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INTERVIEW

Japanese

神はサイコロを振らない × キタニタツヤ

 

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神はサイコロを振らない:柳田 周作(Vo) 吉田 喜一(Gt) 桐木 岳貢(Ba) 黒川 亮介(Dr)
キタニタツヤ
インタビュアー:秦 理絵

-レコーディングにはキタニさんも立ち会ったんですか?

キタニ:そうです。一番楽しみにしてた日だったんですよ。"明日レコーディングだ、やったー!"と思って、よく考えてみたら、ギターのデータが来てなくて。レコーディングの当日の3時~4時ぐらいまでパソコンの前で待つっていう。

吉田:ソロが決まらなさすぎて。すみません!

-キタニさんがいると、普段の神サイのレコーディングとは変わりますか?

キタニ:それ聞きたい。普段とは違った?

柳田:もう全然違った。ファンクが自分たちの得意分野というよりも、チャレンジだったので、当然、苦戦する部分とかも各々あって。

キタニ:リズム隊はどうでした? あれは時間かかったほう?

桐木:俺は一番時間かかった。

黒川:そうね、レコーディング前のプリプロでスタジオに入ったんですけど、そのときにキタニ君がベードラ(ベースとドラム)のグルーヴで踊ってくれて。そのときに大丈夫かなって、不安が解消されたところはありましたね。

-ヴォーカル録りといい、キタニさんはプレイヤーの気分をのせるのが上手ですね。

黒川:そうなんですよ。レコーディングの日はみんなでグラサンを掛けて、柄シャツでレコーディングしようぜ、みたいなことになってて。

キタニ:"明日はファンキーな服を着て、グラサン掛けて集合な"って(笑)。

黒川:最初はグラサンをかけて弾いてたんですけど、"それどころじゃねぇわ"って。

キタニ:余裕がなかったんだ?

黒川:こんなチョケてる場合じゃない! って、途中で置きましたけどね。

-歌詞をふたりで書く作業はどういうふうに進めたんですか? 普段はひとりで没頭して言葉を紡いでいくイメージがあるけど。

キタニ:本来そういうものですよね。やり方としては、仮歌のデータの送り合いだったんですよ。サビだけ最初に家で、3人で制作して。そこから1番のAメロ、Bメロに柳田が歌詞を乗せたら"あ、なるほど、こういうことを考えてくるのか"って受け取って俺が2番と1サビの後半を考えて、みたいな。それを送ったら、柳田が2番のサビを考えて。

-リレーみたいにどんどん物語を繋げていく感じ?

柳田:そうそうそう。

キタニ:基本的に自分が歌っているところを書いてますね。

-最初にテーマは決めなかったんですか?

柳田:テーマとしては"エロ"っていうのがあって。

キタニ:お互いの恋愛の話をしたのがインスピレーションの源泉になったんです。ただ、エロや恋愛をテーマにすると言っても、どこにフォーカスを当てるのかによって違うじゃないですか。そこは探り合いというか。最初のサビの"あなたが汚して、濡らして、傷をつけて"は、俺の鼻歌からふたりでメロを出し合ったフレーズで、それが指標になって。このトーンを崩さないように書いていきました。

柳田:そう、だから、最初にこうしようみたいな相談って1回もなかったんです。阿吽の呼吸ですよね。1サビで、キタニが"あなたが汚して、濡らして、傷をつけて"って入れてるから、俺はじゃあ"説き伏せて"から入ってみようかな、とか。俺の"我爱你"に対して、キタニが"竜涎香"で返してくるとか。

-そこ素晴らしいなと思いました。大陸的な表現が繋がっていて。

柳田:そういう、歌詞で殴り合うみたいなのが面白かったですね。

-キタニさんが書いた"何も知らないけだものみたいに"っていうフレーズは、神サイ側から「人間みたいね」の話を聞いてたから、あえて入れたんですか? 「人間みたいね」にも、"けだもののくせにさ"っていうフレーズがあるから。

キタニ:いや、別に意識はしてないです。それはたぶん自分の根底にあるものですね。

桐木:そこに通じると思うんですけど、最初に聴いたときインパクトがあったのが、"二人の動物がいるだけ"のところだったんですよ。いろいろ感じたんですよね。なんて言うんだろう......汚ねぇなっていうか。

一同:あはははは!

吉田:汚らわしいっ!

桐木:すごいパワーワードだなって。耳に残るんです。

吉田:俺も思う。普段使わない言葉じゃないじゃないですか、動物とかって。ありがちな言葉がこんなに引っ掛かる。他の歌詞との関係性がとれてるから好きなんです。

黒川:自分はこの歌詞のどろどろとした心理を見て、美しいものを感じたんです。でも、友達に聴かせたら、"この歌詞を書いた人は最低だね"って言ってて。

キタニ:光栄です(笑)。

-最終的に、ひとりで書き切ったような統一感のある世界観になったのはすごいですね。

柳田:こんなことして整合性がとれるって普通はないですよね。

キタニ:だから、恋愛に対する価値観とか、通ってきた遍歴とかが近いんだろうなって。

-話を聞いてると、歌詞もそうですし制作のすべてのタームにおいて、神サイとキタニさんのコラボレーションだからこそ、完成できた1曲なんだなと思いました。

キタニ:みんなコラボしたらいいのにって思いますよ。海外の音楽はしょっちゅうフィーチャリングが入ってるけど、日本はまだ少ないじゃないですか。増えてはきたけど。

-やはり日本でもフィーチャリングのムーヴメントが来てるのは感じますか?

柳田:それはありますね。おもろいのが、俺らが"やろうや"って話をしたのが夏前ぐらいだったんですよ。ちょうどそのころから回りでもコラボ楽曲がたくさんリリースされは始めて。ってことは、構想から制作が始まってという時期が結構被ってるんですよね。だから、みんな考えることは意外と一緒なのかなって。ひとりでやることに行き詰まってるから、それが欲しくなるというか。

-キタニさんの文脈の中でも、少し形態は違うけど、去年4作連続でコラボ曲を発表してましたし。

キタニ:まさしく今回の話は4ヶ月連続リリースのコラボ企画が終わった直後に来たんですよ。それが終わるか終わらないかぐらいの延長戦でやれたのも良かったんです。最近みんなこういうことを考えてる気がする。誰かのエッセンスが欲しくなるというか。

-それはコロナの影響なんですかね?

キタニ:どうなんだろう。ある程度、クリエイティヴを突き詰めたら、そういうものへの憧れが強くなってくるのかなとは思うし。今はヒップホップがメイン・ストリームになってる。で、ヒップホップっていうのはコラボレーションの文化だから。そういうところがあるんじゃないかな。コラボレーションって、わりと当たり前だよねっていうのが、自分たちの認識の中でもあるというか。それの表れなんじゃないかなって。

-なるほど。

吉田:少年漫画みたいな感じですよね。

一同:え?

-どういう意味ですか?

吉田:努力、仲間、勝利みたいな。

キタニ:誰かと団結して(笑)?

-コラボレーションとは少年漫画のようなものである、と。

キタニ:ライバルと共闘して強くなる、みたいな。"カービィ(星のカービィ)"でボスと戦ってて、"メタナイト"が助けてくれるみたいな。

柳田:全然わかんない。

一同:あははは!

キタニ:次にやるとしたら、俺と神サイとまたもうひとり誰かいたら面白そうだよね。

柳田:女の子とやってみたい。

キタニ:いいね。歌詞の原案をやってもらうとかね。女の人が考えてることはわからないから。

-今回使わなかったほうの曲もやってもらいたいですけど。

キタニ:それはまぁ、いずれ俺の曲になるかな。

-神サイとしては、「初恋」(2021年7月リリースのデジタル・シングル)に続いてのコラボ曲ということで、同じコラボレーションでも、今回の意味合いはまた違ったんじゃないかなと思うんですが、どうでしょう?

柳田:全然違いましたね。もちろん楽しかったんですけど、前作は"制作"って感じだったんですよ。"作ろう、よろしくお願いします!"っていう感じだったんです。

キタニ:n-buna(ヨルシカ/Gt/Composer)君とアユニ・Dさんがすごいからね。

柳田:今回はキタニと打ち解けられたっていうのもあったし、制作っていうよりも、音楽で遊ぶっていう感覚のほうが近かったので。すごく楽しかったし、それでいいものがちゃんとできたっていうのがより良かった。"遊んで作ろうぜ"で、カスみたいなのができたらダメだけど。"遊ぼうぜ"って言って"これ、ちょっと良くね?"ってなるのは、初めてバンドを組んで、デモCDを出すみたいな。そういう感じだったんです。

キタニ:あとさ、いいメロディができたときの喜びを人と共有できるのが......。

柳田:そうそう!

キタニ:メロディを作るときって、絶対みんな孤独なんですよ。家で、ひとりで"いいメロディだ"って何回も聴いて。やったー! って思ってても、誰も周りにいない。でもさ、「愛のけだもの」のサビの頭ができたときに、"ちょっといいよ、ね? いいよね!? いぇーい!"ってやれたのが、個人的に超嬉しくて。メロディ・バトルをしてたからね。僕の部屋で僕の座席に代わりばんこでついて、メロディを書いて仮歌を録って、じゃあ俺の番みたいな。待ってるほうは後ろのソファでうんうん考える。そのときがもうすでに楽しかったから。毎日こうだったらいいのにって思った。いいメロディができた瞬間、時空転移で友達がヒュンッて来て、"聴いたよ、今の。うぇーい!"って言ってほしい。

吉田:時空転移(笑)。

キタニ:そうなると、そのあとの気持ちののり方が違うんですよ。ひとりで作ってると、"めっちゃいいメロじゃね?"ってなっても、寝て起きて聴いたら、そうでもないかもなって一瞬冷静になるので。それがなかったんです。ずっとフィーバーだった。

吉田:ずっとテンション高かったよね、このふたり(柳田とキタニ)。

桐木:高かったね。

-ちなみに、この先も神サイのフィーチャリングは続くんですか?

柳田:いや、しばらくはまた神サイだけでしっかりやっていこうと思ってます。

神はサイコロを振らない × キタニタツヤ
RELEASE INFORMATION

2ndコラボレーション・シングル
「愛のけだもの」
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NOW ON SALE
[Universal Music / Virgin Music]
※デジタル・リリース

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