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INTERVIEW

Japanese

PEDRO

2019年08月号掲載

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Member:アユニ・D(Vo/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹

-(笑)そして「NOSTALGIC NOSTRADAMUS」は、タイトル通りにノスタルジーを感じさせる曲です。やはりサウンドからそういう印象を受けて歌詞を書きました?

はい。サウンドから"聴いたことないけど懐かしい"と感じたので、それを書きたくて。

-幼少時代を思い出すまさにノスタルジックな歌詞が秀逸でした。これは誰かになりきってではなく、実体験から書いたのかなと思ったのですが、そのあたりはどうでしょう?

そうですね。自分の中の懐かしさをもとに書きました。"ムラサキカガミ"とかは、最近自分の中で流行ってたんですよ。

-歌詞に"ムラサキカガミ"が出てくるのは懐かしさと珍しさがあっていいですよね。知らない子が調べたら絶対後悔しそうですけど(笑)。

20歳前の人が調べたらがっかりしそう(笑)。

-"27になる前に自分に唱える/「ロックスターさ」"はKurt Cobain(NIRVANA/Vo/Gt)などの、いわゆる27クラブですかね。

そうですね。ロック・スターは27歳で死んじゃうっていう。"ムラサキカガミ"も"ロックスター"も、自分に"死ぬ"って唱えることを表現していて。

-"死ぬ"ことが曲のひとつのテーマ?

子供のころは自由に生きてきたけど、今は生きにくさを感じるんです。子供のころの気持ちを持ったまま大人になったら青春ゾンビとか言われがちなので、"自分の中身が大きくなる前に死ななきゃ"っていう曲ですね。中身が一生子供のままの大人の歌、みたいな。

-"そうありたい"みたいな部分が?

いや、そうありたいとは思わないですけど、だいたいみんなそうですよね。"気づいたら30歳になった"とかよく言いますし。

-そうかもしれません。そういう意味では、サウンド面も含めて大人が聴くと刺さる曲なのかもしれないですね。一方で「ironic baby」は直訳すると"皮肉な赤ん坊"ということで、また独特なタイトルが付けられました。

"ママ"、"パパ"みたいな赤ちゃんの声が入っているんですけど、実はそれが松隈さんのお子さんなんですよ。そこから赤ちゃんっぽい、衝動で動いてる人間の歌を書きたくて。

-松隈さんのお子さんなんですか! じゃあお子さんの声が入ってなかったらこういう歌詞にはなってなかったかも?

そうですね。絶対にその声を活かしたいって思ったんです。

-すごい裏話ですね。間奏部分で語りも入っていますが、ここのアイディアはどう生まれたんですか?

デモで松隈さんが何か言ってて、全然聞き取れなかったんですけど、"あ、語り入れるんだ"って思って(笑)。自分ではあんまりやってきてなくて、やるつもりもあんまりなかったんです。でも、やってみたら面白い曲になったなと思います。

-この語り部分はすごく詩的でいいですよね。この部分はどうやって生まれたんですか?

歌詞の中で思い浮かべてた主人公の心の声ですね。"こんなに好きなのに"とかはちゃんと言っていないんですよ。"こんなに好きギャッハー!"みたいに言ってて。そのあと大爆笑しちゃったんですけど、うまくカッコいいところだけを使っていただきました。全体的に私の歌い方が聞き取れないみたいで、"なんて言ってるかわからない"ってよく言われるんですけど、それもわざとなんですよ。歌詞を見てもらうために、全体的にあえてそう歌ってます。

-そういう面でも歌詞へのこだわりが感じられますね。歌詞で言うとアルバムの終盤、「玄関物語」ではサビでの"かいばしら"、"変かしら"、"曖昧な"、"飼いたいわ"っていう韻の踏み方が特に気持ち良くて。作詞で韻は意識してますか?

しますね。韻を踏むのが好きだったんです。一時期は意識しすぎてて、"そんなにしなくていい"って言われるほどでした。この曲、デモでは"貝柱"っていう曲だったんですよ。で、"「貝柱」って単語を入れてくれん?"って、松隈さんがふざけて言っていたので、絶対これを入れようって決めて、韻を踏んでいきました。

-そこからこのサビが生まれたんですね。部屋じゃなく、玄関を題材にしたあたりもちょっと独特だなと。

なんか、玄関を開けて人がいたらいいなって思ったんですよね。めちゃくちゃ疲れて帰ってきても、玄関を開けて人がいるといいじゃないですか。それを表しました。みんなそれぞれの生活があるんだなって思って。

-ここから「アナタワールド」です。緩急が効いていて、サビがより盛り上がるライヴ曲の印象でした。

そうですね。これはめちゃくちゃベースが歪んでいるのと、空間系の音がすごくカッコいいです。

-この曲もそうですが、作品全体としてライヴを意識した感じがしました。

このアルバムを作ったのもツアーをやりたかったからなんですよ。前作の7曲だと30分ももたないので、今作は、ライヴでやるっていうことは全体的に意識しましたね。ライヴでやるための曲でできたアルバムっていう感じで。

-そして最後はアルバムを爽やかに締めくくる「ラブというソング」です。

これはポップというか、サビとかも全員で合唱風に、声を何個も重ねて作りました。

-サウンドとしては爽やかに締める感じなんですが、だいぶ毒を含んでますね。

爽やかなサウンドこそ毒を吐きたいという思考はずっとありますね。この曲は、アニメのエンディング曲みたいに感じたのでラストに持ってきてます。

-"爽やかなサウンドこそ毒を吐きたい"って、すごくアユニさんらしくていいですね。そういう意味では、この曲がアルバムの中でも特にアユニさんらしさが出ている曲なのかもしれないです。

たしかにそうですね。


田渕さんとツアーを回れるっていうのが今の生きる糧


-さて、ここまでアルバムの収録曲をひとつずつ聞いてきましたが、ツアーをするために制作したアルバムを携えて、"DOG IN CLASSROOM TOUR"(2019年7月17日から8月29日まで開催)が行われます(※取材は7月上旬)。

最初のライヴ("happy jam jam psycho")は30分しかなかったこともあって、ツアーを回って、ワンマン・ライヴをしてっていうのは初めてなんです。だからまだ想像がつかなくて。でも、最近リハをやって、やっぱりバンドってめちゃくちゃカッコいいなっていうのはすごく感じました。楽しみです。ただ、PEDROとしての場数はまったく踏んでいないので、ライヴが成功するかって聞かれたら"YES"とは言えない。自信は全然ないんですけど、とにかく楽曲がカッコいいので、楽曲を好きになってもらえるといいなって。私を好きで来てくれる方も多いんですけど、楽曲が好きって言ってもらえるとすごく嬉しいです。あと田渕さんとツアーを回れるっていうのが今の生きる糧なので、それが楽しみですね。私がお客さん側から観たいですもん。もはやそういう気持ちです。

-ツアーの会場には、NUMBER GIRL再始動前のラスト・ライヴが行われた札幌PENNY LANE24もあって。

マジでそれなんですよ。もう本当に畏れ多くて......立ちたくない(笑)。田渕さんとPENNY LANE24に立つなんて考えられないです。でも、地元っていうのもあるので、楽しみです。