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INTERVIEW

Japanese

SonoSheet × Lucie,Too

2018年12月号掲載

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Lucie,Too:Chisa(Vo/Gt) かなこ(Ba/Cho) シバハラナホ(Dr/Cho)
SonoSheet:渡辺 裕貴(Vo/Ba) 藤巻 宏将(Dr/Cho)
インタビュアー:TAISHI IWAMI Photo by 春

-"後付け"と言えるスノッブさがないところも、Lucie,Tooの魅力なのかなと。ここまでは宇都宮のことを中心に話を聞いてきましたが、ここからは、それぞれの新作について聞かせていただければと思います。

藤巻:HELLO DOLLYのコンピ『HELLO DOLLY 19TH ANNIVERSARY』(2018年9月リリース/※完売)にも入ってるLucie,Tooの「Heart Wave」が、僕らの曲に似てるんですよ。パクられた(笑)。

-パクったんですか?

Chisa:SonoSheetが今回リリースするアルバム『Short Hair』にも入ってて、HELLO DOLLYのコンピにも提供した「ブルーマンデー」に似てるんです。というのも、私がSonoSheetのレコーディングに遊びに行ったときに、まだ歌のない「ブルーマンデー」が流れてて、そこですらすらとメロディが浮かんだので、裕貴さんにコード進行を教えてもらって、それに乗せて実際に歌って、メロディは全然違うってことで進めてもOKって言って貰ったんです。

渡辺:でも、それを同じコンピに入れるんですよ? "俺ら「ブルーマンデー」入れるよ"って言ってたのに(笑)。

かなこ:入れる予定だった曲より先に「Heart Wave」が完成したから(笑)。

▲SonoSheet「ブルーマンデー」


▲Lucie,Too「Heart Wave」


-「Heart Wave」のメロディは、"そこいきますか"っていう展開が不思議で妙に心地いいんですよね。

渡辺:僕もまさにそう思いました。ほんと、コード進行はレコーディングのときに教えたほぼそのまま。"うわ、同じや"とか思ったけど、僕にはこのメロディはたぶんどうやったって作れない。そこの対比はすごく面白くて。でもChisaは狙ってないんですよね。あぁ、やっぱうらやましい!

Chisa:裕貴さんから教わったことで培われた感覚でもありますから。

-かたや渡辺さんがメロディを作るときのイメージはいかがですか?

渡辺:ものすごくJ-POP的というか。90年代のJ-POPがすごく好きなんですよ。ちなみにBeing派なんですけど。

-WANDSやT-BOLAN、織田哲郎さんらが書いた曲の数々ですね。

渡辺:そうです。グッとくるポイントがあるんですよね。SonoSheetを始めてから、その理由を具体的に掘り下げるようになりました。家で弾き語りのサイトとかを見てコード進行を覚えたり。80年代のポップスとかもそうなんですけど、意図的に切なくしてる作家の方々が多いんです。それをなんとか自分たちのバンドにも取り込めないものかといつも考えています。


"単なる真似事にはなりたくない。先人たちがやってきたことはなんだったのか" そのアティテュードから考え生まれるオリジナリティ


-サウンドやアレンジについてはどうでしょう?

渡辺:メロディはかなりこだわって作りますけど、アレンジはそうでもないというか。適当ではないんですけど、その場のノリですね。

藤巻:スタジオで"そこはサビなの? Aメロなの?"とか聞きながら、合わせて膨らんでいったものがダイレクトに音源になります。

渡辺:"こんなのあんだけどさ"ってベースをベンベンってやって、その指を見て、ギターがとりあえずパワー・コードを合わせてみています。

-メロディを作る話も、レコーディングの話も、本当に先人たちへのリスペクトでいっぱいですね。

渡辺:オマージュがすごく好きなんで、"ここはこのバンドのこの感じで"とか本当によく言いますね。アートワークやアーティスト写真なども含めて、わかっている人にはニヤニヤしてほしいんです。"この写真、ハイスタ(Hi-STANDARD)じゃん"みたいに。でも、ただ真似してるだけにならないようには気をつけてます。ハイスタが切り拓いた国内のメロディック・パンクのシーンは大好きですけど、僕らはそこの主流とは違って日本語詞というのもひとつで。

-なるほど。

渡辺:先輩たちが"やってきたこと"について考えるんですよ。自分が影響を受けた音楽が好きで仕方がなくて、じゃあ自分たちはそれを昇華してどう出すのか。ああでもないこうでもないってどの時代の人たちもみんな試行錯誤してたと思うし、だからこそ文化は今であり続けられる。

-文化への感謝は本当に大切だと思います。その再現性を高めること、偉大なる先人たちが誰の真似もしなかったというアティテュードを引き継ぐこと。そのうえで、自分たちらしいやり方を突き詰めること。

渡辺:それが、わかる人にはわかるし、わからない人には僕たち発信の新しいものとして響く。"こんなのパクリだ"って言う人もいるかもしれない。でも、部分的にそう感じさせるようなところはあっても、"じゃあその曲と同じですか?"ってハッキリ言える自信が持てるように。それがオマージュであり、いろいろと試行錯誤するっていうことですよね。