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INTERVIEW

Japanese

ねごと

2017年12月号掲載

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Member:蒼山 幸子(Vo/Key) 沙田 瑞紀(Gt) 藤咲 佑(Ba) 澤村 小夜子(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

2017年2月にフル・アルバム『ETERNALBEAT』をリリースしたねごとが、約10ヶ月というインターバルで完成させた『SOAK』は、彼女たちが元来持っている洋邦それぞれのニュアンスや様々な音楽ジャンルをミックスさせるセンスが、十二分に感じられる作品だ。『アシンメトリ e.p.』からタッグを組んでいるBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之と、ROVOの益子 樹という強力なプロデューサーとタッグを組み、バンド・サウンドにエレクトロ・ミュージック、R&B、シューゲイザー、ダウン・ビート、ドラムンベースなどを取り入れる。結成10周年を迎え、前進し続ける彼女たちの現在のモードを探った。

-『ETERNALBEAT』(2017年2月リリースの4thフル・アルバム)のツアー中に新曲のデモを上げていたとおっしゃっていましたが、そのときにはもう次のフル・アルバムを見据えていたのでしょうか?

沙田:"スピードを落とさずにリリースしたいね"という話をしていたので、『ETERNALBEAT』のときにはもう"年内にもう1枚アルバムを作ろう"という話は出ていて。『ETERNALBEAT』のツアー中に『DANCER IN THE HANABIRA』(2017年6月リリースの10thシングル)のデモの制作をして、ツアー後に『SOAK』のデモを作り始めて。いまの自分たちのテンションをその都度かたちにしていこうというモードでしたね。

澤村:『DANCER IN THE HANABIRA』を出してすぐに全然テイストの違う『空も飛べるはず / ALL RIGHT』(2017年8月リリースの両A面シングル)を出したから、『ETERNALBEAT』のカラーが滲まないようにしたいなと思って。『ETERNALBEAT』をもう1回聴いてもらえるようなアルバムにしたいな、という気持ちがチームみんなにありました。

蒼山:2016年の年末には『空も飛べるはず / ALL RIGHT』を録っていて、その時点で2017年の頭に『ETERNALBEAT』が、夏には『空も飛べるはず / ALL RIGHT』がリリースされることがわかっていた状態だったんですよね。『ETERNALBEAT』がダンス・ミュージックで、『空も飛べるはず / ALL RIGHT』がバンド・サウンドが主体になったものという持ち味の違う2枚になるので、『ETERNALBEAT』の方向性を後押しするために『DANCER IN THE HANABIRA』を制作して、『空も飛べるはず / ALL RIGHT』のリリース後にアルバムを制作しようという流れでした。 沙田:シングル曲がアルバムに入ることも決まっていたので、シングル曲が共存できるようなアルバム曲を作っていきました。"「DANCER~」(「DANCER IN THE HANABIRA」)にも「空も飛べるはず」にも接点がある楽曲"という温度感をキープするのは挑戦でしたね。

-『ETERNALBEAT』や『DANCER~』はねごとがエレクトロ・ミュージックに挑戦する、心地よく身体を揺らして踊れる音楽を作る、という意味合いが強い印象がありましたが、『SOAK』はいろんなジャンルの音楽をセンス良く混ぜ込んでいて、ねごとのメンタリティをダイナミックに表現した曲が多いと感じました。ねごとがこの1年強、ライヴで表現していた空気感が作品になっているというか。

沙田:やっぱり今回は『ETERNALBEAT』に比べてバンド・サウンドが増えたことが大きくて。ドラムも打ち込みは使っているんですけど、ほとんど小夜子がビートを刻んでいて。佑がシンセ・ベースを弾くのも『ETERNALBEAT』から通じているものの、熱量のあるテンションを大事にしたので、"ダンサブルにしよう"や"テクノにしていこう"というよりは、曲そのものがどう聴こえるか、どういうふうにメロディを受け取ってもらえるか、この曲をどう転がしていくか......を重視して作っていきました。

-では"シングル曲が共存できるアルバム曲"というのは、アルバムの軸となる考え方というより要素のひとつ?

沙田:シングル曲とのバランスを取りながら、意識しすぎずに......という難しい温度感でしたね(笑)。でもバランスを取ることに縛られてしまうと何が正解かは見えてこない。メロディや生み出された言葉に見合う音を目指していきました。アルバムは好きな曲、入れたい曲を入れたという感じですね。結果的にダンサブルで、ミックス感が楽しめる作品になったかなと思います。

藤咲:今回はシンベ(シンセ・ベース)だけの曲もあるんですけど、曲の途中でシンベから生ベースに変わる曲もあって。プリプロをしながら"生ベースとシンベ、どっちがこの曲に合うんだろう?"と考えることができたので、生ベースとシンベの差を生かすことができたなと思います。

-瑞紀さんが作詞作曲をしている「Fall Down」はブラック・ミュージックの香りと洒落た渋さがあります。

沙田:大人な感じになりました。最初はもう少し弾き語りっぽいシンプルなものにしていたんですけど、テンポ感を改めて聴き直したときに"ダウン・ビートな感じにしていったらいいかも。リリックが完結していない感じもあるし、終わりのない感じをトラックにも表現できたらいいな"と思って。せっかくバンドで演奏するから、"切なすぎる"よりは"ちょっとくらいの切なさでグッとくるもの"にしたいなと思いました。

-では歌詞を主体にした楽曲でもあるんですね。

沙田:どっちかと言うとそうですね、この曲は歌詞がほとんどできあがっていた状態から肉づけしていったので。先や終わりが見えすぎるのは嫌だなー......というか、押しつけがましくないナチュラルな感じやストーリー性がもともと好きなので、完結しない、言いきらない良さや余韻を言葉でも音でも表現できたらと思って。トライできました。

蒼山:「Fall Down」はビート感のある曲なのでちょっと強くも歌えるし、切なくも歌えるので、歌うのも楽しかったです。ライヴで演奏しても空気を変える感じの曲になると思うし、ライヴだともっとエモい曲になりそう。いままでとは違う見せ方ができそうだなと思います。