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INTERVIEW

Japanese

"下北沢にて'19"座談会

 

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THEラブ人間が毎年主催している"下北沢にて"が10年目を迎える。今年は、東京 下北沢の16ヶ所のライヴハウスに入場無料ステージを加え、2デイズかけて行われるということで、サーキット・イベントを越えた"お祭り"になりそうだ。ライヴハウスや劇場が密集しているカルチャーの街 下北沢と、幅広いジャンルと世代を繋ぐバンド THEラブ人間がタッグを組んで、コツコツ成長してきた冬の風物詩。その歴史をひもとき、今年の盛り上がりを占うべく、THEラブ人間の金田康平、ツネ・モリサワと、出演する新鋭 時速36kmの仲川慎之介を招き、大いに語り合ってもらった。THEラブ人間はベスト盤『PAST MASTERS』、時速36kmは2nd EP『最低のずっと手前の方で』、3rd EP『15才と文句』がリリースされたばかり。両者のステージにも期待してほしい。

THEラブ人間:金田 康平(歌) ツネ・モリサワ(鍵盤)
時速36km:仲川 慎之介(Vo/Gt)
インタビュアー:高橋 美穂 Photo by うつみさな

-お互いの出会いはどこだったんですか?

仲川:最初は2年前の大晦日です。俺、忘れもしません。(下北沢)近松ですよね。

金田:そうそうそう。

仲川:こっちは一方的に知っていて。

金田:その大晦日のイベントは、2部制だったんですよ。俺らは2部目で、1部に時速(時速36km)が出て。その間にご挨拶して、俺が"残んなよ、観てってよ"って言ったんじゃないかな。

仲川:もともと観るつもりでしたけどね(笑)。ラブ人間(THEラブ人間)が大好きだったんです。大晦日のイベントに誘われたとき、ラブ人間も一緒っていうので、めちゃめちゃ感動しました。

金田:それでCDをいただいたんですよ。

仲川:『ドライビングフォース』っていう1st EP(2017年リリース)でした。

金田:それから聴き込んだんです。そのあとライヴハウスのバーカンで会う機会があったから"聴いたよ"って、朝まで話し込んだっていう。

仲川:本当に嬉しかったです。

金田:貰ったCDって、なかなか聴かないんです。失礼ですけど。でも、"ラブ人間が好き"って言われていると、そのバンドの音も聴きたくなる(笑)。しかも、慎之介には"影響を受けました"って言われたんですよね。僕らに影響を受けて、どんな音楽をやっているんだろうな? って気になったんです。自分もいろんな人に影響を受けてきましたけど、10年やって今度は影響を与える側になって、その人がバンドをやってライヴハウスで演奏するようになっているんだなぁと。それで聴いたら、良かったんですよ! 

仲川:ありがとうございます!

金田:引っ掛かったんです。音楽ってそもそも中世のヨーロッパでは、引っ掛かんないものとして生まれているわけです。大きなオーケストラができる前は室内楽ってサンドイッチを食べるための音楽とか、トランプをするための音楽だったわけで。でも、ロック・ミュージックって、引っ掛からないと何の意味もない。そこが昔の音楽と大きく違うんです。でも、基本的にみんな引っ掛からないものを作るんですね。こんだけたくさんバンドがいるので。そのなかで一生懸命引っ掛かるものを作ろうとするんですけど、時速はそれが天然でできている感じがしました。

-逆に、慎之介さんはラブ人間のどういうところに惹かれていたんですか?

仲川:最初に歌詞が引っ掛かったんです。当時高校1年生で、他にいろんな音楽を聴いていたんですけど、歌詞っていうものになんとなくルールがあると思っていたんです。でも、ラブ人間の「おとなになんかならなくていいのに」(2012年リリースのメジャー1stアルバム『恋に似ている』収録曲)を聴いたときに、こんなことをメロディに乗せて歌ってもいいんだ! って思って。あれ、最低じゃないですか(笑)。最低さをそのまま歌っているバンド、俺はそれまで知らなかったので、すごくびっくりして。また、最低だけじゃなく、金田さんはなんでもそのまま歌うじゃないですか。そこは大きく影響を受けていますね。

-たしかに、タイプこそ違えど、剥き出しで吐露するところは時速36kmも同じですね。

仲川:その精神性を作ったのはラブ人間です。

-そんな時速36kmが、ヘッドライナーであり主催者のラブ人間にバトンを渡すというタイムテーブルが組まれた"下北沢にて'19"が、そろそろ迫ってきています。

仲川:感慨深いです。ありがとうございます。

金田:もともとね、"下北沢にて"の3回目くらいから......やっぱり、一番人が入る時間はラブ人間の前だから、そこは自分たちの一番見せたいバンドにやってもらうようになったんです。今回は、"下北沢にて"と、僕らのベスト盤リリースのカップリング・ツアーもパッケージしていて、東京、大阪、名古屋のトリ前も任せているんですよ。

-"下北沢にて"は出演バンドも増えましたし、タイムテーブルを組むのも、なかなか大変そうですね。

ツネ:僕が基本作っているんですけど、いつも頭を悩ませますね。僕らが中心にいつつ、製作委員会方式で他のスタッフも入れていて。それぞれブッキングにも想いがあると思うから、タイムテーブルもそれぞれのバンドのストーリーが大事だなって思っています。

金田:ハコもね。このバンドはこのハコで観たいよね、このバンドとの思い出のハコはここだよね、っていう文脈も読んでもらえれば、とても楽しいと思います。あと、タイムテーブルを見ると、8日のBASEMENTBARとTHREE、で帯状になっている"クリトリック・リス・イリュージョンタイム"っていうのがありますよね。どっちに行けばいいのかわかんないでしょうけど、とりあえず行ってみてください(笑)。

ツネ:タイムテーブルを作っていて思いついたんですけど、俺たちもどうなるのかわかりません(笑)。

金田:タイムテーブルを作っていて頭がパンパンになって、右脳と左脳がイリュージョンを起こした結果っていう(笑)。

-慎之介さんは、"下北沢にて"の中で特に観てみたいバンドはいますか?

仲川:いますよ! 僕らのひとつ前のトリプルファイヤー。僕が使っているギターは、トリプルファイヤーのベースの方(山本慶幸)がやっている工房で作ってもらったんです。

金田:へぇ、俺も山ちゃん(山本)に直してもらってるよ。じゃあ、この流れは嬉しいね。

仲川:あとは、その前のtacica。中学生ぐらいから大好きです。

金田:好きそうだねー! 俺らからしても大先輩です。

仲川:もちろん、その前の中村一義も......。

金田:俺も中村一義好き! 呼び捨てにしちゃうくらい、未だスピーカーの向こうにいる人。

仲川:だから、その流れのGARDENに出られることが、本当に感慨深いです。

-お客さんにとっても、いろんなバンドとの出会いの場所になりそうです。あのバンドも観たい、このバンドも観たい、でも時間が被っちゃうって嬉しい悲鳴が上がりそう。

金田:でもね、1バンド1曲は案外観られるんです。俺と同じ動きをすれば観られる(笑)。

-そうなんですね(笑)。

金田:バンド同士もくっついてくれるといいですね。素敵な音楽作ってるなって思える友達ができたり、先輩にCD渡したり。もちろん自分たちのライヴをやるのが一番ですけど、せっかくこんなにたくさんバンドがいるので、それ以降の付き合いができればいいですね。打ち上げもありますし(笑)。

-時速のような後輩バンドも、あるいは中村一義さんのような先輩も出演する、世代やジャンルの壁を取っ払ったラインナップになっているのは、"下北沢にて"が10年続いてきた賜物という気がします。

金田:あぁ、最初は後輩もほとんどいなかったし、先輩を呼べるような名前でもなかったし、同期に助けられて始めましたね。