、子供の頃からのアイディアは最初の1枚ではとても収まっていなかったと。

そうなんでしょうね、たぶん。インディーズ時代を入れたとしても、全部やれていなくて。「Ca Va?」くらいで、ちょうどそれを全部使い切れた感じがありました。今回いろいろインタビューをしていて自分でも気づいたんですけど、BC(紀元前)、AD(紀元後)という区切りがあるとしたら、"Before「Ca Va?」"と"After「Ca Va?」"で変わる感じがあるんですよね。"Before「Ca Va?」"が今まで生きてきた中でのアイディアを使って曲を作っていた時期で、"After「Ca Va?」"はそのあとの瞬間瞬間で出てきたアイディアを生かしている、もしくは自分がこんなことをやりたいんじゃないかと未来を先取りして、前に行っている感じがある。「Ca Va?」が、そのきっかけになっているというのはありますね。