Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

kobore

2018年05月号掲載

いいね!

Member:佐藤 赳(Gt/Vo) 安藤 太一(Gt/Cho) 田中 そら(Ba) 伊藤 克起(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-(笑)koboreには"パンパンになってはち切れそうな四角形"という印象はありますね。koboreがパッと見スタンダードなギター・ロックでありながらも、その範疇からはみ出した大きな爆発力を持っていたり、スリリングな空気感を纏っていたりするのには、そういうことが影響しているのかも。

佐藤:絶妙なバランスだと思います。なんならバランス悪い方なんじゃないかな(笑)。中身を詮索されると、結構わかりにくいバンドなんですよね。3人は歌詞も書かないし、歌わないから、自分が好きじゃない曲もやっているかもしれないし、好きじゃないと思っている曲も弾かないといけない、叩かないといけないという環境だとも思うんですよね。それを俺が束ねて、バンドとして発信していかなきゃな......とはすごく思っているんです。でも最近は3人もどこまで自分の色を出していいのかがわかってきているみたいで、だから俺からあえて言うことも減ってきて、それぞれでも"あいつはああいう奴だから俺がこうするか"と考えられるようにもなってきて。歪だったものが、ライヴを重ねるごとにどんどんきれいになっていって――足し算よりも引き算ができるようになった。いらないものがどんどん減ってきて、koboreが見えてきたなと思います。でもまだ枠が大きいっすね。もっとこの四角形を小さくして、もっとバンドらしさを出していけたらと思っているんです。

-今おっしゃっていることは『ヨル ヲ ムカエニ』の作品の方向性ともリンクする部分が多々あるなと思います。

佐藤:そうですね。俺が歌で言いたいことや、楽曲の構成やフレーズとかも、koboreらしさというものがまた1個キュッとして、照準が定まったような気が......したりしなかったり(笑)。まとまっているように見えて実際はぐっちゃぐちゃのバンドだから、まだまだ全然ですけど。ライヴも楽曲も"これじゃだめだ"と思っていないと意味がないなと思うんですよね。"これでいいんだ"だとバンドとして成長しないと思う。それには個々の人間的成長が不可欠だと思うので、ツアーは足りないくらいなんです。

-コンスタントにリリースをしていると、その成長過程が刻めますしね。

佐藤:12月初旬まで1stミニ・アルバムのツアー(2017年9月から12月にかけて開催した["kobore"夜を抜け出してTOUR2017])を回っていたので、今回のために曲を作り始めたのは今年に入ってからで。1月~2月でひたすらスタジオに入りまくって作りました。"ヨル ヲ ムカエニ"という言葉にとらわれて曲作りをすると制限が生まれるから、面白くなくなりそうな気がしたんですよね。"ヨル ヲ ムカエニ"は「ヨルヲムカエニ」で出せてるから、あとは自分らしさが詰まっていればいいかなって。「爆音の鳴る場所で」とか「ローカルから革命を」ができたのは、"ヨル ヲ ムカエニ"という言葉にとらわれずに曲作りをしたからだと思います。「テレキャスター」はバンドを結成してすぐに作った曲ですね。もともとめっちゃテンポが遅くて、なんかダサいからもう演奏するのやめようって放置してたんですけど、2年経ってテンポを上げてみたら"すごくいい! ノリがいい!"って。

-サビの"僕にとっての音楽はさ/偉くなったり有名になったりすることじゃなくてさ/僕にとっての音楽でさ/あなた1人を笑わせることができたならそれでいいんだよ"という歌詞が印象的でした。

佐藤:自分の過去をフィーチャーさせてできた曲なので、俺のバンド人生の原点でもあり、出発点でもあります。今もこの気持ちは変わっていないですね。

-koboreは今注目度が高く、バンドとしても伸び盛りの時期でもあるから、このタイミングでこの曲を作品に収録するのは意味があるなと思います。

佐藤:そうですね。タイミングはばっちりだと思います。たまたま歌詞のヒントを探すために携帯のメモを見返してたら"わっ、懐かしい曲出てきた!"って見つけたのが「テレキャスター」だったんですよ。メモを見返していなければ、もしくはメモを見返していてもこの曲を見つけられなければ、この曲はお蔵入りのままだったかもしれない。......奇跡ですよね。運がいいなと思います(笑)。「ヨルヲムカエニ」のラストに"そしてヨル ノ カタスミ へ"という歌詞を入れようと思ったのもレコーディング直前だし......でもこれでしっかり意味も作れたりもして。今回のアルバムは運の賜物だと思います。やっと運がこっちに傾いてきたんだと思います。

-直感などをキャッチする能力が向上しているんでしょうね。

佐藤:キャッチしてそのまんまなものもたくさんあるので、リリースする能力も向上させたいっすね(笑)。

-まだまだ解散できませんね(笑)。今回のリリース・ツアーも本数が多いかと思いますし。たくさん成長できるでしょう。

伊藤:ひと回りふた回り成長できれば......ということしか考えてないですね。

安藤:来てくれた人とも対バン相手とも、もっと大事に繋がっていけたらと思います。

佐藤:ツアーではさらに全員が赤レンジャーに近づいていければいいなと思いますね。みんなリーダー張っていくつもりで!

田中:えぇ~。俺、青レンジャーがいいわ。ぜってー青がいい! でもこれだけツアーを回ることは意味のあることだと思います。koboreをやる前の僕はバンドを続けるのが怖かったし、リスクだと思っていたんです。でも赳から"バンドやらない?"と連絡が来て......動かないこともリスクなのかなと思った。"だったら動こう"、"3日前に彼女にフラれたばっかりだしバンドやるわ!"ってkoboreに入って――今は前しか見えないんです。目標とかはまだわかんないけど、ただただ前を向いていたいですね。