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INTERVIEW

Japanese

BOYS END SWING GIRL

2018年08月号掲載

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Member:冨塚 大地(Vo/Gt) 鍔本 隼(Gt) 白澤 直人(Ba) 飯村 昇平(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-その振り切れ方がどれも120パーセントですよね。「Magic」は隅々までときめきたっぷりのポップ・ソングですし、「雨宿りの恋」はディズニーも驚くくらいのファンタジックな世界観のミディアム・ナンバーで。

冨塚:「雨宿りの恋」はまさにファンタジーをテーマにしたんです。僕は小学生のときに漫画を描いていたり、小説を書いていたりもしたので、物語を綴った曲をアルバムに必ず入れるようにしてるんです。そういうときは自分たちとはまったく違った世界を描きたい。

-その世界にご自分が主人公として飛び込むことも含めて面白いんですよね?

冨塚:そうですね(笑)! 曲を書いているときは主人公になりきっているので。

-これだけいろんな表情を使い分けていても嘘くさくないのは、すべての表情にしっかりと心を込められているからでしょうね。理想の自分にもなれるし、自分以外の人間にもなれるし、自分自身を出せる場所でもある。「蒼天を征け」と「Beasts」は、キャラクターは違えどもロック色が前面に出た楽曲なので、自分自身が出せている場なのかなと。

冨塚:その2曲は趣味丸出しですね、大好きです(笑)!「蒼天を征け」は三国志の歌なんです。僕は三国志が大好きで、中でも敵軍の曹操が大好きなんです。曹操は世界一の悪者だと言われてるんですけど、僕は敵キャラの美学に憧れがあって。ただひたすら自分の美学を貫いて突き進んでいる姿がかっこいいな......と思って"天下の逆賊だって構わない!!"という歌詞を書きましたね。すごく気に入っています。音的にもおじさま受けするんじゃないかなと(笑)。

鍔本:やりたい放題やりました(笑)。

冨塚:今まで真面目に作品作りをしすぎたので、今回は遊び心もたくさん入れたいなと思って。間奏にメンバーそれぞれが武将になりきって台詞を全力で叫ぶという三国志ゾーンがあって(笑)。馬の足音の素材をいくつも重ねて大軍が走っているような音像を作ったり、自分の足音を録音したり......あそこが一番こだわりましたね! すげぇ楽しかった!

飯村:最初デモを聴いたときは頭おかしいんじゃないか? ついに狂ったか!? と思ったけど(笑)、このレコーディングはめっちゃ笑ったし、ものすごく楽しかったです。このふたり(鍔本、白澤)が声優かと思うくらい台詞の読み上げがうまくて、それも新しい発見でしたね(笑)。

-「蒼天を征け」は冨塚さんの少年の顔が垣間見られる曲でした。こういう側面が大胆に出せるようになったこともBESGにとっての"NEW AGE"なんでしょうね。

冨塚:新しいことに挑戦しつつも、自分たちのルーツを詰め込めた。4人全員後悔のないアルバムになりました。青春3部作は自主レーベルを立ち上げてリリースした作品だったので、"リーダーになりたかった僕"が反映されていて、聴いてくれる人を引っ張っていこうとしてたんです。それがうまい具合に力が抜けて、自分のありのままを出せる曲もできて。ありのままの自分を出したうえで百発百中できたらいいなと思うところもあるので、そういう面が歌詞にも強く出てきたのかなと思います。

-歌詞に"いつか"という言葉が多いのも特徴的だなと。

冨塚:意図的に多くしています。「フォーエバーヤング」(『KEEP ON ROLLING』収録曲)で書いた"未来なんて 将来なんて 僕たちには意味がない"が、僕の人生のトップ・レベルで手応えのあった歌詞で。それを書いたうえで、それでも未来は来るし、そこに向かって歩いて行かなければならないとも思っていたんです。"いつか"という言葉を使っているのは、その意味が込められていますね。

-過去の自分と対抗していくという気持ち?

冨塚:対抗......。どうだろう。でも「フォーエバーヤング」に関してはちょっとあるかな(笑)。"この曲が書けたからもう死んでも悔いはない"と思える曲を増やしていきたいとは思っているんですけど、「フォーエバーヤング」は確実にそれができた曲なんです。常にこの曲を超えたいと思っていて、「MORNING SUN」はそれができたというか、「フォーエバーヤング」に匹敵する楽曲かなと。「MORNING SUN」には"哀しみも 争いも 憎しみも なくなることはない/夢だけじゃ地球は廻らない"という歌詞があるんですけど、今まではこういうことを隠して歌詞を書いていたんですよね。でも最近はいろんなことを考えないといけない時代だし、"夢だけでは地球は回らないけれどそれでも信じていたい"という気持ちが、危機を救う奇跡や何かに繋がるんじゃないかなと思っているんです。「MORNING SUN」はリアルさをもって書けたところが大きな成長だと思っていますね。

-これだけ楽曲ごとに年代感もジャンルも国も違う音楽を作っても"BESGらしい"と言われるのは、そういう太くて曲がらない精神性があるからかもしれませんね。

冨塚:いろんなことがやれて、様々な表情を使い分けられて、人を笑顔にできて、人を明るい気持ちにさせられる――そんな音楽界のマジシャンになりたいな、とこのインタビューで話していて思いました。自分のなりたい像がひとつ増えましたね。

-音楽界のカレーにもなりたいし(※2016年9月号掲載インタビューより)、マジシャンにもなりたいし、"NEW AGE"にもなりたいし......百発百中を狙っている人はいい意味で貪欲ですね(笑)。新作の7曲がライヴに加わると、またステージングに変化が生まれそうです。

冨塚:"METROCK 2018"から「MORNING SUN」を演奏しているんですけど、お客さんのリアクションもすごく良くて、ライヴでこんなことができるんだ! という発見も多いんです。今作はみんなと一緒に歌えて、手を叩ける曲も多いので、今までよりもみんなの笑顔が増えるライヴができるんじゃないかなと思います。

飯村:幸福感で笑顔にもなるし、「Beasts」とかでは"かっけー!"って感じになれるし、「ほしのかけら」で感動して涙を流すこともできるし。聴いてくれた人に、いろんな感情を巻き起こしてもらえそうだよね。

白澤:4月のeggmanワンマンと"METROCK"を通して、新しい要素を出してもお客さんはついてきてくれそうだなという手応えを感じたので、自分たちらしさを出しつつ、お客さんを楽しませられたらなと思います。

鍔本:今までより難しい曲も増えたので、弾けるかなー......(笑)。

冨塚:(笑)僕らは青春3部作と"ROAD TO EX 2017"の優勝で、ひとつの山の頂点を迎えてそこから降りて、『NEW AGE』でまた新しい山を登っているところだと思うんです。お盆明けから始まる東名阪ツアー("BOYS END SWING GIRL TOUR 2018「NEW AGE」")のファイナルの代官山UNIT公演(8月31日開催)ではその山の頂点に達して、いい景色が見られたらないいなと思っていますね。